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令和7年5月31日(第4114号)
なぜ人は変わりたくても変われないのか? ~キーガンの『免疫マップ』から紐解く~
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3344字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は3件のアポイント。
また出版ゼミの食事会を経て、大学のミーティング2件でした。
*
さて、本日のお話です。
今日は、私の「出版」にまつわる話からの学びを共有させてください。
実は、4月に出版企画は通ったものの、
仕事が忙しいとかなんとかで、なかなか書き進められていませんでした。
しかし、先日ようやく執筆に着手を始めました。
「なぜ着手できたか?」を考えたのですが、その一つの理由が、
先日企業で行わせていただいた「チェンジマネジメント」の研修のワーク、
”人が変わりたくても変われない理由”を説明する、ロバート・キーガンの「免疫マップ」を通じて、”自分が密かに恐れていたこと”を自覚したからでした。
つまり、自分のブレーキに気づいた、ということです。
今日はこのお話についてお伝えさせていただければと思います。
それでは、どうぞ!
■「変わりたくても変われない理由」とは?
「なぜ人と組織は変われないのか?」。
このテーマに長年向き合ってきたのが、ハーバード大学のロバート・キーガンという研究者です。彼をはじめとしたチームが、5000名以上のビジネスパーソンや組織を対象に、「変化に向き合う力」について長年研究を重ねてきました。その内容が、以下の書籍で書かれています。
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『なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践』
https://amzn.asia/d/dzQly5L
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そして、この書籍で導き出された「人が変われない理由」が、「免疫マップ(Immunity to Change)」というモデルです。
■「免疫マップ」とは
・「変わりたくても変われない」という心理的なジレンマの深層を掘り起し、変化に対して自分を守ろうとしているメカニズムを解き明かす手法。
・発達心理学と教育学の権威である著者たちは、変革が進まないのは「意志」が弱いからではなく、「変化⇔防御」という拮抗状態を解消できないからと述べた。
つまり、平たく言えば、「変わりたくても変われない」のは、「変わらないことで“自分が守りたいもの”があるから」ということです。なので、”免疫”マップなのですね。
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例1:営業でクロージングできないのは、「案件がなくなったという事実を受け入れたくない」から。
(守りたいもの:「見込み客がある」という可能性、また見込み客がなくなったという事実による「営業数字不足の不安や詰め」を避けたい)
例2:告白したら、関係が壊れるから、告白できない
(守りたいもの:好きな人との繋がり)
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みたいなものも、このモデルで説明することができます。
■「免疫マップ」の使い方
では、より具体的に「免疫マップ」について詳しくみていきましょう。
免疫マップでは、「改善目標」→「阻害行動」→「裏の目標」→「強力な固定観念」の順でみていきます。(こんなイメージです)
では、どのように使うのでしょうか?
以下、キーガン氏へのインタビューから引用させていただきます。
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<「免疫マップ」の使い方>
1つ目は「改善目標」です。達成したい目標です(中略)
2つ目が「阻害行動」です。実際にどのような行動が、改善目標の達成を妨げているのかを列挙するのです。(中略)
3つ目が「裏の目標」です。これは、阻害行動を取ることで達成される隠された目標です。
なぜ阻害行動を取ってしまうのか、考えてみれば浮かび上がってくると思います。「他人に依存せず、万能でありたい」「自己犠牲の精神の持ち主でありたい」といった要素があるでしょう。「人に助力を求めない」という阻害行動を取ることで、「自分に万能感を覚える」という裏の目標が達成されるわけです。
3つ目の柱までは、多くの人が簡単に気づくことができるでしょう。しかし、裏の目標があるために阻害行動を改善しようとしても、なかなかうまくいくものではありません。
重要なのは、4つ目の柱、すなわち「強力な固定観念」です。
裏の目標には理由があります。「なぜ万能でなければならないのか」「自己犠牲が重要なのか」といったことを深く考えることです。そうすると見つめたくない現実が浮かび上がってきて、ショックを受ける人もいるでしょう。
「人に頼ってしまえば自尊心が失われる」「自分を最優先に行動したら、薄っぺらな人間になり人から嫌われる」といった、阻害行動をもたらす真の理由がそこに隠れているのです。
しかし、その固定観念は本当に正しいものでしょうか。誤った固定観念に縛られたままでは成長はできません。そこから一歩外に踏み出し、その固定観念を覆すことで人は成長するのだと思います。
※出典・引用:「人は変革を望みながら、無意識に変革を拒んでいる ―ハーバード大学教育大学院のロバート・キーガン教授に聞く」
『ダイヤモンド・ハーバードビジネスレビュー』
https://www.dhbr.net/articles/-/2597、2014年6月4日号
――――
■「書籍の執筆が始められない理由」を免疫マップで考えてみた
これらのものを、研修で受講者の皆様に問いかけながら、自らのその言葉が降り掛かってきたような気がしました。
そして、自分自身の「出版が決まったのに、書籍の執筆が開始できない理由」を、「免疫マップ」の観点から考えてみたのでした。そうしたところ、以下のような整理となりました。
◎【改善目標(Commitment to Improvement)】
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<自分にとって意味のある改善目標>
執筆を早めに着手して、多くの人の役に立つ本を出版する。
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ここでは、「自分の知見を言葉にし、世に届けることで誰かの成長や変化に貢献したいという志」や「出版が決まった今こそ、自分の考えを形にする時期であり、それを先送りにしたくないという気持ち」があります。
◎【阻害行動(Behaviors that Go Against the Commitment)】
――――
<改善目標と矛盾する現在の行動>
なかなか執筆が始められない。調査ばかりしてしまい、実際に言葉にすることを躊躇している。
――――
具体的には、「リサーチや資料集めに時間をかけすぎて、執筆そのものには踏み出せない」とか「原稿を書こうとすると、急に気が散ったり、別の作業を優先してしまう」などです。
◎【裏の目標(Hidden Competing Commitment)】
――――
<阻害行動を続けることで守られている別の目標>
自分が言葉にすることを避けることで、「駄作しか書けない」という現実を直視せずに済む。
――――
この部分は、お恥ずかしながら「自分の文章力や思考の浅さが露呈するのを避けたい」とか、「他人に読まれ、評価されることで、自分の『知的な力量』が否定されるのが怖い」という気持ちがあるようです。
つまり、「まだ本気を出していないだけ」と言える余地を残すことで、自尊心を守っている、みたいな中二病的なスタンスですね(汗)
◎【強力な固定観念(Big Assumption)】
――――
<裏の目標を支えている深い思い込み>
・自分はオリジナルな言葉で良いものを書くことができない。
――――
ここは、「もっと調べなければ、良いものは書けないという信念が強くある」とか、「他人のアイデアに乗っかるのは二番煎じで恥ずかしいという価値観を持っている」。もっといえば「レッドオーシャンで自分は勝てない」という思い込みがあるのかもしれません。
■まとめと感想
実際に、「自分の行動を阻むもの」は他にも色々と考えられます。
”おそれがある”なんていうと、すごく大きなテーマに見えてしまいますが、単純に自分の性格のタイプとして「もっと情報を集めたいという引力が強いから」と説明することもできそうです。
しかし、自分の”居心地のよい思考・行動パターン”が「強力な固定観念」になっている可能性もある、と思えます。いずれにせよ、こうした自分が立ち止まってしまう思考に光を当てて、その理由を深堀りすると、「自分がブレーキを踏んでいる事実と、踏んでいる理由」を明確にする一歩になると感じます。
自分の行動をマネジメントするには、
自分に何が起こっているのかを認識すること。
そうすることで、手放すための第一歩にもなると感じます。
そういった意味で、とてもお薦めのワークだな、と思っている次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯強み文献おかわり100本ノック:90本目
◯今月の健康&運動習慣:5月のランニング距離235km
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