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令和7年5月9日(第4091号)
中学生の心理的ウェルビーイングに影響を与える「強み」の傾向とは?
ーインド300名を対象にした研究ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2164字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日早朝に、沖縄→福岡へ。
空港にてオンラインミーティング5つと、
夕方からは大学時代の先輩とご家族と夕食でした。
大学時代に先輩が見ていた「紀藤の強み」をインタビュー調査をして、
また新しい発見があり興味深いものでした。
*
本日は「強み論文」のご紹介です。
今日の論文は、インドの中学生300名を対象に実施された「性格の強みと心理的ウェルビーイング」の関係を調べたものです。
中学生という発達段階で「強み」がどのように幸福感や心の健康と結びついているのかを検証した興味深い研究です。
面白かったのが、今回の対象者に対しては、「好ましく見える強み(愛情、ユーモア、親切心など)」が必ずしも幸福に直結するとは限らないという結果や、”自律心”や”社会的知性”、”リーダーシップ”など、特定の強みが予想以上にウェルビーイングに影響していた点です。
それでは、内容を詳しく見てまいりましょう!
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<今回の論文>
タイトル:Relationship of Character Strengths to Influence Psychological Well-Being During Adolescence(青年期における心理的ウェルビーイングに影響を与える性格的強みの関係)
著者:First Author: Mallika Vohra/Last Author: Neelam Pandey
ジャーナル名:Indian Journal of Public Health Research & Development
所属:Amity Institute of Psychology & Allied Sciences, Amity University Uttar Pradesh, Noida
発表年:2020年1月、第11巻第1号、pp.760–765
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■30秒でわかる要約
・本研究は、インドの中学生300名を対象に、24の「性格の強み」と心理的ウェルビーイング(満足感・効率性・社交性・メンタルヘルス・対人関係)との関連性を分析しました。
・その結果、自律心・好奇心・社会的知性・希望などが強く幸福感と結びついていました。
・一方で、愛情や忍耐力など一見好ましい強みが、逆に関連しない(場合によっては負に作用する)こともあるという、示唆に富む知見が得られました。
■研究の概要
◎研究目的/背景
「親や教師が育てたい」と願う性格の強みがあります(愛情や親切心など)。しかし、それが実際に子どもの幸福感とどのように関係しているかは、まだ十分には解明されていません。
とりわけ、青年期は強みが発達・形成されやすい時期であり、この段階での強みと心理的ウェルビーイングの関係を明らかにすることは、教育・福祉分野への応用において重要な意味を持つと考えられます。
◎方法
・デザイン:横断的調査研究
・参加者:インドの首都圏地域の中学生300名(男女各150名、6~8年生)
・使用尺度:
―VIA Youth(Park & Peterson, 2006):24の性格の強み、198項目、5件法
―Psychological Well Being Scale(Dr. Devendra Singh Sisodia):5下位尺度×10項目、5件法
・分析手法:Spearmanの順位相関分析、信頼性分析(Cronbachのα)
■主な結果
・最もスコアが高かった強み:愛情(3.71)、忍耐力(3.59)、親切心(3.39)
・最もスコアが低かった強み:思慮深さ(1.74)、正直さ(1.77)、自律心(1.83)、寛容さ(1.84)、好奇心(1.87)
・ウェルビーイングとの有意な相関が見られた強み:
自律心(ρ = .656)
好奇心(ρ = .665、満足感との関連ρ = .783)
社会的知性(ρ = .682)
リーダーシップ(ρ = .632、満足感とはρ = .979)
その他、希望、謙虚さ、感謝、大局観、寛容さも有意な関連あり
・相関がなかった/負の相関を示した強み:
愛情:対人関係と負の相関(ρ = 0.112)
忍耐力・親切心・公平性・ユーモア:ほぼすべてのウェルビーイング指標との関連なし
■結論:研究からわかったこと
青年期において、自律心・好奇心・社会的知性などの強みは、心理的ウェルビーイングの重要な予測因子であることが示されました。
一方で、「愛情」「親切心」といった従来ポジティブとされてきた強みが、必ずしも幸福感に直結しないという点は、新たな知見です。
教育現場では、単に「いい強み」を育てるのではなく、「幸福につながる強みとは何か?」を見極める視点が必要になるかもしれません。
◎実践に活かすヒント
・教育現場で:自己制御(自律心)や好奇心を育むアクティビティの導入
・スクールカウンセリングで:社会的知性や希望といった強みを生かした対人スキル・トレーニング
・家庭でも:単なる「いい子」育てではなく、自律的判断や好奇心を促す声かけが重要
◎応用イメージ・リミテーション・今後の課題
・限界点:
地域の偏り(インドのデータである)
横断的デザインで因果関係不明
自己報告バイアスがある
■まとめと感想
私自身も、「愛情」や「親切心」は幸福に直結しそうだと感じていたので、この研究の結果は非常に印象的でした。
中学生という発達段階においては、重要なのは「自分で自分をコントロールできること」や「知的好奇心をもって物事に関わること」、そして「人の気持ちを理解する社会的知性」、「他者に影響を与えるリーダーシップ」であるのは、理解できるような気もしました。
この話を読みながら、著書『性格とは何か?』で示されていた、大学生になると”社会的支配性(他者より優位に立とうとする)”が高まるという傾向がある、という話を思い出しました。
実際に、人の主観的な幸福は、”他者からどう見られているか”が大いに影響するものです。青年期はなおさらそう。中学生や大学生の心理的ウェルビーイングを高める「強み介入」は、そうした「自律心、好奇心、社会的知性、リーダーシップ」などにフォーカスするのはヒントになりそうだな、と思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◎「野辺山ウルトラマラソン100km」まで・・・あと8日
◯強み文献おかわり100本ノック:87本目
◯今月の健康&運動習慣:5月のランニング距離80km
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