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令和7年5月1日(第4083号)
性格の強みの介入は「性格そのもの」も変えうるのか? ー1000名以上の大規模調査からわかったことー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3756字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日から沖縄に来ております。
こちらでのお仕事も兼ねて、約2ヶ月ぶりの沖縄。
ピアノの発表会の大崩壊の傷(?)は、振り返り(リフレクション)を通じて、
「今の自分を認めて、ここから歩み出そう」と思える気持ちになりました。
また一歩ずつ、積み重ねたいと思います。
*
さて、本日のお話です。今日は「強み論文」をご紹介いたします。
今回の論文のテーマは、「性格の強みに基づく介入は、”強みや性格そのもの”にも影響を与えるのか?」を検証したというものです。
これまでの研究では、性格の強みが幸福感を高めたり、ストレスを軽減することが確認されていました。しかし、強み介入がその「性格の強み」そのもの(特徴的な強み/非特徴的な強みや、ビッグファイブのような性格特性)に影響を与えるかどうかを調べた研究は、ほとんどありませんでした。
また、多くの研究が1週間程度の短期介入にとどまっていたなかで、本研究では「どの介入が最も効果的か」「それらを4週間の中長期プログラムにするとどうか」を、1000名以上の対象者で実証的に検証しています。
結論としては、強み介入は性格の状態や特性にも変化をもたらしうる。ただし、それが「生まれ持った気質そのもの」を変えるとまでは言い切れない、と注意深くまとめられていました。
ということで、早速中身を見てまいりましょう!
■30秒でわかる要約
・性格の強みに基づく介入が、幸福感の向上やストレス軽減に影響を与えることは、これまでの研究でわかっています。
・今回の研究ではそれに加えて、「性格そのもの(状態・特性)」に影響を与えるかを1000名以上に検証した大規模な研究を行いました。
・「強みを新しい方法で使う」「習慣化する」など複数の介入が比較され、効果的な組み合わせを4週間のプログラムとして実施したところ、幸福感だけではなく、「性格の強みの状態や特性」も変化することがわかりました。
・一方、強みの観察や他者貢献などの介入は、効果が限定的であり、「実際に使うこと」が、性格の強みを高める鍵となっていました。
■今回の論文
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タイトル:A Randomized Controlled Intervention Study of Different Character Strengths-Based Interventions
著者(First AuthorとLast Author):Fabian Gander, Ryan M. Niemiec
ジャーナル名:未記載(プレプリントまたは未査読報告書の可能性あり)
所属:University of Basel, Switzerland
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■研究の背景
ポジティブ心理学的介入は幸福感の向上に有効とされ、「性格の強み」に基づいた介入はその一形態です。特に個人の「特徴的な強み(signature strengths)」に着目した個別化された介入が注目されていますが、それらが「性格の強みの”特性や状態”」を変化させるかは明らかではありませんでした。
◎研究1:「7種の強み介入」を実験群と比較群で検証
1163名が対象。
7種類のCSIs(例:「強みを新しい方法で使う」「他者のために使う」「習慣化」など)+プラセボ条件を比較。1週間の介入後、12週間までフォローアップしました。
測定項目:幸福感(AHI)、ストレス(PSS)、社会的幸福感(CIT)、強み状態(CSSRF)、強み特性(VIA-IS)
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<7種の強みの介入内容>
介入1:強みを見つける
自分の強みについて学ぶことなく、VIA分類について学び、他の人の強みを認識する。
介入2:強みを観察する
日常生活で自分の特徴的な強みの使用を観察する。
介入3:強みを新しい方法で使う
自分の得意なことを新しい方法で実行する。
介入4:小さな課題で強みを使う
日常的な課題を克服するために自分の得意なことを使用する。
介入5:大きな課題で強みを使う
大きな課題を克服するために自分の得意なことを使用する。
介入6:他者のために強みを使う
他者のために自分の得意なことを使用する。
介入7:習慣を形成する
自分の得意なことを使用する習慣を形成しようとする。
比較条件
幼少期の記憶について振り返る活動。
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※上記はNiemiec and McGrath(2019)の「Strengths Builderプログラム」を拡張して作成されました。
◎研究2:「4週間にわたって、強み介入を継続する」
254名を対象、介入群と待機群の2群間比較を行った。
介入群は4週間にわたる強み活用プログラム(介入1・2・3・7)を週単位で実施。
測定項目:研究1に加え、ビッグファイブ(BFI-2)・性格の可変性信念(IBP/IBWB)
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<4週間プログラムの詳細>
第1週:他者の強みを理解し、それを認める(介入1)
第2週:特徴的な強みの認識と探求(介入2)
第3週:強みを新しい方法で使う(介入3)
第4週:強みを習慣化する(介入7)
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■主な結果
◎研究1
・介入3(新しい方法で強みを使う):幸福感・社会的幸福感・強み状態・特性すべてに有意な増加
・介入7(習慣化):幸福感・強み状態(特に非シグネチャー)に増加
・介入4(小さな課題):強み特性にのみ増加
・介入1, 2, 5,6:効果なし(幸福感・ストレス・強み状態いずれも)
◎研究2
介入群は、
・幸福感:d=0.31、ストレス:d=–0.41で有意改善
・神経症傾向の低下
・性格的強み状態(signature, non-signature)の向上
・性格特性:
外向性と開放性がわずかに増加
誠実性・協調性には変化なし
・マインドセット(性格・幸福感の可変性信念)には影響なし
■結論:研究からわかったこと
・「強みを新しい方法で使う(介入3)」ことが最も効果的
・「強みを習慣化する(介入7)」は持続可能な変化を促す有望なアプローチである
・他者貢献や観察などは、単独では効果が限定的だった
・実践的・行動的な介入こそが鍵である
■まとめと感想
少し前に学んでいたMBTIやユングの理論では、人には生まれ持った気質があるとされます。確かに性格のベースは簡単には変わらないのかもしれません。
しかし、「この性格を育てたい」と願うとき、その思いに応じて変化は生まれるのかもしれません。本研究はその可能性を裏づけてくれるものと感じました。
たとえば、私自身は「忍耐力」が性格的には高くはなかったはずです。しかし、メルマガを毎週送り続けるという小さな習慣を重ねる中で、いまでは「自分の強み」と呼べるまでに育ってきました。
強みは「もともと持っているもの」だけでなく、「育てていけるもの」でもある。そんな希望を持たせてくれる、実践的かつ示唆に富んだ論文でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◎「野辺山ウルトラマラソン100km」まで・・・あと16日
◯強み文献おかわり100本ノック:85本目
◯今月の健康&運動習慣:5月のランニング距離0km
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