配信日時 2025/04/03 07:30

ふたご研究が「遺伝の謎」を明らかにする?! 遺伝と環境が与える影響 ―読書レビュー『遺伝マインド』#3【カレッジサプリ】

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令和7年4月3日(第4056号)


ふたご研究が「遺伝の謎」を明らかにする?! 遺伝と環境が与える影響
―読書レビュー『遺伝マインド』#3


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話  2451字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日、「強み」についての、出版企画が某出版社にて通過いたしました。
来年となりますが、強みの論文からの知見を一般向けにまとめた「強みの見つけ方・活かし方」についての本を出版予定です。

ここから色々と調べること、執筆することがままやってきますが、
お役に立てる本を世に送り出せるよう、コツコツ進めていきたいと思います。
(皆さまにご協力いただくこともあるかと思いますが、その際はどうぞ、よろしくお願いいたします)



さて、本日のお話です。

先日より、遺伝子が心や行動に与える影響を科学する「行動遺伝学」をテーマに学びを共有しております。
「性格の強みと遺伝の関係」もどうしても切っても切り離せないため、このあたりも探求している次第です。

本日は「第2章 ふたごのはなし」からの学びを共有したいと思います。ふたごの研究により、「遺伝が、能力や性格などに、どのくらい影響があるのか?」をまとめた図が興味深いものでした。

それでは、早速まいりましょう!

――――――――――――――――――――
<目次>
遺伝は「心」に影響するのか?問題
「ふたごの研究」が遺伝の謎を明らかにする?!
ふたごの類似性 ー体重の場合ー
心と行動に関連する「遺伝と環境の影響」
まとめと感想
――――――――――――――――――――



■遺伝は「心」に影響するのか?問題

本章の冒頭に、「遺伝子が心の働きや行動に影響を与える」という考えが、しばしば大きな反発や抵抗に合う、という話が紹介されています。

以下、その例として紹介されていた文章を、引用させていただきます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
心の働きや行動・立ち居ふるまいが遺伝子の影響を受ける?とんでもない。
私の心や行動は自由意志によるものだ。それに環境の影響を受けて変わるし、学習や経験を積み、努力を重ねることによって成長もする。

遺伝子によって決められているはずがないじゃないか。そんなことを認めると、かつて人間の優秀性は遺伝によって決まっているといってユダヤ人をみな殺しにしようとしたナチの優生学に結びついてしまう。

本能で生きる人間以外の動物はさておき、そして人でも体つきや疾患はさておき、心や行動は生まれついて持った遺伝子の束縛を受けず、後天的に与えられた環境や自由意志によってつくられるのだ、と。
P40
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

確かに、体つきや疾患などは目に見えるから遺伝の影響を受けるのはわかるとしても、「心や行動までが遺伝子の影響を受ける」とするのには、抵抗があるようです。



■「ふたごの研究」が遺伝の謎を明らかにする?!

しかし、研究者は「検証」をします。

人に与える様々な結果は、遺伝の影響なのか?環境の影響なのか?
それぞれがどの程度なのかを、確かめる研究がされています。

それが「ふたごの研究」です。

一卵性双生児は、「遺伝子」の一致率が100%です。
もし可能なら、生後まもなく違う環境で別々で育てられた一卵性双生児を調べれば、遺伝と環境の影響を調べることができるでしょう。

ただ、そうした条件は、あまり多く見つけることはできません。
よって、行動遺伝学のふたごの研究では、一卵性双生児のふたご(遺伝一致率100%)を実験群とし、二卵性双生児のふたご(遺伝一致率約50%)を比較統制条件群として比較する手法が取られます。


■ふたごの類似性 ー体重の場合ー

たとえば、このような実験があります。「”生まれた直後”と”思春期”のそれぞれの「一卵性双生児」の体重の類似性と、「二卵性双生児」の体重の類似性を比較する」という研究です。

ある研究では、以下のことがわかりました。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎「生まれた直後」の体重の相関:
・一卵性双生児の場合「0.71」
・二卵性双生児の場合「0.66」
※一卵性双生児の相関のほうが「やや高い」

◎「思春期」の体重の相関:
・一卵性双生児の場合「0.90」
・二卵性双生児の場合「0.56」
※一卵性双生児の相関のほうが「明確に高い」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

一卵性双生児と二卵性双生児の差が「遺伝の影響のバロメータ」です。

よって、そもそも体重の相関が一卵性双生児のほうが高いことから、遺伝と体重の関連は示されています。

また、生まれた直後と思春期で差が大きくなったということは、「(体重において)成長するにつれて、遺伝要因が増大した」ことを意味します。



■心と行動に関連する「遺伝と環境の影響」

このようなものは、体重だけではなく、心の動きや行動にも当てはめることができます。それは、心理検査や能力検査のスコアを用いることで、数値化できるため、同じように相関を測定できるからです。

ふたごのデータを、心と行動に影響を与える3つの要因にわけて、統計的に計算することでそれぞれの差を明らかにしました。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<心と行動に影響を与える3つの要因>
1.遺伝:DNAに基づく個人差(例:気質、知能、精神疾患のリスク等)
2.共有環境:家庭・学校など共有される環境(例:親の教育方針、家庭内の文化)
3.非共有環境:個人ごとのユニークな体験(例:習い事、友人関係、個別の教師の影響)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

その結果をまとめたものが図として表示されています。
(noteをご参照ください)

結果を見ると、「性格特性」は約30~50%遺伝的影響があり、論理的推論能力、空間性知能は約70%が遺伝的影響であることがわかります。



■まとめと感想
本章の中で著者が語っていた、以下の一節が個人的にはとても納得感がありました。以下、引用いたします。

(ここから)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
遺伝とは無関係にもかかわらず、遺伝に関係があると確かめもせずに関係がないと考え、それによって差別をしたのがかつての優生学だった。

だが、もし本当は遺伝と関係あるにもかかわらず、それを確かめもせずに関係がないと考え、格差や不平等はすべて環境のせいであると信じて機会を平等にし、それでも生じた格差や不平等は自己責任と見なして放置する社会が実現したとすれば、それは別の意味で、やはり優生社会ではないか。
P41
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

たとえば、ある格闘技では、重量級と軽量級に分かれます。これは遺伝的な違いとして「体重」があるからです。同じぐらいの技術の2名を同じ舞台で戦わせたら、体重が大きいほうが有利です。それが「公平なルール」です。
しかし、もし遺伝的影響が「体重」だけではなく、「心や行動や能力」にも同じようにあるとしたら、その違いをまったくもって無視して「全て自己責任だね」というのは、「公平ではない」と言えるのかもしれません。

変えられることは限定的かもしれませんが、こうした「人間の多様性と違い」があることを受け止めると、「あなたの努力が足りない」と本人の意志力や考えに、全ての責任を押し付けずにすみ、それは少しだけ心の澱(おり)を溶かしてくれるのかもしれません。

読んでいて、悲観的にもなり得る難しいテーマだと思いつつ、大事なことだと思い、読み進めております。ということで、引き続き、明日に続けます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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 【編集後記】
◎「ラ・カンパネラ」ピアノ発表会まで・・・あと25日
◎「野辺山ウルトラマラソン100km」まで・・・あと45日

◯強み文献おかわり100本ノック:79本目
◯今月の健康&運動習慣:4月のランニング距離5km


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