配信日時 2025/03/21 08:52

科学的な「自尊心の高め方」 ー読書レビュー『非認知能力』#11【カレッジサプリ】

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令和7年3月21日(第4043号)


科学的な「自尊心の高め方」
ー読書レビュー『非認知能力』#11


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話  3546字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は家族で公園へ。
また、15kmのランニングでした。
100kmマラソンの目標体重まであとー3kgなので、食事など考えないとな、と思う今日このごろ。
しかし、ご飯は美味しい。



さて、本日のお話です。

先日より「非認知能力」について学べる専門書をご紹介しています。
引き続き、本日も読み解いてまいります。

本日取り上げる非認知能力は、”自分自身を価値ある存在だと思う心”である『自尊感情』です。

自尊感情に関係する成果には、非常に重要なものが沢山あります。たとえば、自尊感情が高いと、抑うつや不安が低い、人生満足度が高い、意欲や自発的な行動が高いなど。
さらには、446論文31万人以上の膨大な結果から、自尊感情の高さと社会経済的地位の良好さには確実な関係性があることも確認されています。

研究も数え切れないほど行われたことから、自尊心最強!のようにヒートアップしすぎて、「自尊感情神話」と呼ばれて反省された、なんて話もあるほどです。自尊感情のもたらすインパクトを、感じさせる話ですね。

では、そんな「自尊感情」とは一体どのようなものなのか?
本日は、自尊感情のこれまでの研究と、そこからわかったことを見てまいりたいと思います。

それでは、早速参りましょう!

―――――――――――――――――――――
<目次>
自尊感情とは何か
自尊感情の定義
自尊感情を構成する「柱」たち
「自己複雑性」が高い人ほど、自己評価が安定している
科学的な自尊心の高め方
(方法1)認知行動療法に基づくアプローチ
(方法2)対人関係の調整方略に注目したアプローチ
(方法3)運動によるアプローチ
まとめと感想
―――――――――――――――――――――



■自尊感情とは何か

まず、自尊感情(Self-esteem)の定義からみていきたいと思います。
いくつかあるのですが、このようなものが紹介されていました。


◎自尊感情の定義

・「自己に対して肯定的、あるいは否定的な態度」(Rosenberg,1995)
・「自己概念と結びついている自己の価値と能力の感覚・感情」(遠藤ら, 1992)
・「自己に対する主観的な評価の内、自分自身を好ましい存在だと感じたり、有用であると思ったりする程度」(Zeigler-Hill, 2013)
P181

『心理学原理』を著したジェームズによると、自尊感情とは「自己評価の感情」であるとのことで、以下のように「自尊感情の公式」を表しました。

―――――――――――――――――――――
自尊感情= 成功 / 願望 

・「成功」:自己が定めた内的な目標の達成だけでなく、他者からの称賛や社会的名誉などの外的な基準も関係しているもの
・「願望」:こうありたい自己や理想や憧れだけでなく、こうあらねばならない自己という義務や束縛も含まれる場合もあるもの  James(1982)
―――――――――――――――――――――

たとえば、「願望」を「毎朝きちんと起きて仕事をする」と考えて、またそれをできることを「成功」とおけば自尊心は高まるでしょう。
一方、「願望」を「社会的にも経済的にもビル・ゲイツばりに大成功する」と、荒唐無稽すぎるものにしてしまうと、それに伴う「成功」のハードルは難しくなり、自尊心は高まることはないでしょう。

なるほど、成功/願望 のバランスが大事なのですね・・・。


◎自尊感情を構成する「柱」たち

次に、「自尊感情」をもう少し因数分解してみます。
”自尊感情には「多次元性」がある”と、述べています。

まず、上記のジェームスの公式の「願望や成功」も、”自分にとって価値がある領域かどうか”によっても、自尊感情は影響を受けやすいと加えて述べています。自分が大事な「専門的な仕事の領域」で失敗すると自尊感情は低下するけど、どうでもよい「オセロの勝敗」で負けても自尊感情は低下しない、みたいなものです。

では、「自尊感情」に影響する自己概念には、どのような領域があるのか?
このことについて、ジェームズは以下3分類にわけました。

(ここから)
―――――――――――――――――――――
<「自尊感情」に影響する、自己概念の3領域>
1.物質的自己(身体や所有物)
2.精神的自己(心的能力や傾向)
3.社会的自己(他者からの評価や評判)
P182
―――――――――――――――――――――
(ここまで)

そして、「社会的自己」に関していえば、個人が所属している集団の数だけ無数に存在しています。ゆえに他の研究者たちは自尊感情の測定において、様々な次元を想定しました。たとえば、以下のものです。

(ここから)
―――――――――――――――――――――
<「自尊感情」を測定するためのさまざまな領域>
・「学校」「家族」「仲間」「自己」「一般社会的活動」の5領域
・「身体領域(身体的魅力と身体能力)」「学習領域(学習能力)」「社会領域(友人関係)」「家族領域(家族関係)」「全般領域」の5領域
・「社交」「スポーツ能力」「知性」「優しさ」「性」「容貌」「生き方」「経済力」「趣味や特技」「まじめさ」「学校評判」の11領域
―――――――――――――――――――――
(ここまで)

(ちなみに、上記の領域において個別で高い自尊感情を「領域特定的自尊感情」と良い、特定の次元に限定しない自尊感情を「一般的自尊感情」と呼びます)


◎「自己複雑性」が高い人ほど、自己評価が安定している

さて、そのように自尊感情に影響を与える様々な領域があることがわかりました。そして社会的な評価等によっても、自己評価が揺れ動くものです。

その中で、人はさまざまな側面がある(自己理解における多面性がある)と考える「自己複雑性」を持つ人ほど、自己評価が安定しており、ストレスによる身体症状・抑うつなどに緩衝作用があることがわかっています。

つまり、自分にはいくつもの側面があると思う人、「自尊感情をかたちづくる柱」がいくつもあると思う人は、どれかが折れたとしても、他の部分で支えることができる、となるわけです。



■科学的な自尊心の高め方

では、自尊感情を伸ばす介入には、どのような方法があるのでしょうか。
その前に、注意したいこととして以下のように述べています。

―――――――――――――――――――――
自尊感情への介入は、「短期的に自尊心を高めることを目的とする」のではなく、「結果として高く安定した自尊感情を持つ人間に変化・成長していくための人格的基盤を充実させるもの」でなければいけません。(中略)

研究者や実践家が気をつけなければならないことは、対象者に根拠のない賞賛を与えたり経験を伴わない自信過剰な考えを促すような関わりをした場合でも、自己報告式の心理尺度で査定する自尊感情は高くなったように見えてしまう点です。
P187
―――――――――――――――――――――

こうした言葉だけで自尊心を高めることを、「ガソリンを一滴も注がずに、燃料計の針だけを動かして満タンになったかのように見せかける欺瞞」と呼び、喝破しています。その上で、本質的なアプローチとして以下の3点が紹介されていました。

(方法1)認知行動療法に基づくアプローチ
・自尊感情の多次元性を前提とする。問題となっている個別の領域を特定し、歪んだ理想自己を修正して、現実自己を改善するスキルを教える方法。

(方法2)対人関係の調整方略に注目したアプローチ
・他者との関係の適切化に焦点を当てた、ソーシャルスキルトレーニングやアサーション・トレーニングを行うもの。自分の意見・考え・気持ち。相手への希望を、なるべく率直に正直にしかも適切な方法で伝える方法。
・「自他を尊重した自己表現」(さわやかで&しなやかな自己表現)をすることで自尊感情の維持や向上が見られる。

(方法3)運動によるアプローチ
・自尊感情(Self-esteem)に関する系統的レビューは、2021までに45件が登録されています。その中で「運動が、身体的な健康のみならず、自尊感情をはじめとする精神的な健康を促進する」という証拠を示したレビューがあります(Exercise to improve self-esteem in children and young people)。
・1821人からなる23研究の結果をレビューによると、4週間以上の身体運動を行うことで「運動は自尊感情に短期的にプラスの影響を与える」「身体の健康にも多くのプラスの影響がある」

なるほど・・・全部大事!と思いました。
私も「さわやかに・しなやかに自分の意見を伝える」、もっと練習したいと思いました。



■まとめと感想

この章を読みながら、思うことが2つありました。

1つは、「やっぱり自尊感情って、めっちゃ大事だよなあ」ということ。
私事ですが、20代の新卒で入った会社で、逃げるようにやめて「オレって本当にダメなやつだ」と打ちひしがれていた過去があります。
 内省しすぎて、図書館にこもって自己啓発書を読み漁り、「自分が人生に大事にしたい価値観」なるものを考えていたのですが、そのときに出てきた最も重要なキーワードの一つが「自尊心」でした。

「自分には価値がある」。そう思えることは、自分が社会の中に自分の足で立ち、歩むために絶対に必要なものだと噛み締めた記憶が、未だに残っています。(それに比べれば、成長とか経済的成功とかは二の次のように個人的に思います)

▽▽▽

もう1つが、「自尊感情」は根拠のない称賛や、自信を与えるような働きかけでも高まってしまう、という話です。
 褒めること・認めることはスターターとしては大事かも知れません。しかし、結局のところそうした言語的説得ではなく、「自分の手で成功/願望の公式を成し遂げた経験」を個人が積み重ねることこそが重要にも感じたのでした。安定した「自尊感情」を高めるには、小さな蓄積が大事なのですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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 【編集後記】
◎「ラ・カンパネラ」ピアノ発表会まで・・・あと38日
◎「野辺山ウルトラマラソン100km」まで・・・あと58日

◯強み文献おかわり100本ノック:79本目
◯今月の健康&運動習慣:3月のランニング距離102km


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