配信日時 2025/03/10 08:05

人類最大の強み「自己制御」の鍛え方  ー読書レビュー『非認知能力』#4【カレッジサプリ】

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令和7年3月10日(第4032号)


人類最大の強み「自己制御」の鍛え方
 ー読書レビュー『非認知能力』#4


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話  3215字/読了時間5分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、妻の実家の茨城に来ておりました。
また朝は10kmのランニング。
夜走ると興奮して眠れないので、朝走るほうがやっぱり良いのだなあ、と思いました。
時間の使い方のバランスを、考えたいと思う今日このごろです。



さて、本日のお話です。

先日より「非認知能力」について学べる専門書をご紹介しています。
引き続き、本日も読み解いていきたいと思います!

本日取り上げる非認知能力は「自己制御」という”目標の達成に向けて自分を律する力”についてです。

多くの研究がされ、学業成績も良く、対人関係も良好で、健康でかつ年収の高さにも繋がるなど、ありとあらゆる身体的・心理的・社会的成果に繋がっています。ゆえに、「人類最大の強み(greatest human strength)」とも呼ばれるのがこの能力です。一体どんなものなのでしょうか?

それでは早速みてまいりましょう!

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<目次>
「自己制御」とはなにか
「自己制御」のこれまでの研究
マシュマロ実験からの発見
ダニーデン研究からの発見
102の研究のメタ分析からの発見
「自己制御」を鍛えるための方法
子どもたちへの自己制御向上のプログラム
日本における介入研究
「運動」「課外活動」「日常生活」が大事
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■「自己制御」とはなにか

私たちは、日々「ちょっとした我慢」を行っています。
例えば、私の場合、「もうすぐフルマラソンがあるから体重を減らさないとな」と思って、ランニング後にコンビニに入ってアイスを買うのを我慢する、などです(ささやかな自己制御です)。

何か不愉快なことがあっても、妻に感情をぶつけない(大事!)なども「自己制御」ですし、私たちは生活をする上で、相反する葛藤の中で、「自己制御」「自己コントロール」を繰り返しています。(ちなみに、葛藤を感じて実際に成功する確率はだいたい5割くらいだそう)

▽▽▽

では、こうした日常生活にも関わっている「自己制御」の定義とは、一体どのように表現されているのでしょうか?

本書によると、”様々な領域からの研究が多く、明確に定まった定義がなく、混沌としている”というのが実際のようです。また「自己制御」に加えて「自己コントロール」という概念も示されており、以下がポイントとなります。

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●「自己制御」:個人的な目標(例:体重減量)や社会的な目標(例:他者との良好な関係維持)に沿って、自己の認知・感情・行動を制御するプロセスのこと。目標を立て、どのように遂行するかを決め、それを実行に移したり、現在の進捗状況をモニタリングしたりと、目標に関わる幅広い行動を含む包括的な概念が、自己制御である。

●「自己コントロール」:2つの相反する気持ちが対立する時(例:お菓子を食べたいけれど、ダイエット中だから食べてはいけない)に、一方の目標を追求するプロセスのこと。自己制御の一部分として位置づけられる。
P45-46
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■「自己制御」のこれまでの研究
さて、心理学においても「自己制御」は多くの研究がされてきました。

◎マシュマロ実験からの発見
一番有名なのは「マシュマロ実験」と呼ばれるものです。1988年にミシェルらが行った実験で、4~5歳のときにマシュマロを我慢をすることができた子ども(自己制御力が高かった子ども)と、そうではなかった子どもを、10年後と40年後に追跡して調査をしました。その結果、前者の子どものほうが、青年期の問題行動が少なく、学力も高いことが報告された、というものです。

(しかし、これは2018年の実験で、疑問が投げかけられました。対象のコミュニティが非常に小さかったこと、再度900人に対して同様の実験をした際には、家庭環境や幼少期の認知能力の影響を考慮すると、「マシュマロを我慢できたかどうか」は学力に与える影響が極めて小さいことがわかった、とのこと)


◎ダニーデン研究からの発見
他には、「ダニーデン研究」と呼ばれる1972年~1973年にニュージーランドのダニーデンで生まれたすべての人を対象に、生まれてから現在までの追跡調査をしている1000人以上のデータを元にした研究です。

それによると、家庭環境の影響などを取り除いても、子どもの頃の自己制御の指標が高いと、45歳のときの「体や脳の老化が遅い」「加齢に対して肯定的な態度を示す」「人生に満足している」などの様々な影響があることがわかりました。(ちなみに、小児期から中年期にかけて「自己制御」が高まった人も同じポジティブな結果になっています)


◎102の研究のメタ分析からの発見

また、他にも自己制御の研究は多数行われています。そして、「自己制御」の研究を幅広く調べた102件の研究のメタ分析を見てみると、自己制御に関連する力が高い場合、ポジティブな影響があるという研究結果が確認されていました。



■「自己制御」を鍛えるための方法

では、「自己制御」「自己コントロール」を伸ばすためには、どのような介入が効果があるのでしょうか? こちらについても、複数の研究がされています。


◎子どもたちへの自己制御向上のプログラム
まず、「10歳以下の子どもを対象とした自己制御の向上の介入研究のメタ分析(41件)」によると、”介入時の実施人数が少ないほうが効果がある””短期的な介入のほうが効果につながりやすい”などが報告されていました。

また、「2~17歳の子どもを対象とした自己制御向上の介入研究(49件)」では、ほとんどの介入方法(例:運動、マインドフルネス、子育て方法、自己制御スキル)で向上が見られるなど、一定の効果が示されたようです。


◎日本における介入研究
また、日本における研究も紹介されています。日本の場合は、まだまだ発展途上のようですが、興味深い内容もいくつかありました。

たとえば、「自己制御行動を繰り返すことで、自己制御を高めることができる」としたバウマイスタ-らの主張を日本でも検証しており、たとえば、

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・姿勢を正すことを2ヶ月間心がけることで自己制御意図が向上する(竹橋,豊沢, 2015)
・日常生活のさまざまな行動(就寝時間など)を普段より5分間早めるトレーニングを13日間続けると、自己制御に関わる認知課題の成績が向上する(沓澤, 尾崎, 2019)
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などの研究があります。(ただメタ分析によると、トレーニングの効果は小さい、という指摘を含めた批判があり、「自己制御行動の繰り返し効果」については慎重にならざるを得ない、としています)

他にも「if~thenプランニング(もし~なら・・・する)」という計画(MCII:Mental Contrasting and Implementation Intention)なる方略も有名ですが、こちらも個人集団的な文化で効果があり、他者との調和が求められる集団主義的な文化(インドや中国)では明確な効果が示されなかった、といの結果もあるとのこと。


◎「運動」「課外活動」「日常生活」が大事
研究が幅広いがゆえ、再現を試みた研究による伝統的な実験の批判や、文化間の違いを考慮した効果量の小ささなどのツッコミなども含めて、バシッとした「これさえやっておけば自己制御は鍛えられます!」みたいなものはなかなか見られないようです。とはいえ、近年では新しい研究による、こんな発見もあるそうです。

・「運動」が脳の生理学的変化を引き起こしたり、スポーツ活動で必要とされる認知的要求によって、自己制御の促進につながる可能性が示されています。またチームスポーツだと自分の責任を守ることも求められるため、自己制御の促進につながる。

・大学生の「課外活動」(毎週の練習を必要とし、定期的なパフォーマンスのフィードバックが提供される学業以外の活動)への参加が、根気強さなどを鍛えることがわかった。日本でも運動部に所属していると、社会的自己制御が高いことがわかっている

・「日常生活」によって、一定のルールのもとで集団で学び、異なる年齢の集団で関わることで、多様な対人相互作用を経験し、達成や失敗を味わうことになる。こうした葛藤の中で課題を乗り越えることが社会的自己制御を鍛えることになる。

などが指摘されているそうです。

▽▽▽

たしかに、個人的に振り返っても、「ランニング」や「ピアノ」のレッスンを繰り返すことで、「もうちょっとだけペースを上げよう」と自分を律したり、「発表会に向けて、もうちょっと練習しなければ」と、自己制御力が高まっている感じもあります。

日々の生活を、意思を持って、丁寧に行うことが大事なのかも知れないな、そんなことを思った次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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 【編集後記】
◎「ラ・カンパネラ」ピアノ発表会まで・・・あと50日
◎「野辺山ウルトラマラソン100km」まで・・・あと69日

◯強み文献おかわり100本ノック:79本目
◯今月の健康&運動習慣:3月のランニング距離30km


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