配信日時 2025/02/18 12:00

「自己成長」の迷宮から抜け出すためにできること【カレッジサプリ】

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令和7年2月18日(第4012号)



「自己成長」の迷宮から抜け出すためにできること



株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 5447字/読了時間6分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は、1件のコーチング(受ける方)。
また研修プログラム開発などでした。



さて、本日のお話です。

「成長していないと、不安になる」。

先日、受けたコーチングのときに、自分の口からふと出た言葉です。
「成長教」とも言えるような、成長への執着をいつからか持つようになりました。これで助けられたこともありますが、ネガティブな側面もあります。大きな成長を感じられていないと、モヤモヤとする。そのモヤモヤの正体は不安感や自信が毀損される、などなど。

こうした+とーが引っ張り合う感情の中で、「なぜ成長に惹かれるのか?」「そもそも成長とは何か?」「健全な成長とは何か?」こうしたことを、自分なりに整理したいと思ったのでした。

今日はそんな「成長」をテーマに思ったことを書いてみたいと思います。
雑多な話ではありますが、よろしければお付き合い下さいませ。



■「成長」に惹かれるのはなぜか

「成長」という言葉には、不思議な力があります。

子どもが新しいことをできるようになったとき、純粋に「嬉しい!」と感じるあの感覚。まさに成長の代名詞のような事です。これは、子どもや大人に関わらず、人は成長を実感すると脳の報酬系が刺激され、「ドーパミン」が放出されるそうです。成長とは、単純に気持ち良いことなのです。

また、新たなスキルや能力を獲得すると、自信がつきます。「自分はできる」という感覚は安心感をもたらしてくれます。大人の場合は、経験し、成長し、スキルが高まることは、市場価値の向上につながり、それはキャリアの安定、経済の安定にもつながるでしょう。成長することで得られる安心感。これは「セロトニン」の分泌を促し、精神的な安定や幸福感を感じさせてくれるそうです。

さらに言えば、成長のための「挑戦」。すなわちストレッチゾーンに身を置くことは、脳を一時的にストレス状態に置きます。すると、ストレス反応として、「ノルアドレナリン」が放出されます。これが充実感を生み出すとされています。

成長とは脳内物質を放出させる。ゆえに、気持ちいい。脳内物質、恐るべし、です。

▽▽▽

その他にも、「成長がもたらすもの」には、心理学的な側面では、自己効力感や有能感が高まる、モチベーションが向上するとか、マズローの欲求階層説の話で「自己実現欲求を満たす」ことにつながる、また社会的な側面では、社会的な承認を得られる、なども挙げられます。

(このあたりは、ChatGPTさんが詳しく解説をしてくれていますので、以下ご参照ください)
https://chatgpt.com/share/67b3c98a-b228-8010-80e9-a5dac0ae15e7



■成長には「痛み」が伴う

さて、このように「成長」には、脳科学的にも、心理学的にも多くのメリットがあります。ゆえに「望ましいもの」と捉えられます。

では、どうすれば「成長」をすることができるのか?
特に、「大人」はどうすれば成長するのか?

そのキーワードの一つに「大人の学びには痛みが伴う」という話があります。

子どもはまだこれから様々な考えを獲得する時期です。いわば白紙に絵を描いている最中。しかし、大人はこれまで得てきたモノがあります。様々な信念や価値観。これがすでに自らのキャンパスに描かれているものです。

この信念や価値観が、自分の行動を制約したり、今の環境にそぐわないことがあります。ゆえに、新しい視点を手に入れるためには、これまでの信念を揺さぶる必要がある。そのプロセスには、「クリティカル・リフレクション(批判的内省)」が求められたり、それが、時に痛みを伴ったりするといわれます。



■成長には「課題が必要」である

では、どうすれば、痛みを伴う学びを含めて、成長することができるのか。

よく言われるのが「ストレッチゾーンに身を置く」ことです。ストレッチゾーンとは背伸びが必要な領域。つまり、これまで経験したことのない新しい領域に自ら踏み出していくことです。

そのためには「ストレッチさせる”課題”」が必要になります。新しい場に身を置くのか、新しいプロジェクトを自分が立ち上げるのか、いずれにせよ、「課題」がなければ人は成長ません。

▽▽▽

この理由について、書籍『成人発達理論による能力の成長 -ダイナミックスキル理論の実践的活用法-』という本で解説されています。

特に大人が「能力の成長」させることにについて、以下のような成長のポイントが語られていました。

(ここから)
――――――――――――――――――――――――――――ーーーーーーーーー
<人が「成長」するためのキーワード>

1,『発達の網の目』のメタファー
一つのスキルが直線的に伸びるのではなく様々な能力がお互いに関係し合いながら成長していく。(つまり、幅がある多様な経験をすることが、能力の成長のためには大事)

2.能力の『環境依存性』
人は周りの環境によって、能力を発揮できる幅が変わってくる。前職で優秀でも、次の職場では能力が発揮できない、というように「能力は環境に依存する」という事実がある。(ゆえに、自分の能力が発揮される状況、特性などを自分でも自覚しておくことが大事)

3.能力の『課題依存性』
私たちは、”具体的な課題”を通してしか、成長ができない。つまり、何かの能力を高めるためには具体的な課題をしないとダメ。(例えば、英語のスピーキング能力も、実際に話をするという課題がないと能力は伸びることはない、つまり「場」を設けよ!ということですね)

4,能力の『変動性』
私たち自身の感情状態、身体状態でも発現できる能力が変わってくる
(いつでも100%力が出せるとは限らない、ということ。力が出せる、感情・身体状態を理解しましょう)

5.成長と時間の関係『マクロ・メソ・ミクロな成長』
年単位の成長(マクロな成長)のためには月単位の成長(メソな成長)が必要で、メソな成長のためには1日単位の成長(ミクロな成長)が必要である。(日々の成長を大事にできなければ、能力の成長は起こらないということ。目に見えずとも1分1秒の成長が大事です)

6.『フラクタル』な能力の成長をする
「能力の成長」とは、点→線→面→立体、そして立体が点となり、線、面、立体とまた大きくなることを続けていく、雪の結晶のような構造をしている。(★同じことを繰り返しているようでも、レベルが変わってきているのです。それは微妙な差異ですが、能力の成長において重要なポイントです)

※今週の一冊『成人発達理論による能力の成長 -ダイナミックスキル理論の実践的活用法-』https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/9453/
――――――――――――――――――――――――――――ーーーーーーーーー
(ここまで)

特に、成長について強調したいことが「3.能力の『課題依存性』」です。

人は、具体的な課題を通じてしか、成長することができないのです。
畳の上の水連では、成長はない。つまり、ストレッチに身を置きながら、自らが経験することが、やっぱり必要になってきます。

大人の学びは痛みを伴う、にも繋がる重要な視点です。


■成長への執着による「不健全な痛み」

「修羅場体験」とか「ハードシングス」という言葉があります、これがリーダーを育てると言います。

まさに、その通りなのでしょう。想像を超える事件や事故、人間関係の強烈な葛藤や軋轢、破綻寸前のプロジェクトへの対応。そうしたものが、リーダーとして成長に繋がり、人としての器を広げるのでしょう。その痛みを選び、受け入れ、乗り越えた人が、リーダーとして成長をしていくのかもしれません。そして、ちょっとかっこよさもあります。

一方、こうした「修羅場体験」や「ハードシングス」はある意味、生々しさがにじみ出る言葉でもあります。

ある経営者は「リーダーになるなら、そうした痛みを受け入れなければいけない。たとえ下から何と言われたとしても。」と述べていました。

▽▽▽

ここで、「成長につながる痛み」に関して考えてみたいと思います。また私の話に戻って恐縮ですが先日のコーチングで、こんなフィードバックをもらいました。

「紀藤さんは、自分を痛めつけていないと、成長していると感じられないように見えます。特に、これまで色んな話を聞いていると、自尊心が毀損されるような、そんな攻撃的な状況や人に対峙することを”成長”と見ているようにも思えます」

周りに影響を与えるリーダーとして、自らを成長させていきたいという気持ち。そこに必要とされる、痛みを伴う修羅場経験への憧れ。

それが「とにかく痛くなければいけない」という前提になり、とにかく攻撃的、カオスな状態に引き寄せようとしてしまう。
本当はそうしたくないのに、食べたくないのに、「こうしたいという願いや目標」がなく、「修羅場経験」をとにかくすればいい・すべきだ、と思っている自分がいる。。。

自分の「リーダーになることへの憧れ」「修羅場経験をすることへの憧れ」そこが、痛ければいいという「不健全な形」であり、「成長に対する執着」のようにも感じるのでした。

でも、ただ痛いだけでのものに、果たして意味があるのか?
ここには、疑問が残ります。



■成長は「プロセス」か「目的」なのか

しかし、成長とはマズローの自己実現欲求にも繋がる要素として、その人の根源的な欲求にも繋がるようです。

そこを考える上で、私の周りの経営者の言葉を紹介したいと思います。ある経営者はこんな事を言っていました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「リーダーを選んだ・選ばなかったが良い悪いではない。修羅場をしているから偉いわけでもない。
その人はその人で、その価値は変わらない。
ただその痛みを引き換えにしても、自分のやりたいことがあるかどうか、だと思う」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この考えには、「痛みを伴う成長」が目的というより、やりたいことを行うプロセス、痛みを伴う経験が副産物として生まれてくる、とも考えられます。

別の経営者は、「成長」に関して、こんな話をしていました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「事業の成長のために、メンバーの成長があるのではない。
 ”メンバーの成長そのものが目的”である」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

これは、管理職が部下を育てる上でのメッセージでしたが、特に若手メンバーであれば「成長」によって本人の市場価値向上につながり、結果的に幸福度などを高めることに繋がるから、という視点にも思えます。

これまでの話から考えると、どちらもその通りですが、いずれにせよ「成長する」単体で考えるという選択肢は、あまり効果的ではない、のかもしれません。



■「健全な成長」のためのステップ

色々と書いてきてしまいましたが、「成長に惹かれる理由」「成長に痛みが伴う」「成長には課題が必要である」「成長への執着による不健全な痛みには注意する」「成長はプロセスであり、目的でもある」と、順を追って書いてまいりました。

では、これらの上で、私が考える「健全な成長」のためのステップとはなにか? シンプルに3つです。いつ何時もできるかどうかわかりませんが、理想としてはこうあれたら、きっと健全だろうということ。

▽▽▽

まず1つ目が、「自分の中の願い」を育てること。

よく、目標には「ありたい(Being)」「やりたい(Doing)」「手に入れたい(Having)」と言います。こうした願いがないと、何のために成長するのかがそもそもわかりません。

ただし大事なのは「ありたいレベル(Being)で終わらせないこと」です。

私のように「成長したい」という、”成長への執着”だけが肥大化すると、「成長した自分になりたい(Being)」という、目標なのか目標じゃないのかなんだかわからないものになってしまいます。



そこで2つ目の、「具体的な課題」を設定すること。

「成長には課題が必要である」(=能力の課題依存性)でお伝えしたように、わたしたちは、特定の課題に取り組まないと成長はありません。

これは仕事が取り組みやすいと思いますが、「同ジャンルで1位のユーザーを獲得する」でも「破綻寸前のプロジェクトを立て直す」でも、「営業で1位になる」でも、「副業に挑戦する」でも、特定のプロジェクトとして課題に取り組む必要があります。

ただし、周りがこの課題を与えてくれるとは限りません。成長している業界や領域であれば、経験資源が豊富にありますが、そうではない場合も増えてきています。その場合は、自分で設定する必要があります。難しければ、周りを巻き込んだり、場を設定する工夫は必要になるでしょう。



そして3つ目が、「課題に取り組むプロセスで成長を求める」こと。

その道に、修羅場経験やハードシングスがあれば、それが意図的でも偶然でも、引き受ける選択をしてもよい。それは大きな成長には繋がるし、ストレスと引き換えに、達成する喜び、充実感、社会的な承認、安心感など、様々な脳内物質としての報酬(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン)も得ることができます。

大事なのは、ここで、一般的な修羅場体験やハードシングスに置き換えず、誰かと比較せずに、自分の種の中でのストレッチゾーンを設定して動けば、同じように脳内の報酬を得ることはできるし、自己実現に近づくこともできる、ということです。

自らの可能性を安易に縮めないために、ストレッチゾーンとパニックゾーンの間を、他者の提案、環境やタイミングでの偶然も受け入れつつ、「成長によるメリット」を味わっていく。そうすることで、「成長欲求の迷宮」の中を、楽しく冒険することができるのかもしれない・・・、そんなことを思うのでした。

自分で高らかに目標を掲げ、手と足を動かす課題に取り組む。
何かの作品を作り上げる中で、頭と心をフル回転させる課題に取り組む。

そうしたことで、今の自分から一歩進ませてくれる「成長の喜び」に出会えるのかもしれない。

そんなことを思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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https://note.com/courage_sapuri/n/nb5727360bf91
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 【編集後記】
◯強み文献おかわり100本ノック:79本目
◯今月の健康&運動習慣:2月のランニング距離50km

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