配信日時 2025/01/29 07:58

感情伝染 ~ポジティブもネガティブも人に伝わってしまうメカニズムとは?~【カレッジサプリ】

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令和7年1月29日(第3992号)


感情伝染 ~ポジティブもネガティブも人に伝わってしまうメカニズムとは?~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2721文字/読了時間4分)


■こんにちは。紀藤です。

引き続き、沖縄に来ております。昨日は2件のアポイント。
友人の紹介で沖縄で経営をされている方とお会いし、ご縁の広がりを感じました。
(S社長、Sさん、ありがとうございました)

また夜は、息子(4歳)の誕生日お祝いなどなど。
時が経つのは、早いものです。



さて、本日のお話です。

「ポジティブな人がいると、なんか雰囲気がよくなる」。
「ネガティブな人がいると、なんとなく雰囲気が悪くなる」

こういう体験をされたことがある人、少なくないのではないでしょうか?さて、この現象は『感情伝染』と呼ばれ、いくつかの研究がされています。

この「感情伝染」について実験した、2002年のある研究があります(引用数5174と有名な論文です)。本日はこの論文の内容からの学びを、皆さまに共有させていただければと思います。

職場で不平不満を言う人が良くない理由、また職場で笑顔でいる人がGOODな理由、それが明確にわかる論文でした。

それでは、早速みてまいりましょう!

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<今回の論文>
タイトル:The Ripple Effect: Emotional Contagion and Its Influence on Group Behavior(波及効果:感情伝染とその集団行動への影響)
著者:Sigal G. Barsade
ジャーナル:Administrative Science Quarterly, 2002年
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■2分でわかる本論文のポイント

・現代の組織では、チーム志向が進む中で、「集団内の共有プロセス」の重要性が増している。しかし、これまでの研究は主に「認知の共有」に焦点を当て、「感情の共有」については十分な研究が行われてこなかった。

・特に、感情伝染が組織やチームのパフォーマンスに与える影響については、理論的な議論はあるものの、因果的証拠に基づく研究は乏しかった。

・本研究では、感情伝染(emotional contagion)について、94名の参加者に対して、管理職の意思決定ケースを用いた実験を行った。

・2×2の実験デザイン(ポジティブorネガティブ、高エネルギーor低エネルギー)を採用し、演劇の訓練を受けた協力者が「それぞれの感情の状態」を演じた。

・その結果、予測されたように「感情伝染」が確認された。感情伝染は、個々の態度や行動、グループレベルのダイナミクスに有意な影響を及ぼしており、協力の向上、対立の減少、タスクパフォーマンスの向上に寄与することが示された。

という内容です。

平たく言えば、「感情伝染は起こるし、個人の態度・行動にも、グループダイナミクスにも影響を与える」ということです。



■研究の概要

では、具体的にどのような実験を行ったのかをみていきたいと思います。
以下、研究の概要についてまとめてみます。


◎研究の方法

参加者: 94名のビジネススクールの学生

実験内容:参加者が管理職となり、自部署の従業員へのボーナスの配分を交渉するという管理職訓練(リーダーレス・グループ・ディスカッション:LGD=対人スキルや活動レベルを診断する方法と知られている演習)を行った。自部署の候補者に2~3分プレゼンし、グループで交渉を行い、できるだけ多くのボーナスを獲得することを参加者は目指した。

デザイン: 2×2の実験デザイン。協力者が「ポジティブorネガティブな感情」✕「高エネルギーor低エネルギー」の状態を演じてグループに参加をした。(例えば、ネガティブ+高エネルギーでは、”強い口調で否定的なことを早く喋る”などを演じた)評価方法: 外部評価者による「感情評価」と「参加者自身の感情報告」を用いた。さらに、個人の態度、グループ内プロセス、タスクパフォーマンスを多角的に測定。


◎「感情伝染」のモデル

「感情伝染のモデル」としては、「グループメンバーの感情」→「感情の伝染」→「個人とグループの成果への影響」というものが示されています。

より詳しく言うと、以下のようなプロセスが生じます。

STEP1:「グループメンバーの感情」(感情的価値:ポジティブorネガティブ)(感情エネルギー:高いor低い)が、
STEP2:「感情の伝染」(潜在意識の原始伝染 例:赤ちゃんも大人の感情を敏感に察知する)(意識的な感情比較 例:非言語の表情から情報を得る)に影響し、
STEP3「個人とグループの成果への影響」(協調性、対立、タスクパフォーマンスなど)に影響する


◎仮説と結果

とはいえ、より詳しく考えると、いくつか疑問も残ります。
それを、6つの仮説を検証する形で調査していきました。以下、わかったことをまとめます。

「そもそも感情伝染は存在しているのか?」(仮説1) →支持された
「ネガティブ感情のほうがポジティブ感情より伝染しやすいのでは?」(仮説2) →支持されなかった
「高エネルギー感情の方が伝染しやすいのでは?」(仮説3) →支持されなかった
「ポジティブ感情伝染は協力を促進する?」(仮説4) →支持された
「ポジティブ感情伝染は対立を減少させる?」(仮説5) →支持された
「ポジティブ感情伝染はタスクパフォーマンスを向上させる?」(仮説6) →支持された



■結果わかったこと

上記のことから、感情伝染についてわかったことをまとめます。

(1)「感情伝染」は、たしかに起こる
・グループ内で感情が他のメンバーに伝播することが明確に確認された。
・外部評価者と参加者の自己報告が一致しており、ポジティブ感情伝染が特に顕著であった。

(2)ポジティブな感情は、グループに良い影響を与える
・協力の増加:ポジティブな感情がグループ全体の協力を促進した。
・対立の減少:ポジティブ感情が内部対立の頻度と強度を減少させた。
・タスクパフォーマンスの向上:ポジティブな感情伝染を経験したグループでは、タスク完了能力が向上し、参加者は自分たちのパフォーマンスを高く評価した。

(3)感情のエネルギーやポジ・ネガの違いは感情伝染に影響を与えない
・感情のエネルギーレベル(高エネルギー vs 低エネルギー)や感情の心地よさ(ポジティブ vs ネガティブ)による効果の違いは確認されなかった。



■まとめと感想

研修でファシリテーションをしていても、グループごとに対話の内容が明らかに変わることを感じます。それは、「ポジティブな人がいれば、そのグループは場も明るくなりやすい」「ネガティブな発言をする人がいれば、緊張感が生まれやすい」などです。

そういう感覚は持っていましたが、「それ(感情伝染)が明確に存在する」こと、「エネルギーが低くても、感情伝染はする(だまってムスっとしていても伝わる)」「感情伝染は、個人やグループの成果に影響する」という事実を認識することは、私たちが人と接する上で感情の取り扱いに、一つの示唆を与えてくれるように感じました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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 【編集後記】
◯強み文献おかわり100本ノック:77本目
◯今月の健康&運動習慣:1月のランニング距離116km

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