配信日時 2025/01/28 08:33

感謝の目撃効果 ~「ありがとう」が助け合いと親和行動を増やす~【カレッジサプリ】

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令和7年1月28日(第3991号)


感謝の目撃効果 ~「ありがとう」が助け合いと親和行動を増やす?!~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3679文字/読了時間4分)


■こんにちは。紀藤です。

引き続き、沖縄に来ております。
(なぜか沖縄に来るといつも雨&すごい風(汗))

昨日は1件のオンラインアポイント。
ならびに出版の企画書作成などでした。
その他、8kmのランニング。



さて、本日のお話です。

本日は論文のご紹介です。テーマは「感謝」。

感謝をすることが、感謝をした人・された人だけではなく、「感謝を目撃した人」に対してもどのような影響があるのかについて、1800名以上を対象に実験した研究です。

結果、「感謝を目撃した人は、助け合い行動が増えたり、親密感を示す行動が増える」などの影響があることがわかったのでした。「感謝」の影響は、予想よりもスゴそうです。ということで、詳しく見てまいりましょう。

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<目次>
今回の論文
1分でわかる本論文のポイント
研究の内容
実験1: 感謝表現が第三者目撃者の助け合い行動を促進するか
実験2: 感謝の効果が単なるポジティブな表現とは異なるか
実験3: 「タイポ」という言葉の注意喚起効果を検討
実験4: 感謝表現が親和的行動を引き起こすか
実験5: 感謝表現が第二者への親和的行動を引き起こすか
実験6: 感謝の「他者称賛」要素の効果を検証
実験7: 感謝表現における「応答性」の認識が目撃者に与える影響
実験8: 感情の伝染ではなく「社会的情報」としての感謝の効果を検証
結果(わかったこと)
まとめと感想
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<今回の論文>
タイトル:A New Perspective on the Social Functions of Emotions: Gratitude and the Witnessing Effect(感情の社会的機能に関する新たな視点:感謝と目撃効果)
著者:Sara B. Algoe、Christopher Oveis
ジャーナル:Journal of Personality and Social Psychology: Interpersonal Relations and Group Processes, 2020
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■1分でわかる本論文のポイント

・感情は、個人の行動や社会的相互作用を調整するとされています。これまでの研究では、感情の内的機能や対人的な影響に重点が置かれてきました。一方、感情がグループ全体に与える影響はほとんど検証されていません。

・本研究では、感謝の社会的影響に関して新しい理論アプローチを用いて、新たな予測を導き出しました。それが「感謝の目撃効果」理論です。

・この理論では、「感謝の表現が第三者の目撃者にどのような行動的および認知的影響を及ぼすか」を示します。8つの実験(N=1,817)を用いて、目撃者が感謝の表現を観察しました。

・その結果、感謝を目撃した人(第三者)は、感謝を示した人(第一者)と感謝を受けた人(第二者)の両者に対して助け合い行動や親和的な行動をとることがわかりました。

・本研究は、感情がどのようにグループ全体の関係を同時に構築できるかを示し、感情の社会的機能に関する理論を大きく前進させるものです。

という内容です。

なるほど、「感謝を目撃することが助け合いや、親和的な行動が増える」。これは職場でも家庭でも学校でも、大切な示唆になりそうです。



■研究の内容
それでは、具体的にどのような研究を行ったのでしょうか?

本研究では、8つの実験を、合計1817名の参加者に対して行いました。

ざっくりとした内容としては、「文章の誤りを指摘した人が、感謝される様子を見て、本人の行動はどう変わるのか?」や、「感謝を表現する人に対して、自己開示する情報レベルは変わるのか?」などを、実験群・対照群を用いた実験で調査をする、というような実験です。

この実験では、このような定義をしています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・第一者(感謝する人)
・第二者(親切な行いをして、感謝される人)
・第三者(感謝表現を目撃した人)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

以下、8つの実験についての仮説と方法、そして結果をまとめます。
(長いので、お読み飛ばしいただいてOKです)


◎実験1: 感謝表現が第三者目撃者の助け合い行動を促進するか
仮説:感謝を目撃した第三者は、感謝を示した第一者に対して助け合い行動を増加させる。

方法:第一者が第二者に感謝を述べるシナリオと、感謝を述べないコントロール条件を提示しました。/目撃者(第三者)はその後、第一者を助ける機会が与えられました(例: タイポ修正)。

結果:感謝表現を目撃した第三者は、コントロール条件と比較して第一者を助ける頻度が有意に高まりました。



◎実験2: 感謝の効果が単なるポジティブな表現とは異なるか
仮説:感謝表現は、単なるポジティブな表現(例: 「お疲れ様!」)よりも目撃者の助け合い行動を促進する。

方法:「ありがとう」の表現を示す条件、ポジティブな表現を示す条件、コントロール条件の3つを比較。目撃者の助け合い行動を測定しました。

結果:感謝表現は、ポジティブな表現やコントロール条件よりも助け合い行動を有意に促進しました。



◎実験3: 「タイポ」という言葉の注意喚起効果を検討
仮説:感謝表現の効果は「タイポ(タイプミス)」という具体的な言葉の使用に依存しない。

方法:コントロール条件で「タイポ」という言葉を使用し、感謝条件との比較を行いました。

結果:「タイポ」が含まれるコントロール条件でも、感謝条件のほうが助け合い行動が有意に高い結果を示しました。



◎実験4: 感謝表現が親和的行動を引き起こすか
仮説:感謝を目撃した第三者は、第一者に対してより親和的な行動を示す(例: 自己開示)。

方法:第一者が第二者に感謝を述べる動画を提示。その後、目撃者が第一者に対して自己開示する意欲を測定しました。

結果:感謝表現を目撃した第三者は、コントロール条件よりも第一者に対して自己開示行動を示しました。



◎実験5: 感謝表現が第二者への親和的行動を引き起こすか
仮説:感謝を目撃した第三者は、感謝を受けた第二者に対しても親和的行動を示す。

方法:第一者が第二者に感謝を述べる動画を提示。その後、目撃者の第二者に対する親和的行動(例: 接触意欲)を測定しました。

結果:感謝を目撃した第三者は、コントロール条件よりも第二者への親和的行動が増加しました。



◎実験6: 感謝の「他者称賛」要素の効果を検証
仮説:感謝表現の中で「他者を称賛する」要素が、目撃者の行動を促進する重要な要因である。

方法:感謝表現に「称賛」の程度を操作した条件を用意。その後、目撃者の助け合い行動と親和的行動を測定しました。

結果:称賛度が高い感謝表現ほど、目撃者の行動(感謝をした人と結びつきたいと思う)を強く促進することが確認されました。



◎実験7: 感謝表現における「応答性」の認識が目撃者に与える影響
仮説:感謝表現を目撃した人が第一者(感謝する人)を「応答性が高い人(相手をよく理解している、相手を能力を高く評価している人)」と認識することが、助け合い行動や親和的行動を促進する主要な要因である。

方法:第一者が感謝を述べる動画を提示し、その「応答性」を測定。次に、目撃者の助け合い行動と親和的行動を比較しました。

結果:目撃者が第一者を「応答的」と認識するほど、助け合い行動と親和的行動が高まりました。



◎実験8: 感情の伝染ではなく「社会的情報」としての感謝の効果を検証
仮説:感謝表現の効果は、単なる感情の伝染ではなく、社会的情報としての認識に基づく。

方法:感謝表現を目撃した後の第三者の助け合い行動を測定し、「感情伝染」の影響を統制。

結果:感情伝染の影響を排除しても、感謝表現の効果が継続して確認されました。



■結果(わかったこと)
上記の実験をまとめると、以下のようなことがわかりました。

(1)感謝表現を目撃した人は助け合いや親和行動が増える
感謝表現を目撃した第三者は、感謝を示した人(第一者)や感謝を受けた人(第二者)に対して、より助け合いや親和的行動を示す傾向があることが確認されました。

(2)感謝表現の中でも、他者を称賛する行動が重要
感謝表現の中でも、他者を称賛する要素が重要であり、称賛度合いが高いほど目撃者の行動に強い影響を及ぼしました。

(3)感謝を表現した人や受けた人への評価に影響がある
感謝を表現した人は「応答性が高いが高い」と認識され、感謝を受けた人は「道徳的に優れた人物」と見なされる傾向が強まりました。



■まとめと感想
本研究の考察では、「感謝の表現が、グループ全体の関係性に、直接的にも間接的にも影響を与えていることを明確に示した」と述べています。

感謝をする・されることによる直接的な嬉しさなどは言うまでもありません。それに加えて、感謝をする人に対しても「あの人は相手のことを理解している人だ」「相手の能力を適切に認められる人だ」という評価が高まります。また、感謝をされた人は「親切な行動をできる人なんだ」と評価が高まります。

そして、感謝表現を見ていた人は、感謝をした人には「もっと助けてあげよう」と思いますし、した人・された人のどちらに対しても「この人ともっと近づきたい!」という欲求を喚起させるようです。そして、感謝よりも称賛のほうが、よりインパクトは強い。

まさに「ありがとう」は社会の潤滑油。

「やって当たり前」「ありがとうなんて言われたことがない」という話を、職場で聞くことがありますが、改めて「感謝の効果」を考えてみるのも大事だと思わされた論文でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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 【編集後記】
◯強み文献おかわり100本ノック:76本目
◯今月の健康&運動習慣:1月のランニング距離116km

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