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令和6年11月13日(第3915号)
「思い出の旅行体験」を実現するための7つのポイントとは?
ー強みの研究からわかったことー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3170文字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、終日オンラインのリーダーシップ研修でした。
まだまだ続きます。今週・来週はがんばりどきです。
*
さて、本日のお話です。
本日は「強み」に関する論文のご紹介です。
突然ですが、皆さまは旅行はお好きでしょうか?
今回の論文は「思い出に残る観光体験と性格の強み」の繋がりという、面白い研究内容となっています。「自分の”性格の強み”を活用すると、思い出に残る旅行体験になる(!)」という、一見しただけではわかりづらいことが、本研究では明らかにされています。
ということで、早速内容をみてまいりましょう!
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<目次>
今回の論文
60秒でわかる本論文のポイント
研究の概要
思い出に残る旅行体験とは
参加者
研究方法
結果
わかったこと1:思い出に残る旅行体験では、「審美眼」「好奇心」「感謝」「チームワーク」の強みを使っていた
わかったこと2:旅行体験から得られる価値は「知識の習得」「友情」「個人的成長」などだった
わかったこと3:参加者は今後の旅行において「性格の強み」を意識したいと思うようになった
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<今回の論文>
タイトル:『Journaling Memorable and Meaningful Tourism Experiences: A Strengths-Based Approach to Technology-Mediated Reminiscence』(思い出に残る観光体験のジャーナリング:テクノロジーを活用した回顧のための強みベースアプローチ)
著者: C.K. Bruce Wan, Cees de Bont, Paul Hekkert, Shuxin Li, Atila Yüksel
掲載誌: Journal of Hospitality and Tourism Management, 2023年8月
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■60秒でわかる本論文のポイント
本研究は、旅行者が過去の旅行体験を振り返る際にポジティブ心理学的介入(「性格の強み」の活用など)を用いることの効果を検証しました。
研究では、強みベースのジャーナリングプラットフォーム(=旅行を記録し回想する&自分の強みがどこで使われたのかを紐づけるアプリ)を構築し、観光客が自分の強みと旅行体験を結びつけることを行いました。
参加者のアウトプットを分析した結果、旅行体験において最もよく活用した強みには、「審美眼(23.5%)」「好奇心(21.6%)」「感謝(17.6%)」「チームワーク(17.6%)」が含まれていました。
そして、この観光体験から得られることとして、「知識の習得(23.5%)」「友情(21.6%)」「個人的成長(21.6%)」「調和(19.6%)」などを挙げ、知識の習得や友情の構築が観光体験を豊かにすることを認識しました。
参加者は体験を再現し、自己認識を深め、今後の旅行計画に対してより明確な目標を設定する意欲が高まることが示されました。
という内容です。
■研究の概要
さて、本論文のストーリーは「思い出に残る旅行体験」を、ツールを使って振り返ることで、「ああ、いい思い出だったなあ。成長や知識など得られたなあ(回想)」→「旅行では、”審美眼”の強みを使っていたなあ(強みの自己認識)」→「これからの旅行をより豊かなものにするために、○○の性格の強みを活用したりできそうだ(今後の計画」と思うようになった、というのが大きな流れです。
もう少し詳しく内容を解説いたします。
○思い出に残る旅行体験とは
思い出に残る観光体験(Memorable Tourism Experiences, MMEs)を構成する要因として、以下の7つが挙げられています。
(ここから)
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1,快楽(Hedonism)
体験そのものが楽しい、もしくは快楽的であること。喜びや楽しみを感じることで、体験がポジティブに記憶されやすくなる。
2,リフレッシュ(Refreshment)
心身ともにリフレッシュできること。日常生活から解放され、リラックスしたり、エネルギーを回復したりすることで、充実した体験として記憶される。
3,地元文化(Local Culture)
訪れた地域の文化に触れること。地元の人々や習慣、歴史に対する理解が深まり、体験がより個性的で意味のあるものとなる。
4,意味のある体験(Meaningfulness)
その体験が個人的に重要であると感じること。自分にとって価値あるものとして意味づけられ、心に強く刻まれる。
5,知識の習得(Knowledge)
新しい知識や情報を得ること。観光地の歴史や文化、自然について学ぶことで、充実感や満足感が得られる。
6,関与(Involvement)
自らが積極的に関与できる体験であること。体験に参加し、自分の役割や影響を感じることで、より深い記憶に残りやすくなる。
7,新規性(Novelty)
今までに経験したことのない新しい体験であること。驚きや発見があることで、体験が独自性を帯び、記憶に残りやすくなる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
これらの要因は、観光者が過去の体験を特別なもの(思い出に残る)として記憶するために重要な役割を果たすとされています。
○参加者
・10名の観光者。 主に26歳から35歳(7名)および36歳から45歳(3名)
・ 参加者のうち6名がアジア(中国、インド、インドネシア、香港)、3名がアフリカ(ナイジェリア、ガーナ)、1名がヨーロッパ(イギリス)。
○研究方法
以下のプロセスに従って研究が進められました。
1、旅行者が自身の性格の強みプロファイル(VIA-IS調査を使用)に基づいて旅行体験を記録し、体験に基づいた自己認識を深めるためにインタラクティブジャーナルを使用した。
2,参加者は、過去の旅行体験を9つのセクション(例: 人物、場所、アクティビティ、ピーク時の感情、強み、価値)に分けて入力し、それぞれの体験をどのように意味づけ、強みを活かしたかについて記述した。
3,データは質的分析を用いてコード化し、テーマ別に分析した。
■結果
以下、研究でわかったことを列挙いたします。
○わかったこと1:思い出に残る旅行体験では、「審美眼」「好奇心」「感謝」「チームワーク」の強みを使っていた
参加者が最もよく活用した強みには、「審美眼(23.5%)」「好奇心(21.6%)」「感謝(17.6%)」「チームワーク(17.6%)」が含まれていました。
これらの強みは、観光体験において自然との触れ合いや新しい文化の発見、グループでの課題達成などに関連していました。
○わかったこと2:旅行体験から得られる価値は「知識の習得」「友情」「個人的成長」などだった
参加者はこれらの体験を通して得られる価値として、「知識の習得(23.5%)」「友情(21.6%)」「個人的成長(21.6%)」「調和(19.6%)」などを挙げ、知識の習得や友情の構築が観光体験を豊かにすると認識していました。
○わかったこと3:参加者は今後の旅行において「性格の強み」を意識したいと思うようになった
参加者が過去の体験を振り返る中で、自身の「性格の強み」を認識し、今後の旅行計画でその強みをさらに発展させたいと考える傾向が示されました。
参加者は特に、得られた価値を重視し、使用した強みを活かす旅行計画に意欲を示しました。
■まとめと感想
本論文で、「思い出に残る旅行体験」の7つの要素が定義されていたことが興味深いものでした。
確かに自分自身も振り返ってみれば、それぞれの要素(快楽,リフレッシュ、地元文化、意味ある体験,知識の習得、関与、新規性)などがあると、記憶に残る体験になっていたなあ、と思います。
その中で、思い出に残る体験にするためには、「どこにいくか」という場所選びは一つの要因にすぎません。
その場所に積極的に飛び込むとか,人と関わるということがあってこそ、かけがえのない経験になるわけです。
じゃあ、そんな体験のときに自分はどんな強みを使っていたのだろうか?と考えると、今後の旅行に、自分はどのように考え、感じ、行動するとよいか、というヒントが見えてくるのでしょう。
そのことが、わかったこと3の結果には現れているように思いました。
こうした強みの使い方もあるのか!と興味深く感じた論文でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯強み文献おかわり100本ノック:59本目
◯今月の健康&運動習慣:11月のランニング距離:49km
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