配信日時 2024/09/03 23:46

あるキャリア研修からみる「越境せよ!では越境しない」という現実【カレッジサプリ】

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令和6年9月3日(第3843号)


あるキャリア研修からみる「越境せよ!では越境しない」という現実


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2423字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

先日、人材開発・組織開発プロジェクトでご一緒している、大学院の仲間と「キャリア研修」について、ディスカッションの機会がありました。

私も、一応キャリコンなど持っており、「キャリア研修」は企画&実施しています。ですが、そういった自分のやり方があると、「自分はこう思う」という考え方に、囚われてしまうことも。

 しかし、同じ領域を違う角度から見る方と改めて対話すると「そもそも本当にそれでいいんだっけ??」と、批判的に己を振り返る機会になります。

そんなふうに、昨日のディスカッションも大いに学び深い時間で、大事なこと見落としていたな、としみじみ感じていたのでした。ということで、今日はそんな「キャリア研修」にまつわる気づきを、お伝えさせていただければと思います。
それでは、まいりましょう。

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<目次>
「キャリア研修」の王道パターン
「越境が大事」という考え方
「越境せよ!」では「越境しない」現実
「今、目の前にある世界」で何ができるか
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■「キャリア研修」の王道パターン

「キャリア”とは、”轍(わだち)”のようなもの」と言われることがあります。

キャリア研修の王道とは、過去→現在→未来と、自らに軸を探求するような流れです。

たとえば、自分がこれまで歩んできた道筋(車輪の跡)を振り返り、ライフラインチャート(感情曲線)などを描いて自分に影響を与えた出来事を振り返る方法もあります。

あるいは、「キャリア・アンカー」のように、”キャリアにおいて譲れない軸(錨)”を、いくつかのパターンから見つける方法もあれば、または自分の尊敬する人や心惹かれる物語(映画や本)、名言などから、自分の価値観を言葉として編み上げていくようなものもあります。

いずれにせよ過去を振り返り、「自分の軸は何か?」を見定めるというプロセスは「キャリア研修」において、王道の流れの一つと言えそうです。

そして、その上で「現状」を分析し、職場環境、自分の役割、自分の強み・弱みを見定める。そして「未来」これからどうなっていくのかという市場変化を検討し、自分なりにアクションプランを立てていく。

繰り返しになりますが、そんな過去→現在→未来という流れで自分自身を探求するのが「キャリア研修の一つの王道パターン」といえなくもなさそうです。



■「越境が大事」という考え方

さて、そんなキャリア研修の中では、「越境学習の重要性」が語られることがあります。

越境学習とは、「所属する組織の枠を超えて(越境)、異なる環境に身を置くことで新たな視点や知見を獲得すること」と表現されることがあります。

自分の慣れ親しんだ環境から外の世界にいく。すると、全く違う当たり前が見えてきて、そこから新たな可能性に気づく。こうした組織を離れた越境学習はキャリアにおいて、「組織に依存するのではなく,あなた自身が何ができるのか」を探求する上で役に立つ、と考えることもできます。

ちなみ、私もその考え方は「賛成派」です。

慣れ親しんだ環境から離れて、たくさんの人と経験に出会うからこそ、見える世界もある、気付けることもある。このことは体感として身に覚えがあるからです。



■「越境せよ!」では「越境しない」現実

ですが、あるキャリア研修の事例を聞いた時に、そうした「越境学習を大事とするキャリア研修は、期待よりも、うまくいかない」という話を聞きました。

なぜ上手くかないかというと、行動に繋がらないから、とのこと。
すなわち、自分の可能性を考えて、「こんなコミュニティを探してみようと思います」と宣言するものの、結局、行動できずに終わることが少なくないない、、、とのこと。

・・・なるほど、言われてみれば確かに、です。
「越境せよ!」と言われて、アイデアを出すことはできるかもしれません。ですが、「アイデアを出すこと」と「実際に一歩踏み出すこと」は、また違うものです。

運良く、興味があるコミュニティを見つけたとします。しかし、そのコミュニティの説明会に申し込むのも勇気がいります。もしそれが普段から外に出ていない人だとしたら、なおさらそうでしょう。すると、「今忙しいし,またにしようかな・・・」と流れることもままあります。

あるいは、勇気を持って飛び込んだとしても,新しい場に馴染み、自分が変化変容を感じるまで奮闘することも、実際はなかなか高いハードルです。そういう意志を持っている人は、言われなくても既に「越境」しています。

そう考えてときに、「キャリア研修で越境せよ!」と、その場で行動計画を立てても、行動できない(あるいは途中で断念してしまう)可能性が高い,となるわけです。そうい現実の話を聞いて、確かにそうだよな。。。と納得してしまったのでした。

※もしこうした行動計画を実践させるなら、「個別に、かつ継続的にサポートしてくれる人(コーチなど)」が必要になると思います。



■「今、目の前にある世界」で何ができるか

では、「越境」の代わりに何ができるのか?

そこで、先日話をする中で,大変納得したこと。
それが「今、目の前にある世界で自分ができることを考える」という話です。

今の職場において、「現状できることを全てやり切っている」という人は、意外と少ないと思われます。多くは「本当はこういうことやったほうがいいのにな」と思いつつ、現状維持をしていることもままあるもの。

「小さな一歩」とは、職場の人間関係を少し変えることかもしれないし、ちょっとした仕事の改善を試してみることかもしれません。

変化とか変容というと、なんだか大きなことをしなければいけない響きがあるのかもしれません。しかし実は、確実にできることとは「今、目の前のちょっとした一歩」であり、実は越境よりも何よりも、そうした一歩から始まるのではないか?

そんな当たり前だけど見落としがちなことを考えさせられたように感じたのでした。もちろん、これも一つの考えにすぎませんし、正解というわけでははありません。

ただ、こと「越境」といっても、そこに至るにはいくつかの越えるべきハードルがあることも理解し、何が行動につながるかを考えることも大事案だな、、、、そんな事を考えた次第です。

最後までお読みいただき,ありがとうございました!



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 【編集後記】
本日はストレングス・ファインダー研修の実施。
また先程まで、大学の運営メンバーとのお疲れさま会でした。
大学時代の流れ星のようなすばらしさを感じた時間でした。
若いって素晴らしい!

◯強み関連文献おかわり100本ノック:37本目
◯今月の健康&運動習慣:9月のランニング距離:0km

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