配信日時 2024/06/13 11:30

組織への適応度を「4つの観点」を見る~『若年就業者の組織適応』より#1~【カレッジサプリ】

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令和6年6月13日(第3763号)


組織への適応度を「4つの観点」を見る
~『若年就業者の組織適応』より#1~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2254字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、3件のアポイント。
また妻発熱により、子どもの送り迎え・食事・その他を私が担うことになりましたが、
こうしてみると「夜にも仕事ができていたのは、妻との役割分担があってこそ」ということに気づきました。

ちょうど落ち着いているタイミングでよかったですが、
研修真っ只中だと思うと、なんとも恐ろしい・・・と思った次第。
家族の健康も大事だと思う1日でした。



さて、本日のお話です。
あっという間に4月が過ぎ、夏の訪れを感じるようになりましたね。

さて、企業においては、新入社員は人事の手から離れて職場へ配属、という会社も増えてくる頃かもしれません。私の個人的な感想を言えば、新入社員研修を実施する立場であるため、「新人が組織に馴染んでいくプロセス」というのは常に気になっているところ。

今日はそんな「新入社員」に関するテーマについて、ある書籍からの学びをご紹介したいと思います。



■新入社員が「馴染む」プロセス


おなじみの新入社員研修では、新入社員に対して「理念研修」「マナー研修」「事業部紹介」等行うのは、企業における通例になっています。
 しかし、そうしたイベントが、新入社員が直面する、どのような課題に対して、どのような成果を狙っているのかは、意外と不明確で、「毎年の恒例行事」のようになっている場合も、実は少なくないのかもしれません。

 しかし、新入社員に対する様々な施策の目的とは、若手が「組織に馴染み、組織から離脱せず、パフォーマンスを発揮してくれること」であり、それは多くの組織にとって共通することでしょう。


◯おすすめの一冊『若年就業者の組織適応』

その中で、新入社員に代表される「若手がどのように組織適応をするのか」について、組織社会化研究の第一人者である尾形先生の著書が大変に勉強になるものでした。本日から複数回、こちらの著書からの学びをご共有させていただきたいと思います。

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『若年就業者の組織適応: リアリティ・ショックからの成長』
尾形 真実哉 (著)
https://amzn.asia/d/4rJpfTH
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◯3年以内の若手離職は30%以上

企業の人事の方のお話を聞くと「若手が離職する」ことに対して、懸念をされている人が少なくないと感じます。
もちろん100人いれば、100人が全員最高の状態というのは難しいのかもしれませんが、それでも時間と労力、そしてお金もかけて、採用・育成してきた若手が離職をしてしまうのは、なんとも心苦しいものです。

しかし、実際に若手の離職は厚生労働省のデータによると「大学卒者で約31%」、「短大等卒者で約41%」と推移をしており、その割合は年々微増の傾向があるようです。

かく言う私も、新卒で入社した会社(飲食チェーン)を1年半で離職した経験を持つわけですが、当時は働く感覚もわからず飛び込んで、そして心身ともにかなり疲弊して、逃げるように辞めた苦い思い出が蘇ります(汗)



◯「適応」とはなにか

さて、先程から「組織”適応”」と言葉を使っていますが、そもそも「適応」とは一体何なのでしょうか? この概念について、本書にて興味深い説明がされていました。いわく、

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【「適応」とは】
・人と環境との「関係」を示す概念のこと
・A= f(P、E) の公式で表すことができる
・A=適応性、f=関数、P=個体要因、E=環境要因
福島(1989)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ちょっとマニアックな表現ですが、「個の要因」と「環境の要因」がそれぞれ影響しあって、適応を促すそうです。
 
たとえば、新入社員でも組織に「適応しやすい個人要因」がいれば、環境はさほどでなくても馴染むでしょう。
しかし、それは荒れ地に種をバラバラっと巻いて、いくつもの種は芽を出せずにそのままだったり、あるいは芽を出しても枯れてしまう中で、”たまたま強い種が生き残った”的な適応のさせ方です。

そこに対して、新入社員を受け入れる側の組織としては「適用を促す”環境要因”」を整えて、たとえ、適応が得意ではない個人がいたとしても、多くの”種”が芽を出し、葉を伸ばし、広げられるように働きかけていくことが重要となるわけです。
(ちゃんと耕して、お日さまも当てて、水もあげましょう、ということですね)


◯「組織適応」の2つの側面

では特に、組織における適応、つまり「組織適応」には、どのような次元があるのでしょうか? 組織適応についても様々な研究者がいるわけですが、本書の著者である尾形先生は、次のような概念を示しています。

まず「組織適応」は2つの側面にわかれます。

1つ目が、「知識的側面」で、仕事や組織の知識について理解することです。これは、組織社会化(職業として馴染むこと、組織の文化に馴染むこと)に影響を与えるとしました。

2つ目が、「感情的側面」で、これは組織への愛情、態度、行動における適応を意味します。組織コミットメント、離職意思、仕事のやりがいなどに影響をあたえるとします。



◯組織適応の4次元

そして、本書では若年ホワイトカラー(20代の事務員・販売員・技術者など)に227名に対して質問紙調査を行い、組織適応に関する探索的因子分析を行いました。その結果、以下が、「組織適応の4つの下位次元」を挙げています。

―――――――――――――――――――――――――――――
<組織適応の4つの次元>
・職業的社会化(仕事を上手くこなす上での知識や技能や能力を身につけること)
・文化的社会化(職場内の関係性を理解している、所属部署の成り立ちや出来事をしっている。役割を知っている)
・情緒的コミットメント(現在の会社に愛着を持っている)
・離職意思(現在の会社にずっと居続けるつもりだ)
―――――――――――――――――――――――――――――


■まとめ

本日は「組織適応」の概念について、『若年就業者の組織適応: リアリティ・ショックからの成長』の第1章を中心に学んだことを共有させていただきました。

こうして、「適応」とはなにか、「適応する次元」にはどのようなものがあるのか、などを理解すると「組織になじむプロセス」の解像度がぐっと上がる感覚がして、実に興味深く感じました。

またこの後は、期待とのギャップ、リアリティショックのプロセスなども明らかにされているので、このあたりも改めてご紹介させていただければと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!


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 【編集後記】
強み文献おかわり100本ノック
21本目
あと79本。

<今月の健康&運動習慣>
・6月のランニング距離:25km

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