配信日時 2024/02/06 23:06

強みのゴールドスタンダード「VIA強みは5因子構造」でした【カレッジサプリ】

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令和6年2月6日(第3634号)


強みのゴールドスタンダード「VIA強みは5因子構造」でした


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 1995字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、お世話になっているIT企業の
マネージャーの皆様への研修実施でした。

開発メンバーと、どうしたらインパクトがある研修になるだろうか、、、
と話しながら進めてきましたが、皆様がお互いに学び合っているご様子をみて
とても嬉しくなった時間でもありました。
(皆様、改めて昨日は雪の中ありがとうございました!)



さて、本日のお話です。

本日は「強みアセスメントVIA-ISのドイツ語版の検証」の論文のご紹介です。

ドイツ語でのVIAを作成した上で「VIAの24の強みを因子分析をしたら5因子になった」という検証を行っている論文であり、他論文で引用されているのを何度か見つけた論文でもありました。

読んでみたところ、「これまでの強みの先行研究のレビュー」がわかりやすく、これもまた一つの整理になりました。2010年の論文なので、強みの研究もまだ組織に波及していく前段階のものですが、”元相を遡る”ということでぜひ見てみたいと思います。

ということで、早速まいりましょう!

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<今回ご紹介の論文>
『強みに関する価値感の行動目録(VIA-IS)ドイツ語版の検証』
Ruch, Willibald, René T. Proyer, Claudia Harzer, Nansook Park, Christopher Peterson, and Martin E. P. Seligman. (2010). “Values in Action Inventory of Strengths (VIA-IS).” Journal of Individual Differences 31 (3): 138–49.
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■「強み」のこれまでの発見(2010年時点)

強みの研究は、本論文の著者であるセリグマン氏も中心人物の一人として2000年代初頭から拡大していきました。2010年代の中頃になると、組織内における強みの活用、リーダーシップへの応用、ワークエンゲージメントとのつながりや職務満足度など、組織の成果に繋がる研究も進んできました。

その中で、2010年までにわかってきた「強みの研究結果」が本論文にまとめられていました。以下、ざっとご紹介いたします。


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<強みに関するこれまでの発見>

・54カ国と米国50州のVIA-ISスコアを比較した。そして強みの順位の傾向は全ての国で類似していた(米国では優しさ、公正さ、正直さ、感謝、オープンマインドなどが上位の傾向)(Park、Peterson、Seligman, 2006)

・特定の強みが病気からの回復と関連していることを発見した。例えば、心理的障害から回復した研究参加者は、審美性、創造性、好奇心、感謝、学習意欲が高かった。
身体疾患の場合、勇敢さ、優しさ、ユーモアが、生活満足度への影響を媒介していた。(Park、Peterson、Seligman, 2006)

・9.11のテロ前後の強みの比較を米国で調査したところ、テロ事件10ヶ月後まで、感謝・希望・親切・リーダーシ ップ・愛情・宗教心・チームワークの強みが上昇した。(Peterson、Seligman, 2003)

・一定期間にわたって自分の強みを学び、それを新しい様々な方法で活用する強みの介入は、最長6ヵ月間 、参加者の幸福感を高め、抑うつ感を減少させるのに有効であることが示された(Seligman, Steen, Park, & Pe-terson, 2005)

・24の性格的強みについて、遺伝的加成因子(遺伝の影響)の中央値が42%(ユーモア の14%と宗教性の59%の間)であることを発見した。(Steger, Hicks, Kashdan, Krueger, and Bou-chard (2007)
ーーーーーー

なるほど。病気からの回復にも影響がある、国ごとの違いはあまりない、遺伝的な影響などが、このときはわかっていたのですね。うん、興味深い。



■VIAの24の強みは「5因子構造」だった

さて、VIAですが「強みアセスメントのゴールド・スタンダード」とも呼ばれるようで、多くの研究に活用されまくっています。

その開発の背景は、古今東西の著作から「人間の徳」に関わるものを抽出し、55名の研究者によって、24の徳目と6つの分野にわけたのでした。

しかし、「24の強み」をアナログでわけると「6つの美徳(カテゴリ)」になりましたが、統計的な因子分析でわけると、違った結果が出たのでした。

それが、性格的な強み(VIA)を、「5つの強みの大分類」として分類できた、とのことで「1,自制の強み」「2,知的な強み」「3,対人的な強み」「4,感情的な強み」「5,神学的な強み」にわけられたのでした。そして、続く調査ではどの強みがストレス対処や、職務満足度に影響するかなどの分析ニ活用されていきました。

では、24の強みを5つにわけたの因子とはなにか?

因子分析の結果が以下の通りです。

ーーーーーーー
<VIAの強みの5因子構造>
(1)自制の強み(公正さ、謙虚さ、寛容さ 、慎重さ)
(2)知的な強み(創造性、寛大さ、学習 への愛、美の鑑賞など)
(3)対人的な強み(優しさ 、愛情、リーダーシップ、チームワーク、ユーモア など)
(4)感情的な強み(勇気、希望、自尊心、 熱意など)
(5)神学的な強み(感謝、宗教心など)
ーーーーーーー

この結果が、この後もいくつかの論文に出てきており、たしかに強みの種類を「知性」「感情」「自制」「対人」「スピリチュアリティ」でわけることは、性格的強みの大分類としてフィットする感覚もあります。



■まとめと個人的感想
新しい論文を呼んでいると、以前になされた研究(今回でいえば強みの5因子構造)の話が登場する場面によく出会います。

無視して読んでもいいのですが、結局「そもそもこの論文って何を背景にしているのか」を掘ると、昔の論文に行かざるを得なくなります。

その都度、最近の論文と、以前の論文を行ったり来たりするのですが、そのことによって、少しずつ「強みの研究」における年表と、各国の研究のパズルが埋まっていくような気がして面白いです(まだ穴だらけのパズルですが)。
応用を知るには、まず基礎から。そんな事も思った論文でもありました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!


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<本日の名言>

もし自分の弱みとされる部分に立ち向かわなければならなくなったら、
私はそれを強みに変えるやり方でやってきた。

マイケル・ジョーダン
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【編集後記】
強み論文、100本ノックプロジェクト。
現在、61本目です。
あと39本。

<今月の健康&運動習慣>
・2月のランニング距離:22.5km

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