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令和6年1月27日(第3624号)
はじめての方の「論文の読み方・探し方」おすそわけ勉強会(2)
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 5165字/読了時間7分)
■こんにちは。紀藤です。
引き続き、沖縄でのリモートワーク。
本日から茨城に移動となります。
*
さて、本日のお話です。
今回の記事では「自分が読みたい論文をどのように探すのか?」という「論文の探し方(&まとめ方)」をお伝えいたします。
ややマニアックな話ですが、「論文の旅」において、具体的にどのような探索活動を行うのか、そしてどのように巨人たちの知識をゲットしていくのかは大切なポイントです。
こちらについて、できるだけ具体的に説明してみました。
それでは、早速参りましょう!
■論文の探し方
◯STEP1:「GoogleScolar」を開く
まず、論文の探し方ですが、どんな方でもできるのが、「GoogleScolar」で検索をすることです。
こちらにお目当てのキーワードを検索します。日本語で検索をすれば、日本語の論文が出てきますし、英語で検索をすれば、世界中の英語で書かれた論文が出てきます。
日本語の論文の方が読み易いのですが、英語で検索すると日本では研究されていない論文がたくさん見つかります。たとえば、私は「強みの活用(character strength intervention)ついて調べていますが、日本語ではあまり出てきません。しかし英語だとバリバリでてきます。
◯STEP2:キーワードを入力する
検索窓への入力の仕方は「入力するキーワードの選び方」です。
理由は、”論文ならでは”でのキーワードで入力する必要があります。
たとえば、自分が持つ「強み」について調べたいと思ったとします。しかし、「Strength」と入れると、筋肉のお話や物理学の話がどどーっと出てきて、これじゃない感の前に立ち尽くすこととなります。
この場合、「Stregnth」ではなく「Character Strength(性格特性的強み)」というキーワードを使うほうが私の目的には合っているわけです。
あるいは「新入社員を受け入れる際の考え方の全体像が知りたい」と思ったとします。
これをそのまま「新入社員 受け入れ 全体像」と検索しても、なかなか目当てのものにたどり着かないかと思われます。
そうした時に「新入社員の受け入れ」→「新入社員 組織社会化」という概念を用いた方が目指すものが出てきやすいでしょう。(こうした用語は、ある程度勉強する必要があるかもしれません。組織行動について言えば『組織行動論の考え方・使い方』(服部泰宏/著)が全体像を示されていると思います。その他、ChatGPTに聞いてもいいかもですね。困ったときのChatGPT!)
また、個人的なオススメは「テーマ」✕「サブ」で検索するのもいいです。
メインのテーマの上に聞きたいことにより詳しく聞きたいことを、サブとして付け足して聞くのです。たとえば、「強み」というメインテーマが知りたいなら、そこに対してサブとして
・その概念のこれまでの全体像を知りたければ「review(レビュー)」
・研修などの施策を知りたければ「intervention(介入)」
・その概念についての評価方法を知りたければ「Scale(尺度)」、
と掛け合わせて聞くことで、お目当てのものにたどり着きやすくなります。このあたりは、有名どころはメインテーマを入れると予測変換で出てくるので、それを活用してもよいですね。ほんと、便利なもんだ。
◯STEP3:読む論文は引用数が多いものから
そんな風に検索をすると、ずらーっと論文が出てくるわけですが、どれを選べばよいのでしょうか・・・。非常に悩むところです。
これは正解があるわけではないのですが、個人的な優先度としては「引用数が多いもの」をまず見ています。
まず「引用数が多い」のは、他の研究者の論文に数多く引用されているわけで、その論文に信頼がおける可能性が高い、と思うからです。
ちなみに付け加えると、「PDFがあるもの」も個人的に優先度を挙げています。というのは、これは概要を読み進めて行って、おお、面白そう!と思ってもPDFがないと悲しい気持ちになるからです(涙)。学生であれば、学内のデータから手に入れられるのでしょうが、一般だと手に入れられない論文もあります。ゆえに、もしPDFがある論文(公開されている論文)と、ない論文であれば、PDFがある方にアンテナを立てるようににしています。
◯じっくり読む論文をどう選ぶか
そして、論文を実際に腰を据えて読むとなると、それなりに時間もパワーもかかります。なので、実際にしっかり読むかどうかは、以下のように判断しています。
1、一覧を見る(タイトル・引用数・PDF有無をチェック)
2,論文の概要を読む
という流れです。
「1、一覧を見る(タイトル・引用数・PDF有無をチェック)」については、お伝えした通りです。
「2,論文の概要を読む」ですが、その論文をクリックすれば、概要(Abstract)なる論文の背景・目的・研究方法・結果を400文字くらいでまとめているものが出てきます。その部分だけ読むのは30秒もかかりません。よって、その部分を読み、自分が興味があるものかどうか、読み進めて得られる物がありそうかを判断します。
ちなみに、英語で論文を読むときは『DeepL』(ディープエルとよみます)なる翻訳ツールが超オススメです。
このツールは英語が読めなくても、PDFごとこのソフトに入れるだけで、まるごと日本語に翻訳してくれます。無料プランでは1ヶ月に3本までPDFを無料翻訳してくれます。
また、このツールをPCに入れると、マウスで文章を選択&右クリックで、すぐに翻訳してくれるので、とても便利です。
あとは、その場で読まなくとも、とりあえず「PaperPileで保存する」と、後で読むことができます。このお話については、次項でお伝えいたします。
***
■論文のまとめ方
◯論文がとっちらかって整理ができない問題
これまたあるあるですが、論文を探すことをして、ちょこっと読んでみることを行っていると、ある悩みが出てきます。
それが「読んだ論文が、整理ができない問題」です。あるいは「読もうと思った論文がどこにいったかわからない問題」。ポケットにとりあえず突っ込んだ道具が、どこに行ったのか見失ったドラえもんのように「なんか読もうと思ったけど、どこいったっけ?」「あれ、読んだ論文のあのキーワード、どこだっけ…?」となることが、しばしば起こります。
私も大学院でプロジェクト報告書を書く時に、この症状に幾度となく悩まされました。この論文、めちゃいいじゃん!と思ったら、既に読んでいた、mたいな…(色んな意味で悲しい)。論文も探して集めて読むだけでは、記憶の書庫にきちんと、整理することはできないようです。
よって、ここでは「論文のまとめ方」について、整理をしていくことが、「論文の旅」を続ける上で大事なポイントになります。
◯論文整理の王道ツール「PaperPile」
では、どのようにまとめるのがよいのか?
まず必須ツールは、なんと行って文献整理ツール『PaperPile』というサービスです。論文などの文献を集め、ジャンルごとに整理でき、メモやハイライト機能を通じて、学んだポイントも記録しておくことができる優れモノです。
この「PaperPile」をGoogleの拡張機能に追加すると、GoogleScolarの検索結果に「PaperPileボタン」が出現します。気になったものをポチっとするだけで、論文をストックしていくことができます。
Google拡張機能で、「PaperPileボタン」が出現します。
ポチっと押せば、ストック完了!
ちなみに、「PaperPilerに集めたものを、どうやって分類したら良いのか?」という質問を、先日大学院の在校生向けに行った勉強会にて、参加者の皆様から頂きました。こちらについても、私なりの見解を少しだけ。
当然、ストックした論文がある程度数が溜まってくると、整理したくなります。しかし、その領域における概念・理論は、ある程度「論文の旅」を続ける中で全体像が見えるものだと感じます。
ゆえに一定数の論文を読み続けて(20~30くらい)、全体像が見えるまでは、焦って厳密に整理をしなくてもよいのかな、と思っています。(私も「強み」について論文を集めていますが、とりあえず「ストレングス」という一つのフォルダに入れ続けております)
◯論文を理解するには「自分の言葉でまとめる」
さて、「論文を整理するのはPaperPileがよい」とお伝えしましたが、ストックするだけで、その論文を理解できるわけではありません(そうできたらどんなに楽か)。しかも、悲しきかな、ささっと読んでも、その論文のポイントは露ほども脳内に残らないのです。やはり、その論文の内容を理解するには、また違った作業が必要です。
そして、論文を理解するには「自分なりに言葉でまとめる」ことだと思います。
大学院の仲間の中には、読んだものをそのまま説明できる猛者もいらっしゃいましたが、少なくとも私の場合そんな芸当はできません・・・。地道に「自分の言葉でまとめなおす」ことが最も記憶にも定着すると感じています。
ちなみに私は「note」を活用しています。ある程度丁寧に書かないとさっぱり忘れるのと、今後を見据えて「論文の概要→研究の目的→分析方法→結果」という流れでまとめるようにしています。
加えて、人に見られており外圧をかけたほうがやる気になるので、「強み論文100本ノック」を宣言→し、noteに投稿、スキ!が集まるとムフフできて、論文の旅のエネルギーチャージできるのが、私なりの旅のパターンになっています。
ちなみに、まとめ方はどのような形でも良いと思います。「note」などのサービスで、非公開でも公開でも良いのでストックする方法もありますし、修士論文のためにポイントだけ抑える必要があるならば「Excelメモ」でまとめるなどでもよいのでしょう。
どちらにせよ、ある程度noteにまとめて行って情報量が増えると、自分でまとめたものが整理できなくなるという謎ループになるので(涙)、最終的には簡易のExcel表も合わせて活用しております。
そこに「キーワード・論文タイトル・研究者名・発行年度」✕「noteで書いたURLとタイトル」をまとめることで、いつでも振り返って思い出せる、外部記録装置として活用しています。(別にこのExcelだけで良い人は良いと思います)
◯おまけ:概念の尺度をまとめる
最後に、ちょっとだけ余談です。私は大学院の2年次は、個人的な取り組み(趣味)として、「様々な概念の尺度」を集めて、Excelに整理していました。
「プロアクティブ行動」「ワークエンゲージメント」など、成果指標に近い概念をエクセルのタブの右側に、「リーダーシップ」「心理的安全性」など成果要因に近いと思われるものを真ん中に、「自己効力感」「コーチング」など介入手法や個人特性など先行要因に近いと思われる概念を左側に寄せて整理をしていました。
増えていくのがなんだか楽しかったですし、この概念はどういう因子で出来上がっているのかを理解できましたし、それぞれの相関関係のイメージを持つことにも役立ちました。この集めた概念の尺度は、合計30程度になっていますが、卒業後の仕事でも役立っています。
***
■まとめ
さて、今日のお話は、「論文の探し方・まとめ方」について、一つの例として、私のケースを紹介させていただきました。
まとめると、
【論文の探し方】
・「GoogleScolar」をフル活用する。
・論文の検索は「テーマ」✕「サブ」で探してみる。
・しっかり読むかどうかは、「タイトル・論文引用数」を参考にしつつ、「論文の概要」をささっと読んで決める。
【論文のまとめ方】
・「PaperPile」でまずはストックする。
(最初hが細かく分けなくてもよい。全体像が見えてきたらまとめればOK)
・読んだ論文は、自分の言葉でまとめなおすことで記憶に残る。
(noteでもExcelでもどっちでもよい)
・自分の言葉でまとめたメモも、数が増えるとわからなくなってくるので、定期的に整理をする。
というお話でした。
書いておいてなんですが、たぶんきっともっといいやり方もあるのだろうな、と思います(ぜひそのやり方は教えてください。コメント欄にお待ちしています笑)。
とはいえ、本記事でお役に立つところが1つでも2つでもあれば嬉しく思います。論文の旅で出会った「町人1」の小話くらいに、参考いただければ幸いです。
ということで次回は、「自分の言葉でまとめる」という話について、もう少し突っ込んで「論文の読み方編」についてお届けしていきたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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よろしければぜひご覧ください。
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<本日の名言>
世界は本であり、旅をしない人はその1ページを読むだけだ。
セント・オーガスティン
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【編集後記】
強み論文、100本ノックプロジェクト。
現在、54本目です。
あと46本。
<今月の健康&運動習慣>
・1月のランニング距離:124km
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