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令和6年1月15日(第3612号)
強みを「状態-特性の連続体」で考える
~書籍『ストレングスベースのリーダーシップコーチング』(3)
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 1760字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日日曜日は、ピアノのレッスンでした。
3月に発表会がありますが、全く完成しておらず、
かなり危ういです・・・。なんとか完成させたいところ。
いけるところまで頑張りたいと思います。
さて本日も前回に引き続き「ストレングスベースのリーダーシップ・コーチング」をテーマにした書籍を紹介したいと思います。
今日の本はこちらです。
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<今回ご紹介の文献>
Doug MacKie (2016)『Strength-Based Leadership Coaching in Organizations:An Evidence-Based Guide to Positive Leadership Development』(組織におけるストレングス・ベースのリーダーシップ・コーチング:ポジティブなリーダーシップ開発のためのエビデンスに基づくガイド)
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■第二章:強み:定義とモデルの紹介
さて、この章では「ストレングスベースの~」と語られている、このストレングス(強み)のそもそもの定義、また「強みを探求している各種モデル」など、全体を概観した章となります。
強みとパフォーマンスの関係についても、わかりやすく説明していおり、なるほどな、と感じたのでした。ということで早速みてまいりましょう。
◯「強み」の様々な定義
まず「強み」という言葉について。この「強みの定義」だけでも、かなり色々な表現があるようす。たとえば、本書ではこれまでの研究者による「強みの定義」を紹介されています。
・「理想的には非常に高いレベルで実践されている典型的な特性。ある集団の中のリーダーの10~20数パーセントに現れる」(Zenger et al, 2012)
・「特定のタスクで完璧に近いパフォーマンスを一貫して行う能力」(Rath and Conchie, 2008)
・「価値ある結果を追求するために最適な機能を発揮できるような方法で、感じ、考え、行動する能力」(Snyder, Lopez and Pedrotti, 2010)
・「元気で情熱的な気分にさせ、素晴らしい仕事をするように導く個人的な特性や性質」(Brewerton and Brook, 2010)
「高いパフォーマンス、最適な機能を発揮、素晴らしい仕事をするように導く特性・能力、性質」など、「より良い成果を生み出す特性・性質」というニュアンスが共通しているようにも見えます。ちなみに、強みの定義については言及されていても、強みの起源(どこから強みが生まれるのか)については、明確な考察はほとんどなされていないようです。
◯強みを明らかにする方法
強みを明らかにするアプローチでは「アセスメント」と「インタビュー」があります。
「アセスメント」はストレングス・ファインダー、VIA,Realize2など有名なものから、Strengthスコープなど、日本で走られていない様々なツールが紹介がされています。
次に「インタビュー」ですが、構造化されたインタビューを通じて強みを明らかにする事ができると述べます。これは「フィードフォワード面談」「ハイポイントインタビュー」などが紹介されていました。
◯強みについての疑問
さて、こうした「強み」について、研究的な視点から、以下の疑問が残っていると本書では述べています。
1)「強みがリーダーシップに役立つかわからない」問題
:「強み」という概念は“構成的な妥当性”を持つのか。(リーダーシップ開発の分野で説明力と予測力を持つ方法で定義できるのか)
2)「強みと才能の違いが何が違うかわからない」問題
:「強み」という概念は“判別的妥当性”を持つのか。(才能や好みのような他の概念とは異なる何かを測定しているのかを明らかにできるのか)
3)「強みは組織のパフォーマンスの役に立つのか」問題
:「強み」という概念は“予測的妥当性”を持つのか。(個人やチーム組織の中での可能性やパフォーマンスについて有益なことを教えてくれるのか)
このような疑問もクリアにすることで、より「組織における強みの活用」が明確になると思われます。
***
■強みのモデル
強みのモデルには様々なものがあり、それぞれが異なる理論的視点に基づいている、とされています。既存のモデルは、「領域ベース」「能力ベース」「特性(性格)ベース」のモデルに大別される、とのこと。
◯「領域ベース」の強みのモデル
個人の強みを関連する領域の見出しのもとに分別して、グループ化するモデル。人事管理の分野で行われているコンピテンシーベースのアプローチにやや似ている特徴を持ちます
●例1:「ストレングス・ファインダー」(Gallup)
特徴:「実行力」「影響力」「関係構築力」「戦略思考力」という4つのリーダーシップ領域の下で表現しています。領域は、通常5項目程度の扱いやすい構成要素にまとめることができます。強みや成長の分野を大まかに示すものとして位置づけられており、統計的な妥当性は必ずしもありません。
◯「能力ベース」の強みのモデル
特定の分野で優れたパフォーマンスを発揮する個人の潜在能力を強調するモデル。ポジティブな感情を育むことで、エンゲージメントを高め、能力を得ることができるとします。
●例1:「Realize2(現在はStrength Profile)」
本人が持っているエネルギー(潜在能力)が、活用の機会に応じて、“実現された力”にも“未実現の力”にもなると考え方。60項目の領域で判断する。(Linley and Stoker, 2012)
●例2:「心理的資本モデル(PsyCap)」 (Avolio and Luthans, 2006)
希望、楽観主義、自己効力感、レジリエンスという4つの状態に似た構造が存在すると主張する考え方です。1つの領域と4つの構成要素で成り立っており、信頼性と妥当性が高く、明確に状態を表しており、特定の介入によって発展させられることが証明されています(Luthans et al, 2006)。
●例3:「開発準備の概念」(Hannah and Avolio,2010)
学習や開発活動に先立つ本質的な能力、変化、成長、発展に対する意欲と能力を特定しようとするものです。強みの正確な自己評価と、変化のプロセスへのコミットメントに基づく。
◯「性格ベース」の強みのモデル
「ビッグ5」などの標準的なパーソナリティのモデル。あるいは、自尊心、自信、統制の所在、情緒的安定性などを含む「中核的な自己評価」(Judge and Bono, 2001 )などの、性格的な強みなどから考えるモデルであり、”生まれつき”の才能という概念も含まれています。
●例1:「ビッグ5」
「開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症傾向」の5つを軸にした標準的なパーソナリティのモデルです。パーソナリティとは、定義上、時間が経過しても比較的一定で観察者が容易に見分けられる傾向のある特徴のこと。
特に外向性は、「リーダーシップ行動」と(小さいながらも)有意な相関関係を示します(Judge et al,2002)。このモデルの活用をする際は、個人の役割とその根本的な好み(性格)の適合性を考慮することがポイントです。
◯「強みのプロセス」モデル
強みの起源について述べるのではなく「強みを適用し、取り入れるための道筋」を示しています。個人の変化よりも組織の変化に重点を置いたプロセスです。
●例:「AI(Appreciative Inquiry)」
“個人の強みを特定すること”が、組織開発の最初の段階と考えて、“強みを他の人と共有し、組み合わせ効果を活用すること”で組織のパフォーマンスを高めようとするアプローチです。
***
■状態-特性の連続体とは
また、ここで興味深い考え方が紹介されています。それは『状態-特性の連続体モデル』と呼ばれており、「強みをどの程度まで開発できるか」という考え方に影響を与えているモデルです。
例えば、幸福感のようなポジティブな“状態”は比較的用意に獲得できるため開発しやすいとみなされています。一方、安定して永続的な“特性”とされたもの(=生まれ持っての才能・知能など)は開発しづらいと考えられていました。
ゆえに、「強み」についても、「変化しやすく開発しやすいもの」→「安定して固定的なもの」というように『強みの状態-特性の連続体』と当てはめることで、全体像を示していました。以下のような形となります。
◯変化しやすい強みと、変化しづらい強み
●変化しやすく開発しやすい強み(=状態)
・ポジティブな状態(喜び、幸福、マインドフルネス)
・状態に似ているもの(楽観性、発達準備、心理的資本)
●安定して固定的な強み(=特性)
・特性に似たもの(ビック5パーソナリティ、核となる自己評価、人格特性的な強み)
・ポジティブな特性(知性、能力、欲求)
次回も「強み」に関しての続きのモデルをお伝えしたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
よろしければぜひご覧ください。
https://note.com/courage_sapuri/n/n6c57f217aa66
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<本日の名言>
人生は、まるで十段変速自転車のようだ。
使わないギアばかりある。
チャールズ・シュルツ
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【編集後記】
強み論文、100本ノックプロジェクト。
現在、45本目です。
あと55本。
今週は忙しすぎるので、
あまり細かいことは書けなさそうです。
ゆるりと、進めていきたいと思います。
息継ぎも大事。
<今月の健康&運動習慣>
・1月のランニング距離:78km
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