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令和6年1月3日(第3600号)
263kmマラソン体験記(4) ~助けてください、股間が痛いです~
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3,594字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
本日でメルマガ3600号!
(パチパチパチ←自分に)
この3500~3600号は
noteとの連動や強み論文など
これまでやろうと思っても、やらなかったことを自分なりにチャレンジした号でもありました。
まだ自分でも納得いっていない、不安定な状況ではありますが
「歩みを止めない」ということは死守しながら、動きながら考えたいと思います。
いつもお付き合いいただいている皆様、ありがとうございます。
*
さて、本日のお話です。
年末年始は2023年のイベントの一つであった「263kmマラソン」について引き続きお届けできればと思います。あと3回、よろしければご笑覧頂ければ幸いです。
タイトルは
【263kmマラソン体験記(4) ~助けてください、股間が痛いです~】
それでは、どうぞ。
※前回までのお話はこちら
https://note.com/courage_sapuri/n/nf1725360348f
<2日目_夜(160km~194km)>
■股間が凄まじく痛い
道の駅たいらだて(157km)を出発し、いよいよ、中盤戦の最終地点の大レストポイント「ふるさと体育館(178km)」に向けて、走り始めます。
このあたりは眠すぎて、実は記憶が明瞭ではありません(ゆえに写真も撮れていません。蛇行しながら走っていました)。しかし、一つ存在する明確な記憶は、
「耐え難いほど、股間が凄まじく痛い」
ことでした。
文字にすると見えづらいですが1日目は雨、2日目も時折雨。湿度も高い状況が続いていました。すると、”全身の皮膚がふやける”という現象が起こります。擦れやスレが起こり、水ぶくれもできます。すでに私の体は、ムレとスレによる右腕と両脇腹に傷が出来ていました。
しかも、戦略的に仕込んだはずの失敗がありました。
それは「股間周辺の毛がスレて痛くなる」という事前情報から、デリケート損周辺のヘアを一部剃っておいたのでした。・・・それが仇となってしまいました(汚い話でスミマセン)
つまり、2日もすると、ウニのようにチクチク毛が生えてくるわけであり、それが、股間に仕込んだ亀の子タワシのようにデリケートゾーン周辺を傷つけまわっているようです。
お尻とお股(デリケートゾーン)に体育館でころんだ擦り傷のようなダメージがいくつもできていました。その傷を携えて、汗と雨で蒸れながら走ると、これが、めちゃくちゃ痛いのです。必然的にガニ股で、カニのように歩くことになります。とはいえ「股擦れでリタイヤはカッコ悪すぎる」と思い、10km先の休憩所まで粘ろう、そこで絆創膏やガーゼなどで応急処置をしよう、そうすればなんとかなる!と思いました。
4人いた仲間は、2人が遅れていました。
1人は、私。股の痛みにより、走るのが圧倒的に遅くなっていました。もう1人は、マッキー。マイペースで走ることができる彼は基本1人で後ろを走っているようでした。
ちょっと前まで電柱ゲームで励ましていましたが、疲労で口数も減り、やや重たい空気が漂っていました。外は暗闇。2日目の夜が一番ヤバイと言われた理由を全身で感じていました。
***
■股メンテナンスポイント「ふるさと体験館」
「股が痛い」「眠い」の記憶しかありませんが、足を動かし続け、気づけば、大レストポイント「ふるさと体験館(178km)」に到着。
時刻は2日目の7/17(月)深夜0:30です。開始から約31時間経過。
到着と同時に、預けていた荷物からあるだけ絆創膏を集めます。
そしてボランティアの方に、テーピングを借り、股擦れをした患部に絆創膏をはって、そしてMyタワシをテーピングでぐるぐるに巻きました。傷口が直に触れることはなくなり、苦痛が収まったことで、頑張れる気がしました。
食事を済ませ、体育館のようなところで50分の仮眠をとることにします。
先についている仲間はすでに眠っています。あと20時間、走り続ける必要がある、そう考えると気持ちが折れてしまうので、考えないようにします。
あくまでも、目の前の一歩のみ。深夜2時におきて出発したら、次は204kmの次のチェックポイントを目指すのみです。体は満身創痍になっていましたが「完走する」という気持ちを絶やすことはありませんでした。
しかし、疲れは累積し、睡魔はより圧倒的となります。そんな3日目が、これから始まるのでした。
***
<3日目_深夜(178~204km)>
■後半戦の始まり
7月17日(月)深夜2時。開始から33時間経過。
現在178km地点。最後の死力を振り絞って、といいたいところですが、
そのセリフを言うにはまだ早すぎるタイミング。
ここからようやく「後半戦のはじまり」なのです。もう、いつになったら終わるんだ。。。5人になった仲間は、1人脱落して、4人になっています。
集団はエンディとヒロポンを完走経験者は先へ、私とマッキーは遅れ気味でのスタート。遅れて到着した一人マッキーも、足首の腫れを訴えており、後で出発するとのこと。「オナラをすると腸液が噴霧されて、それが尻のダメージつながるから、気をつけて方がいいですよ」というアドバイスをくれた陽気なマッキーにも、暗雲が立ち込めているようでした。
いよいよ眠く、いよいよつらく、いよいよいっぱいいっぱいです。
1日目の夜に話していたお互いの赤裸々トークなど行う余裕はありません。
それでも、”闇の中、誰かと一緒に走れる”というのは、それだけで心強いものであることは、この二晩で痛いほど知りました。エンディ、ヒロポン、そしてここにはいない提督、マッキー、ありがとう。
1時間弱の睡眠の後「ふるさと体験館」を発ちます。そして次のチェックポイントである「津軽中里駅(204km)」を目指します。
そこまでの道のりは、ひたすら山道。暗い山道です。あと2時間もすれば夜が明ける。最後の夜が、終わろうとしていました。
***
■深夜、赤ちゃんが道端で目を光らせていた
一方、走りながら重要な事に気づきます。それは”次まで約26km、休憩所がない”ということ。自販機が現れるのも、今は山道なので、20kmくらい先になります。股擦れの処置で頭がいっぱいで水の補充を忘れていたのでした。
「水がない」。これは致命的です。仲間に話をすると、水が不足しているといったエンディ。水なくして走れない、ということで山道のトイレで水を組むことにしましたが、「飲まないで下さい!飲料水ではありません」と強く警告されており、腹を下しては元も子もない、ということで諦めて走り出します。
さて、この頃になると走りながら、様々なものが見えるようになります。
いわゆる「幻覚」です。正常なときでも暗い中だと見間違いという現象は起こります。加えて、暗闇✕睡眠不足✕疲労が重なると、”別のものに見える”という勘違いが脳内で起こりやすくなるようでした。
私が、走っていると、懐中電灯で照らした先のすぐ目の前の路肩の段差に、1歳くらいの赤ちゃんが座ってこっちを見ていました。そして、その目が光っていました。
あまりにもビビって、「うわっ!」と一人声をあげました。側にいたエンディが「どうした?」と聞きます。「赤ちゃんが見えた」と私が答えると、「ああ、そう。まあそろそろ、そういう頃合いだよね」と驚く様子もなく、するっと受け流されました。さほど、珍しくもないようです。
その他にも、カーブミラーがスーツを来たパンダに見える、とか並んだ木々が象に見えるなど不思議な光景が見えました。
***
■眠すぎて、叫び出す
ただ、そんなのはどうでもよいのです。
脳がちょっと勘違いしただけで痛くも痒くもありません。
問題は「めちゃくちゃ眠い」ただこれだけ。「眠い!眠い!眠い!」と誰が助けてくれる訳でもないのに誰にとも無く叫んで見る。「ああーっ!!」と大声を出してみる。でも相変わらず眠い。また水もなくて喉も渇き始めて、トイレの水も駄目。ただただしんどさだけが溜まっていきます。
ただ、エンディが希望を語ります。「そういえば、去年はこのあたりで、私設エイドのおじさんがいた気がする」
***
■闇の中の天使、私設エイドおじさん
山道のトンネルを抜けると、ワゴン車が路肩に停まっていました。
まるで「闇の中に天使」です。私設エイドおじさんがいました。
この山道、我々と同じように水不足に陥ったランナーに、深夜3時にも関わらずおじさんが車を出してくれていました。
毎年、この大会のたびに、ここで1人深夜~明け方にサポートとして応援してくれているそうです。トイレの水が飲めず絶望している中で、私設エイドのおじさんは今年もいてくれました。
そこでミルクティーやコーヒー、リポビタンDなどを頂きます。そして空だった水も、両方のボトルに満タンにしていただきました。
まだ頑張れる・・・!
人の優しさや、サポートがあるから長い旅路も続けられるのだ、温かいコーヒーの味とともにそう思わずにはいられませんでした。
さあ、いくか!!と元気よく走り始めます。・・・がそれも束の間。また、ものの10分で、暴力的な眠気が襲ってきました。目を覚ますために、1kmくらい全力で走ってみたりします。それでもただ足が疲れるだけでやっぱり眠い。
全力で走る。道端でまた5秒だけ眠る。仲間に追いつかれる。
全力で走る、道端でまた5秒だけ眠る。仲間に追いつかれる。
強烈な眠気と格闘しながら、進むのでした、
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現在194km(残り69km)
スタートから35時間(残り16時間)
睡眠時間 合計2時間15分
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(つづく)
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
※本日のメルマガは「note」にも、写真付きでより詳しく掲載しています。
よろしければぜひご覧ください。
https://note.com/courage_sapuri/n/na49a6c87aa89
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<今日の名言>
痛い目にあったとしても、
失敗すらできない人生よりずっと楽しい。
高橋尚子
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【編集後記】
強み論文、100本ノックプロジェクト。
現在、36本目です。
あと64本。
<今月の健康&運動習慣>
・1月のランニング距離:10km
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