配信日時 2023/12/28 17:08

強みを引き出す「フィードフォワード面談」とは?ーやり方とその効果ー【カレッジサプリ】

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令和5年12月28日(第3594号)


強みを引き出す「フィードフォワード面談」とは?ーやり方とその効果ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3938字/読了時間6分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日より、第二の実家(祖父母の家)の宮崎に来ております。

ゆっくりとした時間が流れそうですが、
とはいえ、年末年始にやりたかったことは
きちんと探求しておきたいと思うこの頃。

そして、急激に太りそうで、ちょっと怖いです(汗)



さて、本日のお話です。
今日は「フィードフォワード面談」というとてもお薦めの対話手法について、ご紹介いたします。

先にお伝えいたしますと、このプロセスを研修の中で実際に約500人以上の方にやっていただきましたが、皆さん「強みの理解が深まった」「相手との関係が深まった」「前向きな気持ちになった」と口を揃えてコメントを残され、効果をめちゃくちゃ実感しています・・・!(なので超オススメ)

強みの発見においても、ポジティブな気持ちを拡大する上でも、有効なこの手法、早速みてまいりましょう!

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<今回ご紹介の論文>
『フィードフォワード面談』
Kluger, Avraham N., and Dina Nir. 2010. “The Feedforward Interview.” Human Resource Management Review 20 (3): 235–46.
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■フィードフォワード面談(FFI)とは

フィードフォワード面談(以下FFI)とは、ヘブライ大学のエイブラハム・クルーガーとディナ・ニールが提唱した新しいマネジメント手法の一つです。

”「間違っていること」に注目するのではなく、「良いこと」に注目することで、パフォーマンスを向上させ、マネジャーと部下の関係を改善することを目的としている”(Kluger and Nir, 2010)

と述べられている手法となります。

***

■FFIが目指すもの

そしてこのFFIが目指すものとして、以下3つ挙げられています。

1,インタビューされる側が「自分の強み」と「過去の成功経験」の繋がりを自己評価することで、前向きな変化を促す。(=部下が「強み」を自覚して前向きになる)

2,インタビューする側が「対象者の強み」と「強みが発揮されやすい状況」について理解することができる。(=上司が、部下の「強み」と発揮しやすい状況を理解する)

3,インタビューする側とされるの側の間に、新しい関係が構築され、または改善することができる。(=いいところに焦点を当てた対話により、上司と部下の関係性が向上)

ことされています。

また後ほどお伝えしますが、FFIの効果は、従来の業績評価面談を行うよりも、FFIを行ったほうがより業績が高いことがわかっていたり、他にも様々な効果が確認されており、非常に信頼がおける手法といえます。

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■FFIの背景となる手法「AI」

さて、このFFIを理解するためには『アプリシエイティブ・インクワイアリー(価値を認める探求:通称AI)』という背景となる考え方を知る必要があります。

「アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)」とは、”悪いところを直すことに集中するのではなく、うまくいっていることを中心に組織を構築すること”に焦点を当てた、組織開発の手法です。

同僚にも部下にも上司にも組織にも、”ポジティブな視点を持って向き合う”こと。そのことで組織の能力をさらに引き出すといういうスタンスがポジティブ組織行動学を基づいた組織開発の手法がAI」であり、その考えを背景としたマネジメント手法が、『フィードフォワードインタビュー(FFI)』となります。

***

■FFIの効果

では、具体的にFFIにはどのような効果があるのでしょうか。
以下、4つの効果が挙げられています。

(1)ポジティブな感情の活性化
ポジティブな感情は、思考を広げ、新しい情報への開放性、協力への意欲、創造性を高め(Fredrickson, 2001)、同時に対立を減らします(Barsade, 2002)。そして、FFIはこのポジティブな感情を促すことがわかりました。

(2)絆とコミュニケーションを育む
上司と部下がお互いのことを知っている場合、面接がポジティブなものになり、両者の関係が改善・深化することが多くなる傾向があります。

(3)自分の中のイノベーションに火をつける
FFIでは、自分の中に眠る「自己を最高に表現する状態」「眠っていたけれども重要な声(エピソード記憶)」を呼び覚ます問いが含まれます。それらにスポットを当てることで、他の声や対立する声も結果として考え直すこととなり、新たな内面の対話が始まり、自己の中に革新が生まれます。

(4)欠点を知るための心理的安全性の確保
ポジティブなことに焦点を当て、インタビュー対象者の話に耳を傾けることで、不安の軽減と、インタビュー対象者が自分自身を肯定的に振り返ることを楽しむことができ(Roberts, Dutton, Spreitzer, Heaphy, & Quinn, 2005)、これは、自分の社会的地位を肯定し、心理的な安全性を構築するのに役立ちます。

とのこと。ポジティブな視点で対話をすることで、多くの効果が得られるとされています。

***

■フィードフォワード面談(FFI)のやり方

ではこのFFI、どのように行うのでしょうか?
大まかには以下の3つのステップとなります。

【ステップ1 - 成功体験を思い出させる】
【ステップ2 - 成功の状況や条件を明らかにする】
【ステップ3 - 仕事の中に、その状況や条件を取り込むことを促す】

では、具体的にどのようなものかを見ていきましょう!

◯ステップ1 - 成功体験を思い出させる

(質問1)「仕事での経験で、最高に充実していて、流れに乗っていて、自分の行動の結果が明らかになる前から満足していたという話を聞かせてもらえませんか?」
※{ポイント}出来事の要約や一般論(「普段から~を楽しんでいる」など)ではなく、具体的なストーリー(時間、空間、行動などの具体的な内容)を聞き出すようにします。

(質問2)「同じようなプロセスをもう一度体験したいと思いますか?」
※{ポイント}インタビュー対象者が「YES」と答えた場合、次の質問に進みます。そのストーリーには、価値のある情報が含まれている可能性が高く、探求する価値があるためです。

(質問3)「この話の最高の瞬間は何でしたか?その時、あなたは何を考えましたか?」「また、その時、あなたはどう感じましたか? (あなたの感情的、生理的な反応を含めて)」
※{ポイント}インタビュイーがポジティブな感情を述べた場合は、その感情を反映させて次に進みます(例:嬉しかったのですね、等)。しかし、ネガティブな感情や複雑な感情を語った場合は、別の話を聞き、「質問1」からやり直してください。

◯ステップ2 - 成功の状況や条件を明らかにする

(質問1)「あなたがしたこと、あなたの能力、あなたの強みなど、あなたの中にあった条件は何ですか?」
(質問2)「この話を可能にした他者の行動は何でしょうか?また、組織によって促進された条件(物理的、時間的にも)は何でしたか?」

※{ポイント}その人の最高のパフォーマンスを引き出すための条件を聞きます。その人なりの成功の条件を引き出すために、できるだけ多くの多様な条件を明らかにすることが大事です。質問1)では「自分の成功の条件」、質問2)では「他者、組織における条件」を認識する意図があります。

◯ステップ3 - これからの仕事の中に、その状況や条件を取り込むことを促す

(質問1)「あなたが今述べた条件は、”仕事での幸せ””最高のパフォーマンス””優れたリーダーシップ”など、ストーリーの中で重要な成果を達成するための、あなた自身の条件のようです」
「もしそうであれば、あなたの現在の行動、優先事項、近い将来(例えば次の四半期)の計画を思い浮かべ、それがどの程度まで組み入れられているかを考えてみてください」。

***

■やってみた感想と実施のポイント

このFFIをやってみた感想ですが、私自身もしかり、また多くのマネジャーの方にもやっていただきましたが、本当にFFIが目指している、

・部下への影響(=「強み」を自覚して前向きになる)・上司への影響(=部下の「強み」と発揮しやすい状況を理解できる)・関係性への影響(=いいところに焦点を当てた対話をして、良い関係になる)

をその場で体感されている様子を目の当たりにしてきました。ちなみに、上司ー部下間だけではなく、同僚間でも、十分に効果を発揮します。

またいくつか実践をして気づいた、このFFIを機能させるポイントを3つほど追加でお伝えしたいと思います。

まず1つ目が、「インタビューではポジティブな面だけに焦点をあてることを明確に伝える」ことです。そうしなければ、謙虚さが邪魔をして、上手く言った体験をインタビューされる側が語りづらくなってしまいます。

2つ目が、FFIを行う前にできるならば「強みのアセスメント(ストレングス・ファインダーやVIA)を受験し、自分の強みの言語化をしておく」ことです。そうすると、「ステップ2:成功の状況や条件をあきらかにする」において、自分の強みを認識しているので、成功時にどのように強みが活用されたのか認識しやすくなります。

最後3つ目が「ステップ3:これからの仕事の中に、その状況や条件を取り込むことを促す」については、インタビュワーとインタビューイがともに探求をすることです。ここは、未来に向けての行動計画になるため、すぐに思いつかないケースもままあります。よって傾聴や質問を通じて、焦らず、じっくり探求するスタンスを持つと、うまく実行しやすいかと思います。

時間は30分程度やっていただくと、1つのエピソードとそれに伴うお話を聞くことができ、すぐにでも成果を感じられるかと思います。もしよければぜひ職場でもやってみて頂ければと思います

とっても、オススメです!

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今日の名言>

人に自信を持たせることが、
わたしにできる何より重要なことだ。
自信さえ持てば、人は行動を起こすからである。

ジャック・ウェルチ
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【編集後記】
強み論文、100本ノックプロジェクト。
現在、34本目です。
あと66本。

<今月の健康&運動習慣>
・12月のランニング距離:80km

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