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令和5年11月22日(第3559号)
「強みの活用」が「個人資源」を高め、ワークエンゲージメントを高める研究
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3172字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は研修プログラムの作成、
その他、noteの作成などでした。
メルマガとnoteの融合を図っていますが、
かなりこれが大変で、四苦八苦しながら進めています。
そういえば、まだメルマガを始めたばかりの頃、
こんな気持ちだったな、と思い出されます。
慣れるまでは、数を繰り返して、耐えるのみ。
それでも、時代とともに、なんとか
生まれ変わリ続けていきたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
本日も論文のご紹介です。
今回は、以前も一度紹介した論文ですが
再度丁寧に読み直してまとめてみました。
ということで、早速まいりましょう!
タイトルは
【「強みの活用」が「個人資源」を高め、ワークエンゲージメントを高める研究】
それでは、どうぞ。
(ここから)
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■はじめに
今回の論文は、組織における強みの介入の研究です。
論文の結果は「強みの活用が、個人資源を増加させ、ワークエンゲージメントを高める」というものでした。
実際の職場で活用できそうな介入手法も紹介されている興味深いものです。
早速みてまいりましょう。
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<今日の論文>
『個人資源と強みの活用はワーク・エンゲージメントを高めるか? トレーニングの効果・介入の効果』
Bakker, Arnold B., and Jessica van Wingerden. (2021). “Do Personal Resources and Strengths Use Increase Work Engagement? The Effects of a Training Intervention.”
Journal of Occupational Health Psychology 26 (1): 20–30.
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■論文の超ざっくりポイント
・この論文では、「強みの活用によって、”個人資源”を高め、ワークエンゲージメントを高めることができるのでは?」という仮説を検証しました。
・ちなみに本論文での”個人資源”とは、「アサーティブネス」「自己効力感」「レジリエンス」の3つです。
・研究では「強みの活用と個人資源を育てるトレーニング」を実施しました。
参加者は実際にトレーニングを受けるグループ(54人)と待機リストにあるコントロールグループ(48人)に分けられ行われました。
・その結果はどうだったか? 結果、トレーニングを受けたグループでは、「強みの活用」「個人資源」「ワーク・エンゲージメント」が増加することがわかりました。
というお話です。では、より詳しく見てみましょう。
***
■「個人資源」と「職務資源」のお話
・さて、論文のタイトルでも「個人資源(personal resouce)」としきりに使われていますが、これは一体何を意味するのでしょうか?
・「個人資源」とは”ポジティブな自己評価であり、自分の環境をうまくコントロールし、影響を与える事ができるという個人の感覚”です。
そして、その個人資源が、
-「アサーティブネス」(自己主張できる)
-「自己効力感」(自分はできると思える)
-「レジリエンス」(立ち直ることができる)
と本論文では考えています。
また、論文の中では「職務資源」という用語が出てきます。
これは、「職務要求-資源理論(JD-R:Job Demand-Resouce理論)」の中に登場する概念の一つです。
もう少し説明するとJD-R理論によると、仕事の特性とは以下の2つにわけることができます。
・「職務要求」(Job Demands)
”仕事の遂行に必要な労力やスキル、その結果として生じる物理的、心理的、社会的なコスト”
・「職務資源」(Job Resources)
”仕事の目標達成を助け、仕事で必要とされる能力を育成し、仕事の要求やストレスと効果的に対処するための物理的、心理的、組織的な側面”
・そして、この理論では、"従業員が自分の環境をコントロールできると思えると、ワークエンゲージメントが高まる”としており(Bakker& Demerouti, 2017) 、この状態は「職務資源」の心理的な側面が高い状態と考えられます。
本論文では、この「個人資源」と「職務資源」は同じような働きを示すのでは?と考えました。
特にストレスの多い職場において、3つの個人資源である「アサーティブネス」「自己効力感」「レジリエンス」を増やすことは、まさに職務資源を増やすのと同じ働きをすると考えています。
***
■本論文で検証したいこと
・さて、この論文の目的は、おおまかには以下の3点を検証することです。
1,「個人資源」が「ワークエンゲージメント」に影響を与えるという仮説を検証する
2,「個人資源」と「強みの活用」を増やすための「演習と課題を組み合わせたトレーニング介入」が、強みの活用に影響を与えるかを検証する
3,介入効果が発揮される心理的メカニズムを分析する
<研究デザイン>
・実験群、待機群の2群において、事前事後における比較
(事前調査→ 個人資源への介入→ 事後調査)
そして、論文では「2のトレーニング介入」についても詳しく書かれていました。
***
■トレーニング介入はどうやったのか
さて、上記の「2,「個人資源」と「強みの活用」を増やすための演習と課題を組み合わせた介入が、強みの活用に影響を与えるかを検証する」とありますが、どのような介入を行ったのでしょうか?
この内容について、以下内容を整理いたしました。
<対象者>
・オランダの102名。54名がトレーニングに参加、48名が待機リスト
・介入グループ(トレーニング参加者)は女性27名、男性27名。
・平均年齢は41歳(SD=10.52)。72%が高等教育または大学教育を修了。
<トレーニング(介入)の手順>
◯第1回目:「キャリアと強みの活かされ方の対話」
・参加者は自分のキャリアについて語り合い、共有する。
・現在の仕事で良いと思っている点や、自分の強みがどのように活かされているかについて話し合う。
・自分の望みやニーズ、ポジティブな感情とネガティブな感情を相手に伝える練習を行う。
・会話の始め方、続け方、終わらせ方を練習する。
◯第2回目:「フィードバックを通じて自己効力感を高める」
・参加者は褒め言葉を適切に受け取る方法や、フィードバックの与え方と受け取り方を練習する。
・フィードバックの授受を通じて、自己効力感を高める
・このセッション後、参加者は職場で以下の3つの課題をこなすことが求められる。
1)自分の意見を安心して伝えられる同僚を選び、その状況における自分のニーズや感情を発言する。
2)3人の同僚に自分の長所についてフィードバックを求め、その同僚に自分の長所についてフィードバックする。
3)同僚から言われた強みの1つを使う機会を職場で意図的に作る。
◯第3回目:「要求を断る練習」
・参加者はストレス要因を減らし、レジリエンスを高めるための方法として、要求を断る練習を行う。
・仕事上の問題で最近起こった個人的な挫折を特定する。
・特定された挫折に対する即時の反応を書くよう指示される。
***
■研究の結果
研究の結果、以下のことがわかりました。
・トレーニングの介入は「個人資源」「強みの活用」「ワークエンゲージメント」にポジティブな影響を与えることがわかった(Tabel2)
・トレーニングの介入において「レジリエンス」「自己効力感」がワークエンゲージメントに影響を与えていた(Table3)
***
■まとめ
今回勉強になったのが主に2点です。
まず1つ目が、「個人資源」に注目したところです。個人資源を、アサーティブネス・自己効力感・レジリエンスとし、それらを高めようとしたところが、ワークエンゲージメントに影響を与える登り方の一つの道筋を示してくれたように思いました。
(職務資源と個人資源を比較して考えるのも面白かったです)
また、2つ目が、「トレーニングの介入方法」です。
「強みの活用&個人資源を高めるトレーニング介入」という、2つのゴールを達成する介入を行い、特にアセスメントを使うわけでもない中で、介入群で成果を出したのは、介入の内容が濃厚だったのかな、など勝手ながら思いました。
手挙げで参加者を募ったところ、また介入の期間も3回とかなり濃厚に関わっているところも影響があるとも想像されます。
一方、内容も真似することもできそうでもあり、参考になるなと感じました。
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(今日のお話ここまで)
とのことでした。
この論文を読むのは2回目となりますが、
やはり最初とまた発見が違うので、しっかり読むと
また見えてくるものが変わると感じた次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
人の価値とは、その人が得たものではなく、
その人が与えたもので測られるのです。
アインシュタイン
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【編集後記】
今日も頑張った。明日も頑張ります。
<今月の健康&運動習慣>
・11月のランニング距離:53km
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