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令和5年10月20日(第3526号)
科学文献における「強みの3つの学派」はコレだ!
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3345字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
その他研修プログラムの作成、
社内ミーティングなどでした。
*
さて、本日のお話です。
今日も「強み」についての論文のご紹介を
させていただければと思います。
論文のタイトルは、
『職場における強みの活用:文献レビュー』
Miglianico, Marine, Philippe Dubreuil, Paule Miquelon, Arnold B. Bakker, and Charles Martin-Krumm.(2020).
“Strength Use in the Workplace: A Literature Review.”
です。
この論文では、まさにタイトル通り
”職場における強みの活用”に焦点を当てて、
かつて先行研究でどのような調査がされてきたのか
文献を網羅的にレビューしています。
いわゆる、
レビュー論文(=論文のまとめ論文)であり
その研究テーマの全体像を見渡すことができる、
たいへん頼もしい論文です。
*
今日はこの論文の前半から
「科学文献における強みの3つの主な学派」
というお話がとてもわかりやすかったので
皆様にご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【科学文献における「強みの3つの学派」はコレだ!】
それでは、どうぞ。
■「強み」に関して言うと、
現在、3つの強みを知るための
アセスメントがあります。
1)クリフトンストレングス(ストレングス・ファインダー)
2)VIA-IS(Value in Action Inventory of Strength)
3)Strength Profile
です。
(※1)2)は日本語で受検が可能ですが
3)は英語他言語での受検となります)
■私の話で言えば、
「クリフトンストレングス」
「VIA-IS」については
資格取得コースを含めて学び、
「Strength Profile」については
現在、海外の文献から独学中です。
いずれにせよ、
同じ「強みのアセスメント」といっても、
それぞれのツールには異なる特徴があることが
学ぶほどによくわかってきました。
■しかし、
「この3つのアセスメントについて
何が、どう違うのかを端的説明して?」
と言われたら、加えて、
「歴史と科学的なデータを含めて、
丁寧にお願いしますよ!」
なんて追加オーダーもいただくと
なんとなく冗長になってしまいそうな、
そんな心配もあるような印象です。
「どことなく似ているもの」を
「その違いを明確に語る」というのは
なかなか難易度が高いものです。
■そんな中、
上述のご紹介の論文にて、
わかりやすくまとめられておりました。
以下、その内容を引用させていただきつつ、
ポイントをお伝えできればと思います。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【科学文献における強み】
<はじめに>
・科学的な文献を調べると、強みの運動は
3つの主要な学派によって長い時間をかけて発展してきたことがわかる。
・これらの3つの学派は相互に影響を及ぼし合っている。
強みを特徴づけるための定義、分類、測定方法についても
同等であるが若干異なるものを提案している。
・これら3つの研究の流れや目指すものを統合することで、
この分野をよりよく理解し、包括的な視点から、
強みの概念にアプローチすることが可能になるであろう。
**
<最初の学派:2001年>
◯ツール
・クリフトンストレングス(ストレングス・ファインダー)
{特徴}
・177問の質問で回答
・卓越したパフォーマンスの基盤となる「34種類の資質」で分類
◯作成者
・クリフトンとその同僚(2001)
(ギャラップ研究所)
◯研究方法
・数十年にわたってさまざまな分野の卓越性を研究し、卓越したパフォーマンスの基盤となる34の才能を特定した。
・何百もの才能のテーマを特定し、それらを 34の主要なテーマに絞り込んだ (Buckingham and Clifton 2001; Clifton et al. 2002)。
ストレングス・ファインダーは、質問票を通じて、個人が自分の主要な才能を特定できるように構築された(Buck-ingham and Clifton 2001)。
その後、改訂版のストレングスファインダー2.0が開発された(Rath 2007)
◯「強み」の定義
・強みとは「ある活動において常に完璧に近いパフォーマンスを発揮すること」と定義。
・才能とは「自然に繰り返される思考、感情、行動のパターン」 と定義される。
・(強みに向けた)能力開発の鍵は、才能を特定し、知識(事実や経験)とスキル(活動のステップ)を開発することによって、
才能を洗練させることにあるとした(Asplund et al.2014)。
◯信頼性について
・複数のサンプル(n = 2219)で実施された信頼性調査によると、
クロンバックのアルファ(※)推定値は「0.52~0.78」の間であった。
(※クロンバックのアルファ(Cronbach's alpha)とは:
テストやアンケートなどの一貫性や信頼性を評価するための統計的指標の一つです)
(※クロンバックのアルファの一般的な目安としては、
「0.7以上であれば信頼が高い」という説明もあります。※「心理学用語の学習」より)
**
<2つ目の学派:2004年>
◯ツール
・VIA-IS(Value in Action Inventory of Strength)
{特徴}
・240問の質問で回答
・人間的な美徳(Charactor Strength)の「24種類」で分類
◯作成者
・ピーターソンとセリグマン(2004)
(ペンシルバニア大学)
◯研究方法
・人間が開花するための強みと美徳を説明し、分類している(Seligman et al. 2005)。
この分類を確立するために、著者らは世界中の哲学的、宗教的、心理論理的な文献を研究した。
・性格的強みを「道徳的美徳を定義する中核的な心理的要素である」と定義した。
◯「強み」の定義
・2つ目の学派における「性格の強み」を定義する基準は10項目とする(Peterson and Seligman 2004)
(1)自分自身と他者の成長に貢献する
(2)道徳的に評価されるものであること
(3)その使用は他者を萎縮させないこと
(4)その反対は否定的であること
(5)認知、感情、行動の各レベルで現れるものであること
(6)他の肯定的特質とは区別されるものであること
(7)合意の範疇で具現化されるものであること
(8)天才に見られるものであること
(9)人によっては存在しないこともあること
(10)異なる文化でも望まれ、培われるものであること
◯信頼性について
・クロンバックのアルファ推定値は.75から.90の範囲であった。
**
<3つ目の学派:2008年~>
◯ツール
Strength Profile
(旧:Realize2)
{特徴}
・180問の質問で回答
・エネルギー・パフォーマンス・使用頻度の3つの側面から「60の強み」を評価
・レポートは、属性を「実現された強み」、「実現されていない強み」、「学習された行動」、「弱み」の4つのカテゴリーに分類して結果を提供する。
◯作成者
・アレックス・リンレイ(Linley)
(応用ポジティブ心理学センター)
◯研究方法
・不明
◯「強み」の定義
・強みを「特定の行動様式、思考様式、感情様式に対する既存の能力であり、
その使用者にとって本物であり、活力を与えるものであり、
最適な機能、発達、パフォーマンスを可能にするもの」と定義(Linley 2008)。
・強みのアプローチの5つの基本原則がある
(1)強みアプローチは、人間の中で何が機能しているかに焦点を当てる
(2)強みは人間の本質の一部であり、誰もがいくつか持っている
(3)個人の潜在的な能力開発の最大の領域は、その人の強みにある
(4)成功は、強みも最大限に活用した場合にのみ、弱みを修正することによって達成される
(5)個人の強みに焦点を当てることは、最大の違いを生み出すために行う最小のことである
◯信頼性について
・クロンバックのアルファ推定値は.68から.90の範囲であった。
※参考:『職場における強みの活用:文献レビュー』
Miglianico, Marine, Philippe Dubreuil, Paule Miquelon, Arnold B. Bakker, and Charles Martin-Krumm.(2020).
“Strength Use in the Workplace: A Literature Review.”
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
■なるほど、、、。
こうして並べてみると、
「強み」の特定の仕方も
・「卓越したパフォーマンスに繋がる資質」に注目(クリフトンストレングス)
・「人間の持つ美徳」に注目(VIA)
・「エネルギー・パフォーマンス・使用頻度」から分析(Strength Profile)
など違いが見えます。
また「強み」の定義も、
・強みとは「ある活動において常に完璧に近いパフォーマンスを発揮すること」(クリフトンストレングス)
・(性格特性的)強みとは「道徳的美徳を定義する、中核的な心理的要素である」(VIA)
・強みとは「特定の行動様式、思考様式、感情様式に対する既存の能力であり、その使用者にとって本物であり、活力を与えるものであり、最適な機能、発達、パフォーマンスを可能にするもの」(Strength Profile)
と違いがあるのもよくわかります。
■なんとなく違う、ということも、
その歴史、特徴、手法などを
リスト化して、整理してみる。
そのことで、
全体の共通点と相違点がわかり、
よりツールを上手に使うことも可能になるのだろうな、
そんな事を感じた次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
知っている仕事はやさしい。
そのため、自らの知識や能力には特別の意味はなく、
誰もがもっているに違いないと錯覚する。
逆に、自らに難しいもの、不得手なものが大きく見える。
ピーター・ドラッカー
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【編集後記】
仕事に追われるのではなく、追いかけるのが大事、
などと聞いたことがありますが、最近その大切さを感じます。
8割でよいので前に進めていこう(と言い聞かせる)
<今月の健康&運動習慣>
・10月のランニング距離:43km
・開脚ストレッチ:0回
・体幹トレーニング:1回
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