配信日時 2023/10/14 10:29

「ヒロアカの名シーン」で覚えた違和感の正体、そして平等という欺瞞【カレッジサプリ】

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令和5年10月14日(第3520号)


「ヒロアカの名シーン」で覚えた違和感の正体、そして平等という欺瞞


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 1253字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日より、祖父の49日の法事のため
宮崎に来ております。

宮崎もすっかり涼しく、
秋の訪れを感じますね。

親族が集まると、たいへん賑やかです。
(うるさい、ともいえる笑)



さて、本日のお話です。

昨日、ふとしたご縁で
読書会をNPO法人として12年間実施されている
同世代の方とお話をさせていただきました。

新しい情報というのは、
他者からもたらされるもの。

自分では手に取らない本や情報も
「お勧めです」と言われて手にしてみて、

新たな視点が手に入るということも
多分にあるものです。

その方から


『「能力」の生きづらさをほぐす』
勅使川原 真衣 (著), 磯野 真穂 (解説)
https://amzn.asia/d/6hAKPZh


という著書を教えてもらったのですが
書かれている内容が、

”なんとなく感じていた
 教育や評価に関する違和感”
 
を明らかにしてくれた感じがして
大変感銘を受けております。

(まだ途中ですが)



今日はその書籍を読みながら感じたことについて
皆様に共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは



【「ヒロアカの名シーン」で覚えた違和感の正体、そして平等という欺瞞】



それでは、どうぞ。



■最近のアニメは、
本当に面白いですよね。

『呪術廻戦』
『鬼滅の刃』
『推しの子』
『ジョジョの奇妙な冒険』
『チェンソーマン』
他多数・・・


現代アニメ描写や表現力は
漫画では描けない世界を見せてくれて、
本当に引き込まれます。



■私(紀藤)の個人的な嗜好では


『僕のヒーローアカデミア』
(通称ヒロアカ)


はかなり好きでございます。

なんというか、

”なんの能力もなかった少年が
 努力して、何者かになっていくストーリー”
 
とか
 
”限界を越えていく(PLUS ULTRA)”

というメッセージ。

これが個人の琴線に触れ、
思わず涙腺がゆるむこともしばしば。
(というか泣く)

これまでのシリーズも
いちファンとしてガッツリと見てきました。



■そんな「ヒロアカ」ですが、
映画化もされております。

その映画を先日、
アマプラでみていた際のお話。


いよいよクライマックスで
主人公が、ボスを追い詰める中で、
このように言うのです。

**

主人公

「お前は諦めたんだ・・・!
 諦めなければ何度もぶつかっていけば、
 人と触れ合えたかもしれないのに。
 
 病気とかいって勝手に諦めて絶望して
 お前はぶつかる事をやめたんだ!」


ボス「、、、だまれ、だまれぇぇ!」

(そして最後の戦いへ)

**

という場面です。



■おお、そうだそうだ、、、!

諦めちゃダメなんだ!
限界を超えるのが大事なんだ!!

と表面ではグッときて感動している自分を
涙腺付近、全面で感じつつ、

一方、もうひとりの
胸の奥のほうにいる自分は
ある違和感も覚えていたのでした。


それを言葉にするならば、

「とはいっても、このボスのように、
 小さい頃から誰とも触れ合えなかったら、
 確かに絶望するし、世界に怒りを覚えるのも仕方ないよなあ」
 
そして、

・「”お前は”それを勝手に絶望して、ぶつかることをやめた」と
 ぶつかれなかった理由や責任を、本人に帰属させているのも
 ちょっとかわいそうだなあ
 
と思ったのでした。


なんというか本人(ボス)の
消化できない「かなしみ」のようなものを
勝手に感じている自分もいて、

ちょっとだけもやっとした、というお話。



■、、、いや、わかるんです。

たしかに大事なクライマックスの場面で、

主人公
「いやたしかに、あなたの出自や、
 生得的な特殊な能力(相手を弾いてしまう)があったら、
 そのように感じるのは、当然のことかもしれない。
 
 だから、あなたに100%、
 今回の一連の原因の帰属があるとも思わない。

 しかし、あなたが世界の行ったテロ行為は
 到底許されるものではない。
 
 人には選択する力があるともいう立場において、
 あなたには、責任の一旦がある!」
 
ボス
「だまれ、だまれぇぇ!」


、、、とはたぶん
ならないでしょう。

そこで「スマ―ッシュ!」と
必殺技を繰り出しても、
あんまりキマるイメージもありません(汗)



■でも、現実世界では

・同じように、
 「公平な条件と機会」が与えられており
 
・ゆえに、本人の能力や努力に
 ほぼほぼ原因が求められる
 
というのが存在している感覚もあり。

だから、主人公の先述の

「お前は諦めたんだ!」

の一言を受け入れてしまうよな、
とも思ったのです。



■さて、ヒロアカのこの場面の違和感。

冒頭にお伝えした書籍、

『「能力」の生きづらさをほぐす』
勅使川原 真衣 (著), 磯野 真穂 (解説)
https://amzn.asia/d/6hAKPZh

で、関連するような話が
述べられていました。

それは、

「格差を見えにくくしている社会の仕組み」

ということで、
このように表現されていました。


(以下引用します)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・「格差の問題」もようやく重要テーマになってきた。
 「実際に(もし)格差があるのなら」て言うほどに、
 大っぴらには語られてこなかった現実がある。

・この点について、教育社会学では、問いを深める。
 その問いは「格差を見えにくくする仕組みがあるのではないか?」。
 
・その「格差を見えにくくしている仕組み」とは
 一見疑いどころがなさそうな「学校教育」ではないか、と考える。
 
・義務教育はすべからく普及し、教育内容も全国一律で定められている。
 日本の教育といえば、平等で公平な印象そのもの。
 
・ゆえに
 「頑張れば、何にでもなれる!機会は平等なのだから、
  それを生かすも殺すも自分次第」
 「能力に合わせた将来が自分の意志で選べるなんて、
  江戸時代ではなく現代に生まれてよかった」となる。
  
・教育があまりに「平等に」「能力を伸ばすもの」と信じられているがあまり、
 もともとある生まれの格差は置き去りのまま、
 あたかも公平なレースをしている気満々になってしまっている。
 
・つまり、平等と信じられている日本教育が
 生まれの格差の是正しようという気持ちになりにくい仕組みを
 作り上げてしまっている。
 
  
※『「能力」の生きづらさをほぐす』P43-44を参考・引用し著者により編集
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

、、、と。



■「平等な機会提供がある」と
 信じられるがゆえに


「うまくいかないのは
 あなたに能力や努力が足りない」


と個人へ責任を帰する構造になる。

そうとまではいわずとも、
生まれの格差の是正の意欲を生みづらくなる、

、、、これはヒロアカに
繋げて言うのであれば

”ボスの生まれの格差”

をやや軽視しているようにも
思えなくもないな、、、と思ったのでした。

(やや強引ですが苦笑)



■個人への責任だけでなく、
それを生み出す仕組み、

社会システムや構造に
もっと目を向けていく必要があるのだな、、、、


そんなことを

ヒロアカのワンシーンの違和感、
そしてこの著書を読みながら感じたのでした。



■ちなみに、

映画ではなく本編のストーリーでは

主人公が、本編のボス的な人に対して

”小さい頃に負った心の傷に共感をしつつ
 それでも相手に対峙をする”
 
という姿勢を見せています。

ゆえに、

主人公の本当の気持ちは
私が解説で述べた長文の方に、
近かったのであろうと推測しています。


「お前はそれを勝手に絶望して、
 ぶつかることをやめたんだ!」

と言ったのは、時間の尺と、
言葉のインパクトを重視した結果なのだろう、

と、勝手に思っております。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

すべての人間が、いかなる意識においても、
またどんなときでも、自由かつ平等であり、
そうであったという教義は、まったく根拠のないフィクションである。

トーマス・ハックスリー
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【編集後記】
最近、大学院他メンバーのみなさんと
3人くらいで対話をしますが、
そうすることで、グッと内容が深まり
またスピードも早まると感じています。

三人寄れば文殊の知恵、まさにその通り。
こうしたプロジェクトを一緒に歩んでくれる仲間に感謝です。


<今月の健康&運動習慣>
・10月のランニング距離:30km
・開脚ストレッチ:連続1回

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