配信日時 2023/09/29 18:41

「自分は何者か?」を考える3つの視点【カレッジサプリ】

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令和5年9月29日(第3505号)


「自分は何者か?」を考える3つの視点
ー”キャリア構成理論のメタ理論”のお話ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2952字/読了時間4分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は、終日、
外部人事パートナーとして
関わらせていただいている企業様への
コーチング&コンサルティング。

・部内のシステムコーチング
・読書勉強会(『人材開発・組織開発コンサルティング)』
・リスキリング、キャリア
・新入社員関連

など色々なテーマで関わらせていだき、
大変充実した時間でございました。

また夕方から1件の打ち合わせでした。



さて、本日のお話です。


普段、私のメルマガを読まない妻が珍しく

『サビカスのキャリア構成理論』を読む  ー「漂う人の不安」フレッドの軌跡
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4606204/

を読んだとのことで(!)、感想を教えてくれました。

曰く、

「ねえ、なんだか悲しい気持ちになったんだけど。
 このメルマガ、5%元気にしてくれてないけど、大丈夫?」
 
とのこと。

(ちなみに、このメルマガのコンセプトは、
 ”皆様の1日を5%元気にする”でございます。)


確かに、人の「キャリア(=人生の轍)」とは、
必ずしも誰もが快晴ばかりではなく、

その始まりから、
今に至るまでずっと豪雨で
その”轍”もぬかるみ、さまよい、
なんとか現在に、至っているという、
一見すると辛いエピソードもある。

そんな事実を、書籍

『サビカス キャリア構成理論 
 四つの〈物語〉で学ぶキャリアの形成と発達』

を読んで、ひしと感じたのでした。


さて今日は、そんな「キャリア構成理論」の
少し理論的なお話について、本書からの学びをお伝えできればと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは



【「自分は何者か?」を考える3つの視点
 
 ー”キャリア構成理論のメタ理論”のお話ー】



それでは、どうぞ。



■誰しもの人生に
関連するであろう「キャリア」。


そんなキャリアにまつわる理論も
数多くありますが、

その中で代表的なものが、

”サビカスの『キャリア構成理論』”

です。


■これまでのメルマガにおいて、
4つの物語をご紹介していまいりましたが、

その物語を意味づけ、
解釈するための理論やモデルが
本書では紹介されています。
しかし、その理論やモデルも
実に多岐にわたっており、

1つ1つのつぶつぶ(理論)が実に濃ゆいため、
一言で解説をすることはなかなか難しそうです。


■その中で、「キャリア構成理論」を形づくる
”メタ理論(=理論の理論)として、

「3つの重要な自己構成プロセス」

というお話が本書にて紹介されており、
これだけでもとても勉強になりました。



まず「キャリア構成理論」の基盤となる考えが

”社会構成主義”
(=知識や現実は、人々の間のやり取りや文化の影響で作られるという考え方)

というものです。

「言葉によって現実が生まれる」とも言われる考え方であり、
たとえば、キャリアに紐付けるならば、

「自分は、◯◯◯な性格だから」
「自分は、親の△△に影響をうけたからこうなった」
「自分は、XXXXが得意である」

というように、
これらが真実かどうかわからずとも

”そのように定義したから
  そういう自分像になっている”

という作用が働きます。

言葉にするまではふわふわとして
現実化されていなかったものが
言葉にすることで、実体化するわけです。

自分のキャリアについても
”自分の物語”を言葉として自ら作ること。
がキャリア構成理論に根ざす考え方であるようです
(という私の解釈)



■では、そんな社会構成主義に根ざす背景において

”キャリア構成理論”

では「キャリア構成のプロセス」の一端が
「自己構成の3つの要素」として説明されていました。

自己構成とは

・自分の「特性」(こういった才能がある、こういった性格である)
・自分の「動機」(こういったことがやりたい、楽しい)
・自分の「経験」(こうした経験をしてきた)

という「自己」にまつわることを
”どのような方法で物語にしていくのかという枠組み”
みたいなものです。



ということでその内容について
以下、ご紹介させていただきます。

(ここから
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<キャリア構成理論(CCT)のプロセスモデル 
 ー3つの自己構成プロセスー>

・CCTは個人の特性・動機・経験をまとめる場合、
 個人の情報処理機能プロセスである3つの自己構成プロセスである
 「自己体系立て」「自己調整」「自己概念化プロセス」を重要視している。
 

 
◯『自己体系立て(Self-organizing)』

・自己体系立てには「メンタルプロセス」と「個人の経験」が含まれる
 
 ・「メンタルプロセス」によって、人は
   - 意図的に選択する、他との差別化をする、
    知識・能力・信条・経験をそれぞれ相互に関係づける事、が可能になる
 
 ・「新しい経験」によって、
    - 個人が過去の経験と類似する文脈や内容に出会うと、
     過去の経験を体系立てて戦略を形成するためのレパートリーとなる
           
・また、自己体系立てには「自己認識」と「自己評価」のプロセスが含まれる
   
   ・「自己認識」することで、
     - 個人は自分と環境、自分と他者は異なるものと特別して観察し、認識する事が可能になる。
     - 自分に注意を向けることで、自分の特性・感情・動機・欲求を意識的に形成する
     - 自己概念は主観的に構成されたものであり、それが事実であることもあるし、事実でないこともある
   
   ・ 「自己評価」することで、
     - 自分の特性を自己の理想や社会からの評価と比較することができる



◯『自己調整(Self-regulating)』

・ 自己調整とは、「自分による自分のコントロール」を意味する
 
・自己調整に関わるものは以下の2つである
  - 1)目標を設定して目標に向かう方向づけ
  - 2)進捗を評価する自己監視
 
・「自己調整の発達」の程度に従い、
  個人は、選択・計画・実行・経験を責任を持って評価することができるようになる。
  


◯『自己概念化(Self-conceiving)』

・「自己概念化する」ことで、個人は
 「自分が何者か」「自分の社会的役割は何であるか」「世界はどんなものであるか」を理解するための、
  漠然とした意味に気がつく。
 
・「自己概念化」には、
    - 「自己の内的思考と感情に一貫するものが何であるかを調べ、その意味を考えて自己構成すること」が含まれる
    - 自己概念化を通じて、自己像が象徴的な意味となり、認識・考え方・感情に形と実体を与える
    - 自己概念化を通じて、自己一貫性が生まれ、思考や感情を統合して、自分の経験や欲求をより理解しやすいものにする
    - 自己についてのストーリーは意味を創り、人生の目的やキャリアのテーマについて洞察を生み出す


※引用・参考:マーク・L・サビカス.『サビカス キャリア構成理論 四つの〈物語〉で学ぶキャリアの形成と発達』P19~26
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。



■なるほど、、、。

思わず納得してしまいました。
というのも、

「自己を構成する」とか
「自己を物語にする」といっても、

どういったプロセスでそれが行われるかは
複雑なのでどう捉えたいいいか、さっぱりでした。
(少なくとも私は)



■ただ、この部分で語られているように

・「自己体系立て」
 =メンタルプロセスと個人の経験
 =自己認識と自己評価
 
・「自己調整」
 =目標設定と自己監視

・「自己概念化」
 →自己一貫性と自己のストーリー作り
 
というような、
いくつかのキーワードに分解してみる。

すると、

自らの物語を形づくる「自己構成のプロセス」
言い換えると

【「自分は何者か?」を考える3つの視点】

となり、わかりやすくなるような気がする

、、、などと思ったのでした。



■自分を知り、物語を作るプロセスは複雑です。

その中で、こうした観点があると、
少しだけそのステップが踏みやすくなるなあ、

そんなことを考えた次第でございます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>
歩みだけが重要である。
歩みこそ、持続するものであって、
目的地ではないからである。

サン=デグジュベリ 
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【編集後記】
新しい概念を得たとき、どう言葉にしたらよいかわからず
「ああー」とか「ううー」と唸りながらメルマガを書くこともしばしば。
苦行です。

特に、書くタイミングを逃して沼化すると、
メルマガを書くことが苦痛になるのですが、
こうした知的格闘(知的モゾモゾのほうが近い)が
きっと自分の力になるはず、、、と思って、粛々と続けたいと思います。


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