配信日時 2023/09/26 18:32

『サビカスのキャリア構成理論』を読む  ー「道を探す人の冒険」ポールの軌跡【カレッジサプリ】

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令和5年9月26日(第3502号)


『サビカスのキャリア構成理論』を読む  ー「道を探す人の冒険」ポールの軌跡


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3153字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、2件のアポイント。

また夜は5kmのランニングと、
5kmのウォーキング&読書でした。

川沿いの人があまりいない道を
kindleで本を読みながら歩くと、
頭も活性化されて、学びが深まる感覚がして一石二鳥だな、、、

と気づきました。

このパターンもっとやろうかな。
(実際、歩くと脳が活性化するそうですね)



さて、本日のお話です。

今日も引き続き、

『サビカス キャリア構成理論
 四つの〈物語〉で学ぶキャリアの形成と発達』
 
マーク・L・サビカス (著),
https://amzn.asia/d/dqHDgH8


の書籍より、ある人物の軌跡からの学びを
共有させていただければと思います。

今回のお話は、
なんだか目頭が熱くなってしまいました。。。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは



【『サビカスのキャリア構成理論』を読む  ー「道を探す人の冒険」ポールの軌跡】



それでは、どうぞ。



■私のこれまでの経験で

”強烈な自律心を持ち、
 道を切り開いてく人”
 
に出会ったことがあります。

孤高な存在で、
自信に満ち溢れており、
実に頼もしい存在。

そうした人に昔の話を聞くと、

「長男で自分が
 弟とか妹の面倒を見ないといけなかった」

「家にお金がなくて、
 小さい頃から自律しなければならなかった」
 
という苦労話を聞くことも
しばしばありました。



■そうした話を聞くたびに

その人の”頼もしさ”の裏にある
それぞれの人の苦労を想像して、

その人生への敬意を感じたことを
覚えています。



■さて、今回、書籍から
ご紹介するある人物のエピソード、


『「道を探す人の冒険」ポールの軌跡』


は、まさに幼き頃の辛い経験から
”自分自身を頼りにせざるを得ない”という
自己を構成していったある男性のエピソードです。


それでは、早速見てみましょう。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<「道を探す人の冒険」 ―ポールの軌跡>


◯家族

・ポールは小学生の時に、母親を心臓病で亡くした。
 この喪失がトラウマとなり、彼の人生に大きな影響を与えていった。
 
・母親は、常に彼の事を気にかけてくれていた。
 いつも彼のことを心配してくれていた。
 
・母が亡くなった後、父にその愛情を求めた。
 しかし、父親は何もしてくれなかった。
 そしてその時に「もう自分を心配してくれる人はいなくなった」と感じた。
 
・父は精神的にも、物理的にも距離があった。
 朝から夜まで、食堂で働き、家にいなかった。
 
・母がいない代わりに、年老いた家政婦が1日数時間、
 ポールの世話をするようになった。
 しかし、家政婦は子供が好きではなく、してはいけないことを言い続けていた。
 
 あれはダメ、これはダメ、と言われる中で、
 自分は必要とされていない、邪魔な存在であると感じていった。
 
・何をしても、父も家政婦も喜んでくれなかった。

・放課後も楽しくなく、友人といたかったが、
 父に言われて食堂で働かなければならなかった。

・自分のやりたいことをやるには、
 すべてから逃げなければならないような気がしていた。


◯キャリア発達

・父からも、家政婦からも、親族からも距離があり
 自分の本当の居場所がわからくなっていた。
 
・しかし、中学1年生のクラスになると、状況が変わった。
 教室に居心地の良さを感じることができるようになった。
 
・その理由は、先生が一人ひとりを見てくれたから。
 またクラブに入ることで、同じ趣味や熱意を持つ仲間たちと
 友情を育むことができた。
 
・一緒に登下校をし、フットボールや野球をした。
 家族より、友達が自分にとっての居場所だと感じるようになった。
 
・だが、高校入学を目前にして、父親が家を買ったことで
 学校が代わり、友人と離れ離れになった。
 また、ポールは孤独を感じるようになった。

・「父にもっと一緒にいてほしかった」。
 ただし、それは叶えられなかった。
 

◯キャリア探索

・中学高校と、ポールは
 幅広い興味関心と、それを追求するエネルギーを持っていた。
 
・ポールは、動き回ることと、移動することが
 趣味のほとんどであった。興味が次々に目移りしていった。
 
・新しいことを成し遂げたり、やったことがないことをやると
 優越感を感じると思っていた。
 
・家にはほとんど帰らず、16歳では、お酒を飲んだり、
 お金を稼ぐためのトランプをしたり、無免許でトレーラーを運転するようになった。

・「結局は、自分のことは自分で解決しなければいけないのだ」と決心した。
 そこから父を頼りにすることはしなくなった。

・大学も父は学費を出すつもりだったが、拒否をした。
 父を拒絶するようになっていった。
 
・高校3年生のとき、年上の女性と知り合い、
 彼女と一緒に何時間でも話をするようになった。
 彼女は、彼の自分で動くスタイルを邪魔せず、しかし安心する場所になっていた。
 ポールは高校卒業後、すぐに結婚をした。
 
・安心感とともに、「何かしっかりとしたものを手に入れた」感覚を得た。


◯キャリア確立

・ポールと妻は、故郷から離れ、
 新しい土地、新しい家、新しい仕事に変わっていった。
 
・樹木伐採の会社に雇用され成果を上げるが、
 その後、解雇された。
 
 貨物運送会社の自営業では大きく稼いだが、
 市場の低迷とともに終了した。
 
 バス会社の整備士は短期間でクビになり、
 ボートに関連した仕事で安定した仕事になった。
 
・それぞれの仕事で「自分自身を頼りにし、工夫し、結果を出す」ことを
 実現していた。
 
・しかし周りからの束縛が強くなるたびに、
 彼はその場所を離れていった。

・何からも誰からも、縛られることを拒んだ。
 彼は自分が設定した目標以外は目にくれなかった。
 自分が否定され続けたものを取り返そうとする努力だった。
 
 
◯キャリアマネジメント

・多岐にわたる業務と自由さを楽しんだ。
 どんな状況でも、楽観的な考えを持ち続けていた。
 仕事ではなく、冒険を楽しんでいた。

・不安定ながら、それぞれの仕事で成果を出し、
 経済的には成功をしていた。
 
・54歳になったポールは、どんな悪評を聞いても耳を貸さず
 誠実に対応し、誰にも逃げずに対面した。
 そして地域のリーダーとして尊敬されるようになった。
 
・ポールは自立と柔軟性を持ち、
 不屈の精神を持っていた。
 
・自分を犠牲者とみなすことを拒否し、
 人生がもたらすことに対する好奇心を持っていた。
 「問題が起きればその都度対処すればよい」としてきた。
 
・子供時代には考えられなかった、
 楽しい家庭を築いていった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)



■実際の物語を読みつつ、

”愛情を求めたけれども
 ずっと得られなかった悲しみ”
 
が透けてくるような物語。。。

そしてその結果、ポールは

「自分のことを自分で決めるしかない」

とし強烈な自立心と柔軟性を
自分自身のアイデンティティとして
手に入れていったのでした。



■そして、その中には、

妻との出会いがあり、
その拭い去れない”痛み”のようなものを
抱えながらも、

それを

「自分を信じる心」
「適応する力」
「楽観的な姿勢」
「あくなき冒険心」

として昇華をさせ、
人生の航海を続けている姿は、まさに

”道を探す人”

といえるのだろう、、、

そんなことを感じさせられました。



■このような物語は、

親を幼き頃に亡くした時に、
取るべき一つの戦略として

「回避的な愛着スキーマ」
(誰かに依存的・親密になることを避けようとする)

という形を取ることもあるようです。
ポールはまさにその例でした。




また彼が「人格形成期」に父親や周りを
頼りにすることができなかったことから

「人に頼ると裏切られる」
 ↓
「自分自身は自分のものでしかない」
 ↓
「成功するなら自分の力で」

というアイデンティティを構築していったと
考えられるようです。



■いずれにせよ、キャリアとは、

幼き頃から始まり、

そしてその人が持つ
宿命じみた匂いすらするライフテーマとともに、
それぞれの道を歩んでいく、、、

こうした一人ひとりの旅路があると、
改めて尊いものであると感じた次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

家族どうしの愛とは、互いに束縛しあうのではなく、
それぞれの自由と自立を認めあい励ましあうところに
存在価値があるように思います。

 瀬戸内寂聴 
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【編集後記】
10~12月にかけて、急激に仕事が入ってまいりました。
実にありがたい限りです。

自分がレベルアップすることこそが、
お役に立てることであるということで
目の前のミッションにしっかり取り組んで行きたいと思います。


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