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令和5年8月23日(第3469号)
「強みは二階建て」と考えてみよう
ースゴい人の強みと比較せず、自分の強みを認めるための思考法ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3154字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は某企業の人事の皆さまへ
ストレングス・ファインダー研修の実施でした。
お互いの強みを言葉にし、認め合うこと。
言葉にするとそれだけですが、
その行為がもたらすインパクトを
改めて感じさせられた1日でした。
*
さて、本日のお話です。
先日、強みに関する
研修を実施させて頂く中で
”「自分の強みを認める」上で
抑えておくべき前提条件がある”
そんなことを
昨日改めて思ったのでした。
本日はそのお話について、
気づきを皆様にお伝えさせていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは
【「強みは二階建て」と考えてみよう
ースゴい人の強みと比較せず、自分の強みを認めるための思考法ー】
それでは、どうぞ。
■先日の研修のお話。
厳密には、研修のトイレ休憩の際、
参加者のお一人と用を足しつつ
(汚い表現ですみません)
何気なくお話をしていました。
私から
「研修どうですか?
わかりづらいところとか、ありませんか」
と参加者のお一人へ。
すると、
このようなお話を頂きました。
「確かに、”強み”として、
自分が自然とできる行動(資質)はあると思います。
一方、”強み”というと
他のすごい人が思い浮かぶし、
その人と比べると、自分ができることも
強みと呼べるほどでもない、と思ってしまいます」
とのこと。
■なるほど…
実に共感しました、
そのことについて
考えていたことがありました。
そして、これは私なりの結論ですが
『「強みは二階建て」で考えてみよう』
という捉え方をすると役に立つのでは、
と思うのです。
そして、そのお話を
今日の本題としてお伝えしたいと思います。
■少し回り道になるのですが、
そもそも「強み」の定義とは
一体どんなものなのか?
研究の観点では、
代表的なものとして
”人が活躍したり
最善を尽くすことを可能にさせるような特性”
(Wood, Linleyら,2010)
とあります。
「活躍する」
「最善を尽くせる」
そういったものに資するものが
”強み”としているようです。
また、辞書(三省堂大辞林 第三版)では
「強み」とは
[1]強いこと。強さの度合。
[2]頼りになるすぐれた点。長所(a strong point, a strength)。
と表現されており、
「強い(力が豊かである)」
「頼りになる」
とされています。
前者と後者の違いを考えると
私の感覚ではありますが、
・活躍する・最善を尽くせる →自分視点
・強い・頼りになる →他者視点
の匂いがやや強めに思われます。
■また、
「強みの種類」として
以下の5つがある論文で示されています。
それが、以下の5つです。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<人が持つ多様な「強み」の種類>
(Niemiec,2014)
1)性格特性的強み(Character Strengths)
・この強みは、「人間が持つ優れたパーソナリティ特性」である。
・それを発揮することでその人自身だけでなく、他者を利する人間の特性。
・個人にとってのアイデンティティであると同時に、行為でもある。
2)才能
・この強みは、「遺伝的な生物学的要素に大きく依拠する強み」である。
・たとえば空間的知能、音楽的知能、対人的知能など
3)スキル
・この強みは、「ある特定の習熟的技能」である。
・例えば、タイピングのスキル、研究スキル、大工作業の技術など
・これらのスキルは通常、最終的な目的を達成する手段として研鑽を積むことで習得される
4)興味・関心
・この強みは、「夢中になっていることがらや、関心事」である。
・例えば、テニスをする、コインを収集する、水彩画を描くなどである
5)リソース(資源)
・この強みは、「外的・環境的に与えられたものだが、個人の実施的な支えになってくれる強み」である。
・例えば、家族の支え、良い友人関係、安全な住環境、コミュニティーグループなどである
※参考:スージー・グリーン&ステファン・パーマー、西垣悦代
『ポジティブ心理学コーチングの実践』金銀出版 P117-118
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
つまり、「強み」といっても、
性格的特性、遺伝的才能や、
習熟的な技能(スキル)など、
様々なものが含まれており、
それらが混ざったものを「強み」として
私達は認識していると思われます。
■そして、私達が
「強みとはなにか?」と問われたとき、
思い浮かんでくるものは、
上記の様々な要素が複合された上での
”競争的優位性を持つ「強み」”
が思い浮かぶ人は
決して少なくないはず、、、と思われます。
(まさに先述の対話の例ですね)
”「強み」とは
相対的に見て、他者に比べて秀でている
競争優位性を持つ特性・才能・スキル”
じゃないの?ということですね。
例えば、
大谷選手のバッティング能力も、
投手としての能力は「強み」だと
誰もが認めるでしょうし、
(圧倒的競争優位性=強み)
羽生結弦さんの
華麗なるスケートの技術も
誰もが「強み」と認めるでしょう。
(圧倒的競争優位性=強み)
あるいは、
勝率が非常に高い弁護士も、
弁護士としての弁護能力が「強み」とされたりするのでしょう。
(圧倒的競争優位性=強み)
そして、これは確かに
「誰もが認める強み」として
評価されるものでしょうし、
憧れてしまうものでもあります。
■、、、ですが、
先述の例のような「強み」は、
・性格特性的強み(Character Strengths)
・才能
・スキル
、、、などなどが重なり合い
尖らせた希少なものです。
もし「強み」をそうした
尖らせた希少なもの、
競争優位的な強みだけと
思ってしまうと
”「強み」というのは、
ごく一部の人だけのもの”
になってしまい、
民主的なものになり得ません。
また、誰と比べるかによっても
「強み」とも言えたり言えなかったり
移ろいやすく、不安定なものになってしまいます。
■それは、ちょっともったいない、、、。
もっと、民主的に、
「強み」のハードルを
下げることができないか?
と思うわけです。
そこで取り入れたい
ご紹介した「強みの定義」、
”人が活躍したり
最善を尽くすことを可能にさせるような特性”
(Wood, Linleyら,2010)
なのです。
ここには、
「相対的に他を圧倒する能力」とか
「他に比べて秀でている能力」とはされていません。
職場の周りの人に対して、
それが1人でも、2人でも、
「活躍する(役に立ち、感謝される)」
「最善を尽くせる(頑張れる)」
という特性のことを
”自分の強み”とみなしてみる。
それを「強みの活用の第一歩」としてみる。
そして、強みの活用の研究で得られるとする
・ウェルビーイングの向上
・ストレスの軽減
・活力が増す
・人生の満足度が高まる
・自信が高まる
・仕事への満足感が向上する
・エンゲージメントが高まる
をまずは獲得するのです。
■そして、その上で、
その「強みの活用の一階」を土台として、
”競争優位性を得られるような
「強み」を育む(=二階部分)”
こうしたステップを踏んだほうが、
また強みをもっと身近なものとして、
自らの強みを育てられるし、
一般的に使える強みになると思うのです。
(がいかがでしょう?)
■ということでまとめます。
・「強みの活用」を身近に、もっと使えるものにするために、
『「強みは二階建て」で考えてみる』こと。
・一階の「強み」は
「人が活躍、成果を上げることに繋がる可能性を持つ特性」(Wood,Linely,2010)と定義する。
つまり、誰かの役に立つ、頑張れるという特性を「強み」と考える。
・一階の「強み」の活用を通じて、・ウェルビーイングの向上
ストレスの軽減・活力が増す・人生の満足度が高まる
自信が高まる・仕事への満足感が向上する・エンゲージメントが高まるなどを、
まずは獲得する。
・その上で、二階の「競争優位としての強み」を必要に応じて獲得するために、
特性や才能を土台にして、習熟的な技能を磨いていく。
こんなステップで考えてみると、
スゴい人の強みと比較して、凹まなくなる、
そんなことを思った次第でございます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
人生のほとんどすべての不幸は、
自分に関する誤った考えをするところから生じる。
スタンダール
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【編集後記】
先日の夜は、263kmマラソンの仲間とお疲れ様会でした。
すると、皆9月に250kmのふくしまジャーニーランに出るとかでないとか。
過去に参加した570kmレースの話とかも出ていて、謎の会でした。
(ちなみに、私は250kmは走りません笑)
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