配信日時 2023/08/20 07:33

今週の一冊『冒険の書 AI時代のアンラーニング』【カレッジサプリ】

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令和5年8月20日(第3466号)


今週の一冊『冒険の書 AI時代のアンラーニング』


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3254字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は、子供とお出かけ。
『ザ・キッズ』というお台場になる
子供を遊ばせられるスペースがあり、初めていきましたが
自由度も高くなかなか良い場所でした。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は

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『冒険の書 AI時代のアンラーニング』

孫 泰蔵 (著), あけたらしろめ (イラスト)
https://amzn.asia/d/g3DGLR3

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です。



■「問いを立てる力」。

これからの時代、必要とされる能力は

”正しい正解を出す”ことではなく、
”問いを考えること”である。

そんなことを、少し前から
耳にするようになりました。



■そして、今日ご紹介の一冊も、
まさに、この話を思い出させられます。

一言でいえば

「今の当たり前を疑う問い」

を、私達が”当たり前”を獲得することになった
学校教育のルーツなどに遡り、

”そもそも、私達が
 当たり前と考えていることは、
 いつから、どのようにして社会の常識になったのか?”

を過去を遡りながら、
見つめ直していくのです。

それが本書のタイトルでも語られる
「冒険」の一部であるかと思われます。



■例えば、

こんな形で本書は
読者に問いを投げかけてきます。


Q、そもそも「教育のルーツ」はどこから始まったのか?

→ -『世界図絵』(1658)。
  - 近代教育学の父と呼ばれたヨハン・アモス・コメニウス。
  - 三十年戦争と呼ばれる宗教戦争の中で、
  「人が世界を正しく認識し、行動することで社会の混乱は終止符を打てる」と考えた。
  -そして、世界の理(自然や文化)を著書で伝えようとした。
  
  -こうした「世界のことを教えよう」としているの学校のルーツである。
  

とか、

Q、「これからの時代を生き残るためには?」という問いを持つのは普通と思われている。
  しかし、それは本当なのか? そして、なぜ人は”生き残る”ことを考え始めたのか?
  
→ - イギリスの哲学者 ホッブズ 市民論(1642)
    - ヨーロッパは内戦の渦。宗教も人間の生存を保障してくれない
    - 人間が欲するのは名誉や利益。だから人は放っておくと利益のために争う
    - 社会は我々の仲間への愛のためではなく、我々自身の愛のために結ばれる
    - 自然状態では社会は『万人の万人に対する戦い』である

    -「もともと人間は自分のことしか考えない動物だ」=生き残るとなっているが
     これからの時代も、実際に本当にそうなのだろうか?
     
あるいは、

Q、「学び」とは自ら進んで行う行為のはずが、
  いつから、教育サービスの消費者になったのか?
  学校の先生1人が前に立ち、複数の生徒というあの形は
  いつからできあがってきたのか?
  
→ パノプティコン(1975)という監獄の監視システムから生まれた。

、、、というように。



■哲学、宗教、文化など、

様々なものが入り混じって
現在の社会が形成されてきており、

全てにはそれが「皆の当たり前」となってきた
ルーツがあるわけです。

しかし、その当たり前は
人が社会的に当たり前であると認めたからこそ
社会構成主義的に力をもつようになったわけです。


しかし、それは

”あくまでも過去のその時の文脈での
 当たり前、正解であった”
 
わけであり、現代がそうかというと
決して同じとも言えません。


戦争で多くの命が
今よりももっと失われていた時代。

貧困層が、今よりももっと
多く存在しており、寿命も短い時代。

工場でものづくりをしており、
多くの生産者に規律を求められていた時代。


、、、それに対して、

現代は、思想も医療も、
仕事の仕方も大きく変わりました。

そして「AI時代」と言われるように

”決まった答えを早く導き出すこと”

には価値が置かれない、
そんな社会に近づきつつあります。



■では、そんな中で
私達が考えるべきことはなにか?

そのためには、

”今の当たり前を疑う”

事が必要ですし、その当たり前を疑うには
その当たり前が出来上がったルーツを
見つめていく旅をすることが、
一つの手段になり得るのだと思います。


そうした意味で、本書は

私達の「問いを立てる力」を磨くとも言えますし、
「リベラルアーツ」に関する本、とも言えそうです。



■物語の展開は、

少年が、
父からの手紙(冒険の案内)を受け取る
ところから始まり、

本を開きながら
様々な時代を旅しながら

過去のその思想の元になった人と
対話を重ねていく、、、

そのような形式になっており、
挿絵もとても親しみがあるもので、

固くなりがちなテーマが
すっと入ってくるような構成になっています。



■以下、本書のご紹介です。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「私たちはなぜ勉強しなきゃいけないの?」
「好きなことだけしてちゃダメですか?」
「自分らしく生きるにはどうすればいいの?」
「世界を少しでも良くする方法は?」

数々の問いを胸に「冒険の書」を手にした「僕」は、時空を超えて偉人たちと出会う旅に出ます。
そこでわかった驚きの事実とは――

起業家・孫泰蔵が最先端AIにふれて抱いた80の問いから生まれる「そうか!なるほど」の連続。
読み終えたあと、いつしか迷いが晴れ、新しい自分と世界がはじまります。

「混迷する世界をつくった本当の課題とはなにか?」
「AIの未来に何をすればいいのか?どう生きるか? 」
「リスキリングってほんとうに必要なのか?」

誰もが迷う「問い」を胸のすく「発見」につなぐ本書は、どう生きるか悩むあなたに勇気と指針をくれるでしょう。

混迷する世界、AIの未来に必要な、新しい気づきが満載!
・無理やり詰めこむ知識も、仕方なくやる仕事も、AIに負ける
・才能や能力は迷信。AI時代にはまったく意味がなくなる
・学びにも仕事にも「遊び」を取り戻すことが大切
・イノベーションは論理的思考では生まれない
・大事なのは、学んだ知識や成功体験を捨てること
・自立とは、頼れる人を増やすこと

「世界は自分で変えられる」という言葉。実は、自分が変わることでもあるこの言葉こそが、教育の目的ではないのか。
 時代を超えて世界中の智慧者との対話を通し、自分ごととして問いを立て考え抜く「ぞっちゃん(孫泰蔵さん)」の思考の旅は、
 教育に悩みを持つだけでなく、生きることに迷いを持つ全ての皆さんに、衝撃と活力を必ず与えると思います。「当たり前」がただの「教育伝説」であることに気づくだけでなく、
その殻を破ったときにどれほど自由な教育やこれからの社会が拓かれるのかと、ドキドキワクワクしてしまう本。
学びと区別されない遊びの豊かさに、未来を生きる元気が湧き出してくる本です。こんな本に出会えて、ひたすら感謝!  
――松田恵示(東京学芸大学理事・副学長)

ぼくたちが向き合うべき「問い」にこそ、真のイノベーションが必要である。
AIにできることを「教育」なんて言っていると、こどもたちは「好きなこと」や「やりたいこと」からますます遠ざかってしまう。
時は、風雲急を告げている。「アンラーニング」と呼ぶ「探究」と「遊び」の更新で、AI時代における人間のあり方を再編集するナビゲーションシステム。
それが『冒険の書』だ。ここにあらわれている、先人たちとの対話の背後に、これまでにない「野生の思考」の萌芽が、ぼくには感じられてならない。
――桂英史(東京藝術大学大学院映像研究科教授)

■目次
はじめに
父からの手紙
第1章 解き放とう 学校ってなんだ?
第2章 秘密を解き明かそう なんで学校に行くんだっけ?
第3章 考えを口に出そう なぜ大人は勉強しろっていうの?
第4章 探究しよう 好きなことだけしてなぜいけないの?
第5章 学びほぐそう じゃあ、これからどうすればいいの?
おわりに 新しい冒険へ
旅の仲間たちへの謝辞
世界に散らばる冒険の書たち
本書の問い

※Amazon本の紹介より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)



■この本を通じて、

大人たちが、
今ある当たり前を皆で語り、

”アンラーニング(学習棄却)”

をし、

子どもたちを古い仕組みに合わせるのではなく、
子どもたちのために新しい仕組みを作っていけるような、
そんな願いを受け取る本だと感じました。

ぜひ多くの方にお勧めしたい一冊です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『冒険の書 AI時代のアンラーニング』

孫 泰蔵 (著), あけたらしろめ (イラスト)
https://amzn.asia/d/g3DGLR3
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【編集後記】
この本は一度読みましたが、一章ずつ、まとめながら
二周目に突入しています。
時間がかかりますが、それくらいいろんな問いを考えさせられる
とても素敵な本でした。こうした考えに触れられることに感謝です。


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