配信日時 2023/08/05 12:00

「大人の成長」は、視点が広がり深まること  ー『成人発達理論』と『ダイナミックスキル理論』のお話ー【カレッジサプリ】

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令和5年8月5日(第3451号)


「大人の成長」は、視点が広がり深まること
ー『成人発達理論』と『ダイナミックスキル理論』のお話ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2834字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は夕方から、

立教大学大学院にて、
修了生も参加が可能である授業

『ケースで学ぶリーダーシップ』

にオブザーブ参加をいたしました。

先日から中原先生の
『人材開発・組織開発コンサルティング』の
読み解きをしておりますが、
本日はそちらをお休みいたしまして

昨日の授業を通じて思ったことを
ご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは



【「大人の成長」は、視点が広がり深まること
ー『成人発達理論』と『ダイナミックスキル理論』のお話ー】



それでは、どうぞ。



■前職の会社で

その聡明さを尊敬している
他部署の上司の方がいました。

その方同行したアポイントの帰りに、

「毎年日記をつけているんだけどね、
 結局書いていることって
 10年前とあんまり変わらないんだよね。
 
 成長してないな、とか思うよ、、、」

みたいな話でした。



■それを聞いて、
一部納得するところもありました。

自分自身、
こうしてメルマガを3000日以上
日々書き続けていますが、

人が10年の歳月で
全く違うものになるかと言えば、
そういうわけでもありません。


やっぱり地続きなので、自分は自分。

まるで違うものになる、
ということは、当たり前ですが
ありえないわけです。

なので、一部納得です。


、、、しかし、今思うと、

「あんまり変わらない」としても
 その視点が少しでも変わったら
 
それは成長と呼ぶのだろうな、、、

とふと思ったのでした。



■そんな事を思ったのは、

先日の大学院の授業から
考えさせられたことが影響したように思います

2021年、今から2年前に、
同じテーマの授業

『ケースで学ぶリーダーシップ』

を学び、問いを投げられました。


、、、が感覚として
少し違ったものを感じました。


例えば、ケースを読みながら

・今までと違う登場人物の視点で
 物事を考えてみるようになった

とか、対話をしながらでも

・同じ問いでも、
 自分の考えをより明確に伝えたり、
 参照できる”ものの見方の枠”が増えた

とか、

・皆の話をもっと楽しみながら
 聞けるようになった

などなど。

(単純に、授業の参加者ではあるものの
 ”オブザーブ参加”だからというのも
  大いにありそうですけど)


同じ事象でも、
たとえ少しであっても、

”物事の捉え方が
 変わっていくこと”

これは、変化だな、と思うわけです。


そしてそれが5%でも10%でも
思考する切り口が増えていれば、

「大人の成長」

と呼ぶのだろうな、、、

そんなことを感じたのでした。。

(じゃないと、2年間何を学んだんだ!と
 自分でもツッコミをいれてしまいそう)
 


■このことを考えるにあたって、
思い出す書籍があります。


それが、大人の能力成長について語られた


『成人発達理論による能力の成長  ーダイナミックスキル理論の実践的活用法ー』
 加藤洋平(著)
 https://amzn.asia/d/07BG3JX
 

なる良著です。


ちなみに、

『成人発達理論』は、

ハーバード大学教育大学院のロバート・キーガン教授
(『なぜ人と組織は変われないのか』の著者)によって
提唱されているものです。

キーガンの成人発達理論では、
「人間性の成長」を中心に取り扱い、

視点が、

・Stage1:試行段階(子供)

・Stage2:自分中心

・Stage3:他者依存(忠実な部下、指示待ち、依存)

・Stage4:自己主導(自律的な課題設定、自分なりの羅針盤を持つ)

・Stage5;自己変容(複数の視点、矛盾の受け入れ、課題発見志向、相互依存)

※ちなみに、Stage1~3で成人の70%とされます。

と能力の成長にしたがって
高まっていく、としていきます


ポイントは、

「視点が自分→他者→社会全体」

というように

”「複数の視点」を獲得していくことを
 成人の発達の一つとしている”
  
ことです。



■しかし、人間性が高くとも、
必ずしもスキルが高いとは限らない、

ということで
著書のタイトルの後半になる

同じくハーバード大学教育大学院の
カート・フィッシャー博士が語った

『ダイナミックスキル理論』

の話を著書では取り上げています。

ここでは、

”能力のレベルとは、
「思考のレベル(深さ)」である。

 それが高まることによって、
 見えていなかったものが見えるようになる。”

これが能力の高度化であり、
複雑の現象を掴む力が高まることだ、

と述べています。



■ちょっと分かりづらいので、
もう少し詳しく言うと、

能力の段階は「13段階」ある、

としています。

そして、その段階は

「1つの現象をどれだけ深く捉えられるか」

によって分類されます。


例えば、
「単一表層レベル(レベル6)」は

・”お母さんは”→ ”人です”

と事物の具体的な特徴を
一つ指摘することに留まります。

いわゆる言葉を獲得した子供の段階です。
(ちなみに、レベル0~5は
 言葉を獲得する以前の子供の段階です)

つまり「線」で理解するレベル。



それが、
「表層システムレベル(レベル8)となると

・”お母さんは” → ”人である”
・”人は”→ 友人と話す、ご飯を食べる
・”友人と話す、ご飯を食べる”→ 生きるために必要なこと

と、お母さんと人、

そして人が行う行為とその意味付けが
表層的なレベルにおいて「システム」として
繋がっている事を理解します。

つまり「面」で理解するレベルです。



それが更に発達し
「単一原理レベル」(レベル12)になると

・”人は”→”動的な要素非還元的存在”である

・固有の構築システムや、社会の文化的システム、
 社会の制度的システムが相互作用によって
 1人の存在を形作っているといえる

・つまり、人はそれぞれ各人固有の認識世界を持っており
 現象に対する意味付けの仕方が異なるが、
 それは置かれている文化や制度に強く影響を受けるということである。

となります。

「原理」とは
抽象的な概念がいくつも重なり合い
束になったものと言えます。

これは「面」が重なり合って
「立方体」として物事を捉えているレベルです。



■、、、となんだか

少し深い話へと繋がりましたが、

『成人発達理論』と
『ダイナミックスキル理論』どちらも


「視点が高まっていく」
(他者依存→自己変容へ)

「思考が深まっていく」
(単一表層レベル→単一原理レベルへ)


というように、

ものの見方が広がり、深まることを
「成長」とか「能力の高度化」と呼びました。


そして、

今回受けた授業では
そんな事を思い出させられたのでした。



■そして、少なくとも
自分なりに視点が広がったように思うのは


・自分と違う思考や
 経験を持つ他者との対話の機会
 
・思考を広げるため先行研究、理論との出会い


などにこの2年間で
少なからず出会ったからなのだろう、

と思います。



■ということで、
大人だけにも限りませんが、

「(特に)「大人の成長」とは、物事の見方が広がり、深まることである」

そんな事を感じた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

ミクロとマクロの視点が一人の人間の中に同時に存在してこそ、
より正確でより豊かな世界観を抱くことが可能になるはずだ。

村上春樹
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【編集後記】
「理論」も、現象を説明し、
予測するための原則としてのもの、
つまり検証可能で、再現可能なものを理論とするものもあれば、

「成人発達理論」のような
科学的検証が可能とは言えないけれども
人間の行動や経験を理解する枠組みを提供してくれるものなど
より広義の意味のものがあるようです。

何を持って「良い理論」なのか、
あまり考えたことがない視点も得られた時間でした。


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