配信日時 2023/07/31 12:00

合意なきプロジェクトは、やがてコケて、焼かれる ~『人材開発・組織開発コンサルティング』第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ(ステップ2 合意を作る)を読んで~【カレッジサプリ】

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令和5年7月31日(第3446号)


合意なきプロジェクトは、やがてコケて、焼かれる

~『人材開発・組織開発コンサルティング』
  第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ(ステップ2 合意を作る)を読んで~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3389字/読了時間5分)

■こんにちは。紀藤です。

さて、本日のお話です。

今日も引き続き、
人材開発・組織開発の「日本初の教科書」である、


『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』
(中原淳/著)
https://amzn.asia/d/0Mkjxwt


を題材に、まとめと感想を
記述していきたいと思います。

本日は

”第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ
 (ステップ2 合意をつくる)”
 
です。

それでは、早速まいりましょう。

タイトルは、



【合意なきプロジェクトは、やがてコケて、焼かれる。。。

 ~『人材開発・組織開発コンサルティング』
  第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ(ステップ2 合意を作る)を読んで~】



それでは、どうぞ。



■人材開発・組織開発において、


”焼かれる(Grilled)”


という比喩が用いられることがあります。

それは、
人材開発・組織開発のプロジェクトにおいて
センシティブな話題に触れてしまったり、

クライアントの強い抵抗に合う場面に出くわす時など
まさに”焼かれる”という表現で表すことがあります。


それが、組織の今後のための
意図した、計画された対立や議論などによる

「焼かれる」

もありますし、それはそれで
必要なプロセスとも思います。

しかし、意図せぬ「焼かれる」体験は
できれば避けたいもの。。。



■と、いいつつ、

振り返ってみると

私(紀藤)も火傷をした経験が
いくつかあるな、、、と思い出します。

例えば、

・クライアントの言葉を尊重しないような形で、
 「プロジェクトの目標」を文書にしたことで、
 クライアントとの信頼を損ねてしまった
 
とか、

・現場の参加者(取り組みによって自分に影響があるクライアント)への
 フィードバックについて、丁寧に説明と合意をせず行ったことから
 現場からの強い反発にあってしまった

とか、

・そもそもその組織の事業責任者と
 「ともに組織の課題に向き合っていきましょう」という
 ”同じ船に乗る”という心理的契約ができていなかったため
 お客様と、提供者という関係になってしまった

などなど。


いずれも進めていくうちに

暗雲立ち込める雰囲気になったり、

あきらかに抵抗感を示される空気感が
その場に充満してヒリついたり、

”焼かれる”というのは
なんとも辛い(そして申し訳ない)と

自身を振り返って思うのでした。



■私の上記の例のように

”意図せず焼かれる”

というのは、
正直、よろしくないと思われます(汗)

なぜならば、それは

「お作法を抑えておけば
 防げていたこと」
 
であるからでしょう。


コンサルタントが
クライアントとの信頼を失するような焼かれ方は、
”プロセスの失敗”と読んでも、過言ではない、、、

自戒を込めて、そう思うのです。



■さて、ではどうすれば、

私のように
”意図せず焼かれる”ことを
避けることができるのか?

そして焼かれるのを避けるではなく、
本来の目的であるはずの

”人材開発・組織開発のプロジェクトで
 現場と経営にインパクトを残すこと”

ができるのか?


そのために必要なことが
本章でご紹介する


【ステップ2 合意をつくる】


です。



人材開発・組織開発のプロジェクトは、
コンサルタントとクライアントで合意をとり、
そしてプロジェクトを進めます。

しかし、一言で「クライアント」といっても、
そこには様々な人が登場するのです。

また「合意をつくる」といっても、
合意を作るための然るべきステップ、
対話の進め方もあります。


それらを抑えつつ、
コンサルタントだけが頑張るのではなく、

クライアントと対話をしながら

「ともに船に乗る」

こと。

そうしてこそ、
本質的な課題解決に近づくことができるのです。



■では、どのようにクライアントと

【ステップ2 合意をつくる】

ことができるのか。

本章おり以下、
ポイントをご紹介させていただきます。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ(ステップ2 合意をつくる) ポイントまとめ】

 <1,クライアントとは誰か>
 
1)クライアントは「一人ではない」

・人材開発・組織開発コンサルティングを行う際、
 クライアントは「一人ではない(=多種多様な人に出会う)」ことが一般的である

2)6つのクライアント

・エドガーシャインによると、クライアントは6タイプある。
 コンタクトクライアント、中間クライアント、プライマリークライアント
 自覚のないクライアント、究極のクライアント、ノンクライアント である
 
3)同じテーブルに着かせる

・組織の中には上記のように様々なクライアントがいる。
 プロジェクトにおいては、彼・彼女たちを、なるべく早期に巻き込み、
 関係する人物すべてを「同じテーブル」に着かせて、プロジェクトをキックオフしたり、合意をとることが重要。

・すべての人が満足する「唯一の正解」は、組織の中には存在しない。
 概ねの人が「まあ合意できる」というレベルの「納得解」がそこにあるだけである。

4)「他者の網膜に映る像」を想像する

・優秀なコンサルタントは、
「他者の網膜に、自分がどのように映っているのか」を想像する力量に長けている。
(=セルフ・アウェアネス)



 <2,クライアントからのヒアリング>

1)組織の「過去ー現在ー未来」を聞き出す

・ヒアリングを行う対象として、コンタクトクライアントとプライマリクライアントは必須
・ヒアリングに重要なポイントは、以下の3点。
 [1]経緯の確認
 [2]現在の経営状況の詳細の確認
 [3]人材課題・組織課題の確認
 
 
2)問いのレパートリー

・クライアントから様々な話を引き出すには、
 多種多様な「問いのレパートリー」を、自分の引き出しに持っておくことが重要である。

・特に、「主観を問う(あなたの目からみて・・)」「どんな景色を見たいか」を問うのは有効。

 
3)いったん判断を保留する

・経験が豊富なコンサルタントほど、経験から判断の自動化のスピードが早まってしまいがち。
 しかし、ここで性急に事を進めてしまうと、裏付けや裏取りがない課題解決に堕してしまう
 
・クライアントと「合意をとる」段階では、一旦判断を保留しておき、
 すぐに答えを出そうとしないことが重要である。(=エポケーの姿勢を崩さずにいる)



<3,クライアントとの合意形成>

1)ともに課題解決を行っていくことを合意する

・合意形成とは、「どのような人材開発・組織開発を実行するか」に関する合意ではない。
 前段階として、クライアントと「同じ船」にのり、真の課題解決を行っていくための合意である。

・合意事項は、以下7点がポイントである。
 1,目的
 2,スケジュール
 3,タスク内容と進め方の提案
 4,プロジェクトメンバー(クライアント側、コンサルタント側)
 5,メンバー間の役割分担
 6,費用負担
 7,法的側面の配慮
 
2)法律関係の書類

・人材開発・組織開発の法律手続きにおいて重要なことは、
 [1]著作権の扱いの確認
 [2]秘密情報の保持にまつわる覚書
 [3]個人情報保護の合意 の3点である
 


※参考・引用:
 『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』(中原淳/著)
 P204~P245
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


■なるほど。。。

読みながら、

「ああ、だから自分は
 あのプロジェクトで上手く進められなかったんだ。。」
 
と反省をいたしました。

たとえば、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<クライアントとの合意形成>
1)ともに課題解決を行っていくことを合意する

(前段階として、クライアントと「同じ船」にのり、
 真の課題解決を行っていくための合意)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

が、プロジェクトの開始時にできていなかった、とか


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「6つのタイプのクライアント」
コンタクトクライアント、中間クライアント、プライマリークライアント
自覚のないクライアント、究極のクライアント、ノンクライアント
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

を見極めて、

重要な人物を巻き込むことが
できていなかった、、、

などもあったように思ったのでした。



■物事は、始まりが肝心です。

つい、先に先にと
先走って進めそうになるのが
こうしたプロジェクトです。


ただ、始まりに、

適切に信頼を構築し、
お互いの役割を合意し、
「ともに作り上げる」合意がなければ、

長期・継続的なプロジェクトとして
現場にインパクトを残すことは難しいのでしょう。


何を抑えるべきなのかを理解し、
そして成功に繋げるために、
大切な事を感じさせられるパートでした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

信頼は鏡のガラスのようなものである。
ヒビが入ったら元通りにはならない。

アンリ・フレデリック
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【編集後記】
引き続き、宮崎に来ております。
週末は子供と飛行場で、飛んでいく飛行機を見にいきましたが、
飛んでいく飛行機よりも「車の黄色いランプ」に興味がある様子でした。

光るもの、回るもの(タイヤ、ランプ)がおもしろいようで
そうした感覚が新鮮(そう言えば自分も昔そうだった)と思い返しておりました。

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