配信日時 2023/07/06 10:53

「ストレングス・スポッティング」ってなんだ? ー強みを見極める能力を測る方法ー【カレッジサプリ】

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令和5年7月6日(第3421号)


「ストレングス・スポッティング」ってなんだ? ー強みを見極める能力を測る方法ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3254字/読了時間4分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は1件のコーチング。
その他、2件のアポイント。
また現在進めている長期プロジェクトの企画など。



さて、本日のお話です。

本日も引き続き
「強み」のお話をお届けできればと思います。

(一体いつまで続くのか、、、
 はい、私もわかりません笑。)

 
今日のお話は

「強みを見極める能力」

がテーマでございます。
これまた、なかなか面白い内容でございました。

それでは早速参りましょう!

タイトルは



【「ストレングス・スポッティング」ってなんだ? ー強みを見極める能力を測る方法ー】



それでは、どうぞ。



■「久しぶりに会った同僚の
 ”強み”を見つけろ、と言われても難しい」
  

少し前にとある企業様で行わせていただいた
ストレングス・ファインダーの研修の
参加者からのご感想。

(ちょっとドキっとしました(汗))


一方、別の参加者からは

「強みをお互いに承認することで
 自分に自信が得られた。
 職場でもやりたいです!」
 
というコメントもありました。

(ほっとするのは、
 こちらのコメントのほうが
 圧倒的多数であったことでしょうか)


さて、

どちらのコメントも
その方にとっての感じたこと。
ゆえに、その方にとっての真実です。


ゆえに、
前者が悪くて、後者が良い!

とかそういうことは
特に思いません。

(ちょっとドキッとしましたけど。←しつこい)



■この時に私が興味深く思ったのが

”どちらも同じ時間、
 同じ研修を受けた上での感想である”
 
ということです。


当たり前の話ではありますが

「強みに着目しよう」

と同じテーマをお渡ししても
そのお題に対して

「肯定的」にとらえる傾向がある人と
「否定的」にとらえる傾向がある人

が、わかれるものです。

それには、性格や価値観、
組織文化、あるいは年齢によって
影響があると思われます。



■なんとなく
「強みに対してのスタンス」も違いがある、、、

でも具体的にそれがなにかは
よくわからないぞ、、、?


そこで今日のお話に繋がるのですが、
ある論文において、


1)「強みを見極める能力」を測る尺度の開発
  (ストレングス・スポッティング尺度)

2)「他の特性(性格や知識)」との相関を調査


したという研究がございました。

論文のタイトルは

『コーチングにおける強み発見(ストレングス・スポッティング):
 概念化とストレングス・スポッティング尺度の開発』

原題:
Linley, P. Alex, Nicky Garcea, Jonathan Hill, Gurpal Minhas, Emma Trenier, and Janet Willars.(2010).
”Strengthspotting in Coaching: Conceptualisation and Development of the Strengthspotting Scale.”
International Coaching Psychology Review 5 (2): 165–76.

というものです。


これが、なかなか面白く、
なるほどなあ、、と納得させられました。



■まず、

「ストレングス・スポッティング」ってなんぞや?
というお話ですが、

その定義は、

「自分自身や他者の強みを見極めること」
(Linley et al. 2010b)

とされています。

そして、心理療法やコーチングにおいて
重要なスキルである、とされています。

コーチングも上司に
必要なスキルとも言われるようになっているので、
ある意味、「強みを見極めるのも」上司の部下育成の能力の一つ、
と捉えることもできそうです。

ドラッカーも「強みを着目せよ」と言っていますし。



■では

「強みを見極める能力」とは、
 具体的にどのようなものを指すのか?
 
 
このことについて、

強みの専門家6名が、


1)「強みを見極める能力」を測る尺度の開発
  (ストレングス・スポッティング尺度)
  

をし、検証をして、
実際に使えるようにしました。


具体的にどんな項目なのでしょうか。

早速見てみたいと思います。


(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【「強みを見極める能力(ストレングス・スポッティング)」の尺度】


<能力(Ability):人の強みを見つけるのが得意か>

・私は、人の長所を簡単に見極めることができる。
・私は、人の長所を見つけるのが得意だ。
・私にとって、人の長所を見つけるのは簡単だ。
・私は、人の長所を見つける能力がある。


<感情(Emotion):ストレングス・スポッティングに対する感情的な反応>

・人の長所を見つけると、本当にうれしい。
・人の長所に気がつくと、とても気分がいい。
・人の強みを見つける手助けをすることで、深い充実感を得ることができる。
・人の強みを見つけると幸せな気分になる


<頻度(Frequency):ストレングス・スポッティングを実践する頻度>

・私は、いつも人の強みに気づいている。
・私は、どこにいても、何をしていても、人の長所に気づく。
・私は、いつも人の長所について話していることに気づく。
・私は、さまざまな場面で、人の強みを見つけ出している自分に気づく。


<動機(Motivation):他者の強みを特定する意欲が、どの程度あるか>

・他人の長所に目を向けるべきだと思う
・私にとって、人の長所や得意なことに注目することはとても重要だ。
・私には、他人の長所を見つけ、伸ばす責任があると思う。
・私にとって、人々が自分の強みを理解するのを助けることは、非常に重要なことだ


<適用(Application):実際に誰かの強みを特定したときに、何をするか>

・私は、この1カ月間、友人や同僚に、新しい仕事で自分の強みを試してみることを提案した。
・私は、強みの活用や開発について、頻繁に人に提案している
・私は。いつもどの仕事に誰が最適か、その理由は何かを知っているようだ。
・私は、私の強みの洞察は、その人が最高の仕事をするのに役立つので、みんなに感謝される


※Linley, P. Alex, Nicky Garcea, Jonathan Hill, Gurpal Minhas, Emma Trenier, and Janet Willars.(2010).
 ”Strengthspotting in Coaching: Conceptualisation and Development of the Strengthspotting Scale.”
 より引用し、著者にて翻訳
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

とのこと。



■なるほど。

「強みを見極める能力」を
 
・能力
・感情
・頻度
・動機
・適用

などの枠組みで測定すると
人により違いが明らかになりそうです。

はい、イメージがわきます。


例えば、

「強みに基づいた組織風土を作ろう」としたら
こうした尺度を用いて、
全体スコアが上昇していくような目標を立て、
トレーニングする、

というように使うことができそうです。



■一方、論文の2つ目のテーマにも
関連するのですが、気になることがあります。

それは、

「じゃあ、この
 ストレングス・スポッティングのスコア、
 どうすれば上がるのさ?」
 
という話。

残念ながら、この鍛え方については
この論文では具体的に記述がないのですが、

そのヒントとなる調査は
実施されていました。

それが


2)「他の特性(性格や知識)」との相関を調査


です。

結論を申し上げると、

”「強みを見極める能力」と
 正の有意な相関がある要素(性格特性や知識)”

として、以下の5つが挙げられました。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<「強みを見極める能力」と正の相関がある要素>

・「外向性」
・「協調性」
・「楽観性」
・「ポジティブ感情」
・「強みの知識」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


また、若干ではありますが、

・年齢(年齢が高いほど強みを見極める能力が高い)

という傾向もありました。



■なるほど、これまた興味深い結果です。

わかったことは、

「強みを見極める能力」は
ビックファイブなどに含まれる
”性格特性”が影響している、こと。

ゆえに、これを大きく変えるのは、
正直、なかなか難しそうです。


、、、ただ、希望が持てるのが
ストレングス・スポッティングに相関するものに、


『「強みの知識」が含まれている』


ことです。


「強みの知識」とは

「自分の強みをどれくらい知っているか」などで
構成される8項目の尺度(Govindji and Linley, 2007)で
測定することができます。

そして「強みの知識」は

ストレングス・スポッティングの
「能力、感情、動機、頻度」の4尺度に
と正の相関がある、、、

という結果になっています。



■「強み」について、

まず、自分自身の理解も深めること。
(強みの知識を増やす)

すると、

自分にも、他者に対しても、
強みを見極める能力が高まる。
(ストレングス・スポッティングの向上)

こうしたことも、
期待ができるのかもしれません。



ゆえに、「強みにも基づいた文化づくり」を
目指すのであれば


”まず立場が上の人から
 自分自身の強みを理解していく”


ことが大切なのだろうな、
そんな事を考えさせられた研究でございました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである。
弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。
強みに集中し、卓越した成果をあげよ。

P.F.ドラッカー
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【編集後記】
長期的な仕組みづくりの仕事が増えています。
未来に向けて繋がるように、色々なアクションを実行したいと思います。


*津軽みちのくジャーニーラン(263km)まで:あと9日
*7月の走行距離:30km
*開脚ストレッチと体幹トレ:連続17日目

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どんなことでも、お気軽にご連絡くださいませ。
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