配信日時 2023/06/30 12:46

「組織における強みの活用」の全体マップはコレだ! ー最新論文からの知見(その2)ー【カレッジサプリ】

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令和5年6月30日(第3415号)


「組織における強みの活用」の全体マップはコレだ!
 ー最新論文からの知見(その2)ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2999字/読了時間4分)


■こんにちは。紀藤です。
昨日は妻の誕生日とのことで、
カウンターの寿司を食べにいきました。

実は殆ど言ったことがなかったのですが、
なんと美味しいことか・・・。
(シャリがほどける)

庶民なので、あまりこういう経験がなかったのですが
癖になりそうでした。

お仕事頑張って、また行きたいと思います。

また夜は10kmのランニングなど。



さて、本日のお話です。

本日も昨日に引き続き
「強みの活用」をテーマに
論文のご紹介ができればと思います。

(今日もしつこいようで恐縮ですが
 ガンガン掘り下げさせていただきます!)
 
 
昨日までのお話は、

『組織における強みの活用の全体マップ』

について、
2022年の比較的新しい論文があり、

そこに組織における強み研究の知見が
たくさん紹介されておりました、

という内容でした。


※昨日のお話はコチラ↓↓
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4533786/
 

論文タイトル『組織における強みの活用の考察:マルチレベルの構成要素として』

※原題:Woerkom, Marianne van, Maria Christina Meyers, and Arnold B. Bakker. (2022).
”Considering Strengths Use in Organizations as a Multilevel Construct.”
Human Resource Management Review 32 (3): 100767.


 
今日は、その論文の
第二章に書かれている、

「強みとは何か」

について語られている部分について
まとめてみたいと思います。

それでは、早速まいりましょう!

タイトルは



【「組織における強みの活用」の全体マップはコレだ!
 ー最新論文からの知見(その2)ー】



それでは、どうぞ。



■「強み」なるキーワードを
特に重視している主戦場は

「ポジティブ心理学」

という研究分野です。

ポジティブ心理学では、
人間のポジティブな機能
(まさに強みとか、集中するフロー状態など)に
注目をしています。

しかし、これは

”個人レベルの話に留まる研究が多い”

という傾向があります。



■私たちが働くシャバ(職場)では

当たり前ですが
一人で働くわけではなく、

経営や組織行動などの世界では

”チームや組織などの集団レベルの話”

を題材に研究されることも
少なくありません。

(リーダーシップ、
 チームビルディング、
 職務特性などもそう)


しかし、そうした
人的資源管理(HRM)の分野では、


”「職場の機能不全を解消する」
 「従業員の弱点を修正する」ことで
 「パフォーマンスを高める」ことができる”個人


という弱点修正型の暗黙の前提があるとも
言われています。
(Luthans,2002)



■個人から組織へ。

弱点修正から、強み注目へ。


そんなこれまでの前提に
一つ挑戦しようじゃないか、

ということで


「強みを、組織における
 集団的な強みとして活用するために
 必要な要素を考えてみた」
 

というのが本論文であり、
新しいことでした、、、

というのがこれまでのお話です。



■、、、と、昨日までのお話の

はじめに、と第一章を
整理した上で、
今回とりあげる「第2章」のテーマは、


「強みの活用とはそもそも何か?」


であります。


以下、簡単に第2章ポイントを
整理してみます。


まず、「強み」とはなにか?

ですが、このように述べられています。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・強みについて、
 ピーターソンとセリグマン(2004)は
 「24の性格的強みの分類」を開発した。
 (『VIA』と呼ばれるアセスメントツール ※ちなみにオンラインから無料で受けられます)
 
・この概念の中では、性格的強みは全て高い必要はない。
 一般的に、成人は3-7つの「特徴的な強み」を持っているとする。

・VIAでの文脈の「特徴的な強み」とは
 「その人が持っていて、頻繁に使われ、称賛される特性」、あるいは
 「その人が良いパフォーマンスを発揮したり、ベストを尽くす事を可能にする特性」としている。

・この強みは少なくとも部分的には、
 「生まれつき」得意とする遺伝的側面が関わっているという共通認識がある。
 
※第2章より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。



■「強み」とは

・その人がよく使う特性で
 良いパフォーマンスを発揮することを可能にする特性
 
としています。

その人がそれを使っている時

「めっちゃパワーがみなぎる」とか
「自分らしいと思える」

そんな特性が強みなのですね。



■そして、

ここが今日お伝えしたいポイントなのですが、
研究者はこのように補足をしています。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・このような強みの概念に従って、我々研究者は

 個人の強みとは、
 ”他者と比較した卓越性のエピソード”ではなく、
 ”個人的な卓越性のエピソード”において発現する性格特性である、とした。
 (Roberts,Duttonら,2005)

・例えば、サラが『創造性』という強みを持っているとする。
 すると、サラは『創造性』を発揮するとき自分のパフォーマンスが高まる、と感じる。
 そして、サラが『創造性』を他者から認められるときに自分らしい、と感じる。
 
・ポイントは、”他の人がサラより創造性が高い・低いは関係ない”ということだ

※第二章
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。


今回の「強みの研究」では

「強みとは、
 他の人と比べて卓越しているかどうかではなく、
 その人の中の「卓越したエピソード」の中から見出すもの」

としているのです。

ここが面白いところです。



■おそらく、

一般的に捉えられる「強み」は
こういう認識ではないと思います。

例を挙げているなら、

・あの人は英語が「強み」である
 
・あの人は分析力が「強み」である 

・あの人はコミュニケーション力が「強み」である

と他者の強みを語るとき、
その頭に何をイメージしているかというと

「相対的な”偏差値”のようなもの」

を念頭に話すことが多いはず。



「英語」だったら、
流暢に英語が話せる、とか

「分析力」だったら、
様々なフレームワークを駆使しながら
論点を網羅的かつ批判的に、瞬発力を持って考察できる、とか

「コミュニケーション力」だったら
淀みなく、引き込むプレゼンテーションができるとか
新しい人に物怖じせず会話を投げかけることができる

というように。



■ただ、繰り返しとなりますが

「強みの研究」では

”他者と比較した強み”ではなく、

『個人が頻繁に使っており、
 ベストな自分を発揮できると感じるもの=強み』

としており、。

こうしたものを意図して使うことで
様々な効果が得られることがわかった、

としたところに発見があるわけです。


例えばこれまでに
上記の文脈での「強みの活用」により
以下のような効果があることが、
研究結果として明らかになりました。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<強みの活用がもたらす効果>

1,仕事のエンゲージメントの向上(パフォーマンスにつながる)
2,幸福度の向上
3,ストレスの軽減
4,自尊心の向上
5、自己評価によるパフォーマンスの向上
6,上司評価によるパフォーマンスの向上
7,病気欠勤の減少
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)




■なるほど、

個人の中での卓越性だとしても、
基本的には色んなメリットがあるようです。


ただ難しいのが、

「個人レベル」でみると
このように「自分で考える自分の強み」を

乱暴に言えば、勝手に発揮していれば
幸福度も高まってOKなのですが、

「組織レベル」でみると、
事はもっと複雑になります。

ここが、実に難しい。。。



■なぜならば、
チームなどのような組織には

”「共通の目標」と「相互作用」がある”

からです。

その目標の達成のためには

また「個人の中の強み」ではなく、
「他者と比較した強み」も考慮して、

仕事のアサインや評価なども
発生する事が起こってきます。


また、自分が強み、と思っていることが
その文脈で活かせないことも起こり得ます。


ゆえに、

「個人の卓越性のエピソード=強み」
 ↓
「それを活かして仕事をしよう」


とシンプルに捉えづらくなる、、、
現象が起こってくるわけです。


これについて、
どのように考えればよいのか、は
次回に続けたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

誰もが自分の選んだ運命や偶然与えられた運命に満足せず、
他の道を歩んだ人々をうらやむのはどういうわけだろう。

ホラティウス
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【イベントのご案内】

▼イベント名:
ストレングス・ファインダー・ワークショップのご案内(オンライン1日版)
~自らの「強み」を知り、好きで得意なことを、仕事と人生に活かす方法を学ぶ~
 
▼日時:2023年7月22日(土)10:00~17:00

▼場所:オンラインZOOMにて開催

▼参加費:14,800円(税込) ※通常価格:30,000円
※参加にはストレングス・ファインダー受検が必要です(別途費用 8,450円)

▼詳細・お申込み:https://forms.gle/3SM3AFFkAyAbD3WE6

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【編集後記】
*津軽みちのくジャーニーラン(263km)まで:あと17日
*6月の走行距離:190km
*開脚ストレッチと体幹トレ:連続11日目

ちなみに、「強み」の定義もまだ曖昧で
共通認識とされているわけではありません。
米Gallupのストレングス・ファインダーでは
頻繁に使う特性を「資質」と呼んで、
強みとは分類して考えている、というアプローチもあります。

だんだん、マニアックになってきました。。。

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