配信日時 2023/06/18 22:15

今週の一冊『子どもが育つ条件: 家族心理学から考える』【カレッジサプリ】

---------------------------------------------------------------------------
皆さまの1日を5%元気にするビジネス系メルマガ『カレッジサプリ』
---------------------------------------------------------------------------
令和5年6月18日(第3403号)


今週の一冊『子どもが育つ条件: 家族心理学から考える』


株式会社カレッジ 紀藤康行
---------------------------------------------------------------------------

【メルマガ「カレッジサプリ」
  ぜひお友達にも教えてあげてください(ご登録はこちら↓↓)】
 https://www.courage-sapuri.jp/

------------------------------------------------------------------------------------


◎本メールマガジン(カレッジサプリ)は、

 外資系教育会社を経て、
 人材開発・組織開発の会社を経営する著者が、

 世界の名著や理論、体験談を元にした
 「人生にちょっと役立つ考え方」を通じて、

 ------------------------------------------------
 皆さまの1日を5%元気にする
 ------------------------------------------------

 ことを目的とし、3300日以上にわたって毎日お届けしている、
 500社3000名以上が購読するビジネスメルマガです。

 熟読するも読み流すも、ご自由な形でご活用下さい。

 ★紀藤康行プロフィール   https://www.courage-sapuri.jp/profile/

 --------------------------------------------------------------------------

(本日のお話 2033字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

さて、毎週日曜日は、

お勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は

=========================

『子どもが育つ条件: 家族心理学から考える』

柏木 惠子 (著)/岩波新書
https://amzn.asia/d/5TZoxIs

=========================

です。



■今から15年前の
2008年に出版されたこの書籍。

15年前といえど
そこに書かれている内容は、

不登校、引きこもり、
家庭内の暴力、

育児のジェンダーギャップや
子育て信仰(3歳までは母親が育てるべき)

、、、などなど

今なお継続している、
あるいは明確には言われずとも、
どこか影響を与えている問題について、

発達心理学と家族心理学の研究結果を元に、
「子育て」に関する事実を
伝えているという内容です。



■書籍で書かれていることは、
多岐にわたりますが、まず、

「育児不安」

により出生率が低下し続けている、
という事実から始まります。

・父親不在の育児の現状、

・育児による自己資源を巡る葛藤

・母親という役割のみのアイデンティティについての不満

などが列挙されています。


これは15年たった今も、
多少は改善された感はありますが、

まだまだ道半ばであると
感じざるを得ないことばかりです。

そして、なぜそのようなことが
起こってしまうのか?

という構造的な問題についても
歴史や文化を含めて解き明かしていきます。



■そんな中で、

特に現実問題として
子育てに大きな影響を与えるとする


・世話をする父親群/世話をしない父親群で
 自分自身の役割認識の変化
 
・子供の問題行動の背景にある、
 両親の関係性の問題
 

など、

言われなければ気づけない
間接的だけれども
極めて重要な家庭内の要因を

先行研究とデータを元に説明がされており、
「そこは意識していなかった、、、」と
気付かされる内容となっています。



■なんとなく感じている、
しかし意識は明確にしていないこと。

たとえば、


・文化的な背景による根強い考え
「母性神話」(母親が育て上げるべき)など

・多産多死から少子少死になってきて
 「少子良育戦略」となった社会背景、

・家電製品を始めとした技術の発達で
 より一人に対して手厚く見る事が可能になり、
 それが嵩じて「過剰な育児」にもなってしまう可能性


なども丁寧に言語化されています。



■個人的に刺さったのは、


「夫婦に入り込んでいる
 ジェンダー観の影響」
 

でした。

例えば、

・家庭内のコミュニケーションにおける
 「共感・相談事」は、妻→夫が多い、

・家庭内のコミュニケーションにおける
 「威圧・回避・無視」などは、夫→妻が多い
 
などは、

社会的なジェンダー観の影響を
家庭内の夫婦が内在化している結果である、

と指摘をしています。


しかし、そうすると
妻サイドから見ると、

”「家庭内の共感」などのケアは私が行っている。
 一方、夫からはそのような行為がない。
 それは、妻にとって悲しく、失望である”
 
という話がありましたが、

まさに私も実際、
家庭内でそういう話を妻からクレーム(!)を
受けたことがあった、

という事実を思い出して、
反省をしたのでした。



■しかし、言い訳をすると
これは、


『社会が家庭に侵入する』

(フランスの社会学者
 ジャック・ドンズローの言葉)


と言われる現象とも考えられるそうです。


例えば、上述の

”家電製品が便利になって
 以前よりも子供に目をかける時間が増えた”
 
というのも社会が否応なしに
家庭に侵入してきた例です。


あるいは、文化的に、

”俺が食わせている”
 妻子のために働く男性ジェンダー観

も、

今では前時代的だとしても、
そうやって育ってきた人は

無意識に社会文化が
内在化されてしまっている可能性があります。

これも、社会が家庭に侵入して来た例、
ともいえるのです。

(ちなみに
「誰のおかげで飯を食えると思ってるんだ!」は
 今ではDVに一種になる表現だそうです)



■こうしてみると、


”家庭内をケアする(共感する等)は
 妻がするもの”


と意識していないけど、
何処かで思っていることに対して、

”入り込んでいた考え”あるいは
”入り込まれていた考え”を

自分が自覚する一つの契機になると思えます。



■本書の中では、

『予防心理学』

という考えがが紹介されています。

これは、

・育児不安や、
・親の役割認識の誤解、
・夫婦のコミュニケーション不全が、
 どのように子育てに影響を与えるのか、
 などの研究成果を知ることで、

・そうした知見を活かして、
 より望ましい行動を取りやすくなる、

とするものです。


無意識に入り込んでいる
内在化された考え。

「子育てとはこういうもの」

について、

様々な研究と知見を知ることで、
より望ましい結果に近づけることができます。



■本書を読みながら、

私も一人の親として、


「なんとなくこうしたほうが良い/悪い
 と思っていた言動の答え合わせができた」
(ような気がする)


と感じたのでした。



■曰く、

「育児は育自」

などというそうですが、

先人の知見を大事にしつつ、
自分も育てていきたいものだ、

私もこうした事を実践できるよう
自戒を込めて関わっていきたいものだな、

そんなことを思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

=========================
<今週の一冊>
『子どもが育つ条件: 家族心理学から考える』

柏木 惠子 (著)/岩波新書
https://amzn.asia/d/5TZoxIs
=========================

【イベントのご案内】

▼イベント名:
ストレングス・ファインダー・ワークショップのご案内(オンライン1日版)
~自らの「強み」を知り、好きで得意なことを、仕事と人生に活かす方法を学ぶ~
 
▼日時:2023年7月22日(土)10:00~17:00

▼場所:オンラインZOOMにて開催

▼参加費:14,800円(税込) ※通常価格:30,000円
※参加にはストレングス・ファインダー受検が必要です(別途費用 8,450円)

▼詳細・お申込み:https://forms.gle/3SM3AFFkAyAbD3WE6

===============================================

【編集後記】
津軽みちのくジャーニーラン(263km)まで、あと29日
(6月の走行距離130km)

メルマガを書こうとするときに、
結構疲れた日だと、なかなか筆が進まなかったりします。

やはり睡眠を含めてエネルギーが充実することが
知的アウトプット(なんていうと大げさですが)には必要だな、
と思った日曜夜でした。


【メルマガのご感想について】
メルマガのご感想は、このメールに直接ご返信いただければ紀藤にのみ届きます。
どんなことでも、お気軽にご連絡くださいませ。
皆さまのメッセージが励みになります!

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
 メルマガ「カレッジサプリ」公式サイト https://www.courage-sapuri.jp/
 ★バックナンバーはこちらから読めます★  https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

【メルマガ登録・解除について】
※メールアドレスの変更について
 ⇒「現在のメールアドレスの配信停止」→「新アドレスでの登録」にて
   ご対応お願い申し上げます。
※メルマガのご登録はこちらから
 ⇒ https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=HSfoIRnMfw
※メルマガの配信停止はこちらから
 ⇒ https://1lejend.com/stepmail/delf.php?no=HSfoIRnMfw