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令和5年6月3日(第3387号)
カエルを蹴飛ばして、プルーストの名言を考えた
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2034字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は研修の企画。
また夜は10キロのランニングでした。
引き続き、沖縄に来ておりますが
台風がくるとお店や保育園が休みになり、
またゴミ収集車も来なくなるなど、
気候の影響が生活に与える変化を感じたここ数日でした。
*
さて、本日のお話です。
沖縄にきてから、
ブラブラと色んなエリアを
ランニングを兼ねて散策しています。
車から見える景色と、
ランニングしながら見える景色だと
これまた違った発見があり、
実に面白いな、と感じるこの頃。
今日はそんな日常生活から感じた気づきを
ゆるりとお伝えできればと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは
【カエルを蹴飛ばして、プルーストの名言を考えた】
それではどうぞ。
■夜20:00。
沖縄は19:30近くまで
明るいのです。
ただ先日は諸々予定が終わって
初めて完全に暗くなってから
海沿いを10kmほどランニングしました。
夜の海(台風の直後、しかも満潮)は
強大かつ暴力的な雰囲気を醸し出しています。
海岸線を走るだけで
飲み込まれそうな恐ろしさを感じます。
■根がビビリなもので、
身体の周辺に絡みつく
ちょっとした不安感を常に感じ
心持ちかペースが早くなっていきます。
すると足元への注意も
そもそも暗いのに
さらにおろそかになります。
すると、
何か柔らかいものが
突如足に飛びかかってきて、
それを激しく蹴飛ばしました。
「うわわわ」
と海にびびって小さくなった気持ちが
そこで爆発するように、
ひとり小さく叫びました。
視線の先に蹴飛ばし、
飛んでいったものを見ると
茶色い「カエル」でした。
(結構でかい、、、)
どうやら海岸線には
カエルが生息していたようです。
更に走ると、
今度は手のひら2つ分くらいの
でっかいカニ(!)が目の前を横切り、
これまた危うく蹴飛ばすところでした。
今回は学習したので
前よりはビビリませんでした。
■普段、
ランニングしていて、
カエルやカニを踏んづけるリスクを考慮して
走ることはありませんでしたので
新鮮な驚きを覚えていました。
ただ、このカエル&カニだけではなく、
夜になってから
地味にやっているカフェとか
海岸沿いでビールを飲んでいる
おじいちゃん2人組とか、
車ではなく自らの足で走ってみると
こうし地独特の風景にも、
巡り合うことができるのだなあ、、、
そんなことを思ったのでした。
■ふと思えば、
ずっと住んでいる街でも、
いつからから慣れてくると
興味を持って散策をすることが
なくなってくる、と感じます。
引っ越しをした当初は、
「こんな店もある!」
「こんな場所もある!!」
と興奮気味で色々みて、
ちょっとした公園も、
カフェも、廃墟っぽい家も、
多くが好奇心の対象でした。
しかし、しばらくすると
それも背景の一つとなり
するっと通り過ぎるようになってしまう。
残念ですが、そんなことが
これまでの生活では多かったように思います。
■このことに繋がる、
とある名言の一つに、
こんな言葉があります。
”真の発見の旅とは、
新しい景色を探すことではない。
新しい視点を持つことである。”
-Marcel Proust
とのこと。
これは私のお気に入りの名言集にも
乗っているものですが、
どうやらプルーストは
直接はこのような言葉入っていないそう。
実際の出典は、
以下の言葉(らしい)です。
”ただひとつ正真正銘の旅、若返りのための唯一の水浴は、
新たな風景を求めて旅立つことではなく、ほかの多くの目を持つこと、
ひとりの他者の目で、
いや数多くの他者の目で世界を見ること、
それぞれの他者が見ている数多くの世界、
その他者が構成している数多くの世界を見ることであろう”
第五篇《囚われの女 II》吉川一義訳(岩波文庫, pp.155-156)
とのこと。
「多くの人」✕「その人が見ている数多くの世界」を見る。
これが
”正真正銘の旅”であり、
”若返りのための唯一の水浴”
というのです。
■先日訪れた
とあるカフェの店主が
「街に馴染みたかったら
その街の歴史を知ることがよいよ」
と言っていましたが、
これもまさにそうなのでしょう。
それぞれの街に住む多くの人。
そして、それぞれの人の視点。
今いる沖縄の村でも
近づいて見ていると、
・過去からずっと住んでいる人
・最近引っ越しをしてきた人
・海外から来ている人
がそれぞれいて、
また傾向としてどういう人が
どのエリアに集中しているのかも
ある程度別れていることに気づきます。
そして、それぞれの人が見ている
「数多くの世界」を知ろうとすることは
”一つの旅”となり得るのだろう、
そんなことを思います。
■そして、
そうした視点を持つには、
やはり遠くから眺めるのではなく
その身を近づけてみて、
観察をしてみることが必要なのでしょう。
研究手法として
「量的研究」では
数字だけでは見えない一方
「質的研究」(エスノグラフィー等)では
直接、研究者が対象者の研究の中に身を置くことで
はじめて見えてくるものがある、
とも言います。
■色々な視点を持つことを
楽しむようにする。
住んでいる街も
新しく住む街も、
そんな視点を大切にしたいものだな、、、
そんなことを、ランニングの最中に、
カエルを蹴飛ばしつつ思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
我々の苦悩は、
とことんまで経験することによってのみ癒される。
マルセル・プルースト
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【編集後記】
飛騨高山ウルトラマラソンまであと8日。
(6月の走行距離10キロ)
2日ぶりに10キロ走りましたが、
沖縄では車での移動が多く
日常歩くことが少ないため、体力の衰えを感じました。
あるいは、ソーキそば始め、炭水化物のとりすぎで
体重が増えているのか。。。
今週末の今年2回目のウルトラマラソンに向けて
身体をメンテナンスせねばと思いつつ、
危険な状況(体が重たすぎる)になっている気がします。
体重計がないと、コントロールがきかなくなるという
「計測する大切さ」を感じた一週間でした。
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