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令和5年4月3日(第3327号)
シニアのモチベーション維持に寄与する「縮小的ジョブ・クラフティング」
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2358字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日日曜日は、
朝からピーター・ドラッカーの
『プロフェッショナルの条件』の読書勉強会、
昼からは、大学院の先輩が主催された
『ジョブ・クラフティング』に関する
読書勉強会への参加でした。
(開催頂きました先輩の皆さま、
ありがとうございました!)
また10キロのランニング。
*
さて、本日のお話です。
昨日のジョブ・クラフティングの勉強会では
『シニアと職場をつなぐ: ジョブ・クラフティングの実践』
岸田 泰則 (著)
https://amzn.asia/d/9r5KiY1
の著書を題材に読み解きました。
今日はそこからの学びについて
皆様にご共有させていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは
【シニアのモチベーション維持に寄与する「縮小的ジョブ・クラフティング」】
それでは、どうぞ。
■本書の始まりは、
・働く人の5人に1人は
シニア(55歳以上)の時代になった。
・しかしながら、その現状に
政府も企業も個人も対応ができていないのが現在である。
・高年齢者雇用安定法により、企業は
定年65歳引き上げ、または
65歳までの継続雇用制度(再雇用&給与ダウン)の導入をした。
・シニアの就業率は上昇した。
しかしながら実際は社会的な責任を果たすための
「福祉的な雇用」「CSRの一環としての意識」が強い。
・その背景には「エイシズム(シニアは認知能力や仕事能力が
劣化しているとするステレオタイプ)」がある。
・シニア雇用の「量」は促進されたが
その「質」が置き去りにされている。
と問題の提起がされています。
(※勉強会資料より引用)
■確かに、
再雇用制度などで
シニアの活用は促進されているものの、
「制度的にやらないといけない」
からやっており、
・同じ仕事をしているのに
給与が半分になった
・エネルギーもあり、
もっと働いていきたいが
力のぶつけ先(条件のあう働き先)がなく持て余している
などの声も聞きます。
■その中で、
『ジョブ・クラフティング』
がシニアの変化対応能力を向上させ、
意欲の向上や生産性向上にもつながることを
研究から示唆しています。
ちなみに
「ジョブ・クラフティング」という概念では、
”従業員が自ら能動的に
職務経験を作り直す”
ということを特徴しています。
より具体的には以下の3次元
1)職務範囲や役割の変更(タスク・クラフティング)
2)人間関係の境界の変更(関係的クラフティング)
3)仕事の意義の変更(認知的クラフティング)
で示されています。
(Wrzensinewski and Dutton, 2001)
■そしてこの著書では
大企業勤務の男性ホワイトカラーに
焦点を当てて
・シニアの「縮小的ジョブ・クラフティング」が
どのようなプロセスで発現をするのか?
・キャリアステージからどのような影響を受けるのか?
・縮小的ジョブ・クラフティングは
上司にはどのように知覚されるのか?
という3つのリサーチクエスチョン(研究的疑問)
を紐問いていきます。
■そして、本研究でのキーワードが
「縮小的ジョブ・クラフティング」
と呼ばれるものに注目をしています。
*
「縮小」というと、
シニアの当事者からすると
抵抗感を覚えてしまうものかもしれませんが、
ここではネガティブな意味で
使われるわけではありません。
むしろ
”縮小的ジョブ・クラフティングが
シニアのジョブクラフティングに特徴的なもので
モチベーション維持を可能にする”
としています。
■シニアになると、
・定年・役職定年
・加齢等による身体的社会的変化
・その他の要因(介護など)
により、
現実の仕事の役割や
仕事そのものへの捉え方にも
変化が訪れます。
その変化に対応する中で
”従業員が自ら能動的に
職務経験を作り直す”
ことを、シニアの縮小的ジョブ・クラフティング
としており、著書では以下のような定義をしています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<シニアの縮小的ジョブ・クラフティングの定義>
・シニアが定年などの環境変化や身体的変化に伴い、
・職場の中の状況に合わせながら、
・業務内容・職場の人間関係・仕事に対する認識を
現役時代に比べ縮小方向に組み直す変化
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのこと。
■そして、具体的には
以下の3次元によって、
縮小的ジョブ・クラフティングが
説明されています。
・縮小的タスク・クラフティング
(=サボることは悪いことではなく、
仕事の優先順位をつけ、仕事ができることである
働き方改革の第一歩であると捉えなす)
・縮小的関係的クラフティング
(=適度にゆるく浅い関係性こそが
お互いの関係を長持ちさせる)
・縮小的認知的クラフティング
(=相手の気持ちに応えるのをやめることで
気持ちが楽になる)
こうしたジョブ・クラフティングにより
環境変化の中で、個人の
モチベーションの維持に寄与する、
というのが本研究で語られていたことの
一つでありました。
■もちろん、シニアになっても
再雇用者の中で縮小ではなく
「拡張的ジョブ・クラフティング」を行う場合もありますので、
置かれた状況や変化により、
違ってきていることはあります。
またシニアのジョブ・クラフティングは
人材育成、キャリア・カウンセリング、営業職などは
発現しやすい、ともされており、
職種による違いもあるようです。
■著書を読みながら
「シニア」という一つの枠は
社会的に存在することを改めて認識します。
私たちがそう考え
役職定年を始め様々な制度が紐づき、
多くの人に変化を与えている、
というのが現状です。
実際は、
「シニアになると、
本当に仕事の能力が低下するのか?」
というと、決してそんなことはない、
という論文も多数あります。
■制約と現状のルールの中で
まだまだたくさんあるし、
現在はまだこの課題についても、
道半ばというところだと思います。
ただ、その中で一つ、
シニアのジョブ・クラフティングという考えが
現状のシニアの活躍に対する
一つの光を当ててくれている、
そんな感覚も持ちました。
人事の方や
シニア活躍に携われる方に
おすすめの一冊でございます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
少し食べ、少し飲み、そして早くから休むことだ。
これは世界的な万能薬だ。
ドラクロワ
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【編集後記】
4月の走行距離10キロ。
5年前にくらべて、体重が減りづらくなっています。
ライザップ行こうかな、などと考えてしまうこの頃。
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