配信日時 2023/03/31 09:54

論文『スピリチュアリティは知能か?』のまとめと学び【カレッジサプリ】

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令和5年3月31日(第3324号)


論文『スピリチュアリティは知能か?』のまとめと学び


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2533字/読了時間3分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。
その他企画の作成など。

また夕方からは35キロのランニング。

ヘロヘロになり、なんで平日に
こんなに長い距離を走ってるんだろう?

、、、と自分で謎に思いつつ、
なんだかんだ脚がかなり鍛えられました。

これで月間200キロになったので、
5月以降のウルトラマラソンに向けて
良いステップが踏めたと思います。



さて、本日のお話です。

今日はある論文の
ご紹介をさせていただければと思います。

その論文のタイトルは、


『スピリチュアリティは知能か?』


というもの。

実に興味深いタイトルです。


それでは早速見てみましょう!

タイトルは



【論文『スピリチュアリティは知能か?』のまとめと学び】



それでは、どうぞ。



■「スピリチュアリティ」というと、
皆様はどういう感想をお持ちになるでしょうか?

多分、幾人かの方は

・あやしいとか
・うさんくさい
・壺や石を売られる

などとイメージを
お持ちになるかもしれません。
(わかります)



■ちなみに、
「スピリチュアリティ」とは

ある論文では
以下のように説明されています。


”スピリチュアリティとは、
 崇高な力、導く力、エネルギー、信念体系など、
 神聖なものとのつながりを求める願望である” 
(Rosso, 2010)


とのこと。

より「大きなものとのつながり」を
感じる力のことを意味するようです。



■ではこのスピリチュアリティが
どんな役に立つのか?

についてですが、
いくつかの観点があります。



まず、強みを分析する
ストレングス・ファインダーでは、

「運命思考(Connetedness)」

なる「大きなものとつながり」を感じる力を
”強み”として分類化しています。


また、

「仕事の意味付けへの研究」(Rosso, 2010)

では、

”スピリチュアルな従業員は、
 非スピリチュアルな従業員とは異なる方法で仕事を認識し、
 仕事上の行動を思いやり、奉仕、超越という
 スピリチュアルな観点から見ている。
 
 従業員が仕事をスピリチュアルな観点から捉えた場合、
 その仕事は、従業員にとってより深い意味と目的を持つようになる可能性が高い”

としています。


そんな観点から見ると、

スピリチュアリティについても
効果を生み出すことが示されており
より深掘ってみることに興味をそそられます。




■さて、そんな中で、
冒頭でご紹介の論文、


Emmons, Robert A.(2000).
“Is Spirituality an Intelligence? Motivation, Cognition, and the Psychology of Ultimate Concern.”
(日本語訳:スピリチュアリティは知能か?動機づけ、認知、そして究極の関心事の心理学)


では、

「知能の一形態としての
 スピリチュアリティ」
 
を探究しようとしています。

つまり、スピリチュアリティが

”人の日常生活でどのように問題を解決し
 目標の達成を可能にする一連の能力・技能に
 つながっているのか?”

の証拠を探そう、というのものです。



■それでは本論文には
どのようなことが書かれているのでしょうか。

以下、簡単に要約をしてみました。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<論文『スピリチュアリティは知能か?』のまとめ>


○論文の趣旨

・スピリチュアリティや宗教性が持つ様々な意味は、
 近年、理論的・実証的に検討されるようになってきている。
 
・スピリチュアリティは
 「人が人生で努力すべき究極のビジョン」を提供することがある。
 それらは、目標に対しての動機づけに繋がりうるものである。
 


○論文の内容

・一方、伝統的な意味ではスピリチュアリティは
 「知能」とはみなされてはいない。
 
・「知能」に関する理論で広く普及しているものが
 ”ガードナーの多重知能理論(MI理論)”であり、
 知的能力として以下の8つの知能があるとした。
 
 それは、言語的、論理的、数学的、空間的、音楽的、
 身体的、運動的、対人的、内面的、自然主義的な知能である。
 
・この中で、ガードナーはこの理論に関して
 ”スピリチュアリティは知能の一つではない”と
 明言をしている。
 

 
・しかし、著者はこのことに対して
 別の見方ができるのではないか?と提唱する。
 
 「知能に関連する能力やスキルが存在すること」
 「個人の中核的な特徴になっていること」
 
 等が挙げられる。
 
・より具体的にはスピリチュアル・インテリジェンスを
 定義する中核的な能力は以下の5つがある。
 
 (a) 超越の能力を持つ
 (b) 高められた精神的な意識状態に入る能力
 (c) 日常の活動、出来事、人間関係に高次の感覚を持たせる能力
 (d) 生活上の問題を解決するためにスピリチュアルな資源を活用する能力
 (e) 徳のある行動や能力(許しを示す、感謝を表す、謙虚である、思いやりを示す)



・これらの能力が
 ガードナーの提唱する「知能」に該当するかは
 断定することはできない。
 
・しかし、心理測定による裏付け、感受性、
 スピリチュアリティが示す知能の具体例、などから
 (ガードナーは否定しているが)知能の許容基準のいくつか。
 特に「精神的知能」を満たしているように見える。


○結論

・スピリチュアルな知能は、
 世界における知的行動の新たな領域を示している。
 
 また自分の人生を究極のものと一致させようと努力する
 目的意識の高い人間であることを示す側面がある。
 
 知能におけるスピリチュアルティの研究は
 宗教心理学を刺激し、理論的・研究課題を深めることになるであろう。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。



■結論、

「スピリチュアリティが
 知能と呼べるかは確認はできない」

(でもそう呼べる可能性はありそうだよね)

というオチでした。


何か実証研究というわけではないでうが

こうした観点から
スピリチュアリティなるものを探索することは
純粋に興味深いな、と思います。



■思ったのが、哲学的な立場で

「プラグマティズム」

というものを思い出しました。

いわく、

”行動や実践を重視し、
 知識を其の有用性や実用性で評価する考え方”
 
とされ、

すなわち乱暴に言えば
「役に立てば良いんじゃね」というスタンス
とも言えるのですが

まさにこの論文の
スピリチュアリティも

スピリチュアリティが役に立つ能力として
いくつかの側面を持っていることを
伝えているようにも

私は感じました。



■個人的には、

この世界にはまだ見えない世界が
あるんじゃなかろうか、

という感覚を持っていますが、


それは現代の科学の定義では
(客観的に観察可能なものを重視するため)
証明することは難しいのでしょう。



しかし、客観的に見えなくとも、

「心」というものは存在しているし、
「感じる体験」はやっぱりあります。


そういう意味で、

スピリチュアリティという
科学と一見離れた事象をについて

こうした科学の側面から
追求しようとする試みに

両者の歩み寄りのようなものを感じ、
面白さを感じた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

夢は不満足から生まれる。
満ち足りた人間は夢を見ない。
人はいかなるところで夢を見るのだろうか。
むさくるしいところか、病院か、牢獄の中でみるのだ。

モンテルラン
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【編集後記】
3月の走行距離200キロ。

35キロを走ると、やはり30キロくらいから
猛烈に足が痛くなって、重たくなります。
しかし、たぶん、次に同じ距離を走ると
体が慣れてきて、痛みが感じづらくなっています。

人は慣れる生き物で、面白いもの限界を超えていくと、
ある程度まではどんどん幅が広がっていくことを感じます。

7月は266キロ。完走するために準備をしていきたいと思います。


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