配信日時 2023/03/12 07:00

今週の一冊『死は存在しない ―最先端量子科学が示す新たな仮説』【カレッジサプリ】

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令和5年3月12日(第3305号)


今週の一冊『死は存在しない ―最先端量子科学が示す新たな仮説』


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2160字/読了時間3分)


■おはようございます。紀藤です。

この週末は大学院の卒業旅行。
伊豆来ております。

もう大学院もいよいよ終わりだなあ、
としみじみ感じるこの頃です。

春ですね。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は

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『死は存在しない ― 最先端量子科学が示す新たな仮説』

田坂広志  (著)/光文社新書
https://amzn.asia/d/680RjCc
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です。



■「死」。

きっと皆様も、
生まれてから一度くらいは、

”死んだら自分はどうなるのか?”

という問いについて
考えたことがあるのではないか、

と思います。



■一方、人によっては、

「死後の世界」

というワードが出ると
反射的に、

「宗教的である、抽象的だ
 科学的ではない」

と抵抗感を覚える方も
いらっしゃるかもしれません。

特に日本では、

こうした目に見えないことに対して
暗黙のタブー視のようなものがあるように

私は感じております。

(が、個人的にはだいぶ好きな話)


■さて、

今週ご紹介する一冊は、まさに
そんな「死」や「超常現象」をテーマに
真ん中で語った一冊。

まさに、

『死は存在しない』

というタイトルから、

すでにメルマガを開く人、開かない人
そして解除ボタンを押す人など、

様々な選択を促すものかもしれません。



■、、、しかしながら、
この本は、大変興味深い一冊です。

好き嫌いはわかりますが
個人的には大ヒットでした。

こうした話は
こと怪しい系に振り切る本が多いですが、

それを「科学的視点」で
知的に描かれているところが新鮮だったのです。



■まず、

この本の著者である
田坂広志氏は、このような方です。
(以下、Wikipediaより)

・日本の技術者、経営学者。
・学位は工学博士(東京大学)
・多摩大学大学院名誉教授

・田坂塾 塾長。2005年米国Japan SocietyよりUS-Japan Innovatorsに選ばれる。
・2008年世界経済フォーラム(ダボス会議)Global Agenda Councilメンバーに就任。
・2010年世界賢人会議・ブダペストクラブ日本代表に就任
・2011年東日本大震災に伴い、内閣官房参与に就任。
・シンクタンク・ソフィアバンク・President。詩人。思想家

とのこと。

経歴のルーツは
工学博士であり、原子力の専門家。

もともと、

”生粋の科学者”

であられる点が、
この本の紹介に先立って
特筆すべきところかと思います。



■そうした、科学者でもある著者が、

「死の存在」について


『「科学」と「宗教」の橋渡しをする』


という観点で、

理論的で科学的な視点と
宗教的な真実との共通性を


”あり得ない偶然”
”意識の動き”など
現在の科学では説明できないことをを、

著者の広大な知識と、深淵な問い、
生命への尊重を併せて、
静かな熱量で読者に問い、
語りかけてくる著書でございます。



■さて、ではこの本で
何が述べられているのか?


まず、冒頭では

「現在の科学の限界」

を踏まえた上での
新たな仮説についてです。



最初に、

”「科学」という名の宗教”

と表現されることへの
疑義から始まります。

具体的には

・現代の科学は「唯物論的科学」であり、
 この世界の本質は「物質」である、という前提に立つ
  
・それは生命も、意識や心も、
 複雑な物理的・科学的な相互作用の結果
 生まれてきたものであるという立場である
 
・ゆえに「意識」は脳内の電気信号であり、
 「死」とは肉体が生命反応を示さなくなること、とする

・しかしながら、この現代の科学には
 「3つの限界」があるという。
 
・第一に、「要素還元主義」という限界があること
 (要素をいくら分解しても、意識のような複雑なものは
  説明することができない)

・第二に、「物質消滅」という限界があること。
 (量子化学の世界をミクロに追求すると、
  物質そのものが究めて不確かな存在であり、「波」でしかない)
   
・第三に、「説明不能」という限界があること。
 (なぜそれが起こるのか?を説明できない。
  例えば、なぜ自然定数が、奇跡とは言えない数字の組み合わせに
  なっているのか、科学では説明できない)

と語られます。


つまり、

・「現代の科学」には限界がある。

・「死」や「意識」を語るに当たっては、
 現代の科学だけにとらわれない新たな仮説が
 必要とされる”

という問いから始まります。



■その上での仮説として

「量子物理学」で言われる


『ゼロ・ポイント・フィールド仮説』


を用います。

そしてそれこそが、

・死とはなにか、
・この世界とはどういったものか、

について
一つの答えを投げかけるものではないか、

と続けて行きます。



■そして本題ですが、
結論からすると、こうした話です。

(急に飛躍をするようですが
 少しご容赦ください)


1)この宇宙のすべてのものは
  「波動情報」である

2)その波動情報は時空を超えて
  この宇宙に存在していることがわかっている
    
3)それらの情報(過去・現在。未来を含め)
  集約されている「ゼロ・ポイント・フィールド」がある
  

そして、

・このゼロ・ポイント・フィールドにアクセスすることが
 「虫の知らせ」や「不思議な偶然」と呼ばれる現象を
 説明することができる仮説になりえる
 
といいます。



■前後の文脈を割愛して
話を進めると、どうしても
あやしい感じになってしまいそうですので、

ぜひご興味がある方は
著書をお読みいただければと思います。

ですが、

・我々の意識とは
 ゼロ・ポイント・フィールドの一部であり、
 そして死後はそこに帰っていく

と考えることが可能であり、

そうした視点に立つと

「死」というものに
これまでと違う見方ができる、

と展開されていきます。



■もちろん、
これらの話は仮説ではあります。

しかし、各宗教が
かつて伝えていきている

「なぜ我々が生まれ、
 そして死んでいくのか」
 
「この世界は何なのか」

という

物語的なストーリーと
大変近い話になるの興味深いのです。



ある意味、
この世に生きているのは
「一つの夢」のようなものである。

死後はその夢から覚めて
より大きなものと一体になっていく、

そうした抽象的とも言える世界観について
「科学と宗教」のそれぞれの立場を尊重しつつ、

今わかっていること言えることを
きちんと峻別して語っていく切り口が、

こうした現代の科学とは相反するとテーマの中で、
大きな説得力を持つと感じさせられます。



■今回の本では

様々な科学、歴史、宗教の話を引用しつつ、
結局のところ生きるとは経験をして、

「”自分とは何か”を知る旅」

であり、

その集合として
世界が全体として、

「”世界が何か”を知る旅」

をしているのではないか、

と語っており、

その言葉が
この世界の裏側にあるルールとすると

もっと囚われず、
酸いも甘いも、辛さも哀しみも、
大切な経験として受け取って行けるのかもしれない、

そんなことを私は感じさせられました。


■ということで、
こうした話に興味がある方は
興味深く読むことができる一冊かと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『死は存在しない ― 最先端量子科学が示す新たな仮説』

田坂広志  (著)/光文社新書
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【編集後記】
今月の走行距離77キロ。

そういえば、三浦半島(伊豆)は2016年に
初めてウルトラマラソンを走った場所でした。
辛かったですが、今振り返ると良い思いでしかないのが不思議です。


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