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令和5年3月9日(第3302号)
「コーポレートバリューを組織に実装する方法」:ハーバードビジネスレビュー論文まとめ
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3055字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は3件のアポイント。
また夜からは大学院の仲間との
打ち合わせでした。
*
さて、本日のお話です。
先日の大学院の仲間との話で
「コーポレートバリュー」
(ミッション・ビジョンなど)
を浸透させることは大事だよね、
というお話になったのですが、
たまたま今月号のハーバードビジネスレビューに
”特集:「価値観」の力”
がありコーポレートバリューを
どのように企業に実装するかについての
論文が紹介されていました。
日本の伝統的な企業を想定して
書かれた論文であり、
多くの企業にとっても
活用できるようにも思いましたので
本日はその記事からのお話について
学びをご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【 「コーポレートバリューを組織に実装する方法」:ハーバードビジネスレビュー論文まとめ 】
それでは、どうぞ。
※本日のお話は、
Corporate Values alignment:Ideation,Condification,and Co-Creation
(コーポレートバリュー・アライメント:企業に根源的価値観を実装する方法)
Masahiro Kotosaka, Jonathan Trevor(2023)
の論文からの出典となります。
■「ミッションやバリューはあるけど
誰も理解していないし
語られることもない」
そんなお話は、
枚挙に暇がありません。
パーパス経営とか
ミッション・ビジョン・バリューなど
世に知られてはおりますが、
実際は
お飾りとか、お題目のように
なってしまっているパターンも
少なくないように思われます。
■ちなみに、
「コーポレートバリュー」
とは、以下のように
説明がされていました。
”コーポレートバリューとは、
企業が最も重視する規範や
原理の源流となる根源的価値観である”
とのこと。
その表現としては、
バリュー、ビジョン、社是、
経営理念、ミッション、行動指針
価値観、企業理念、基本理念
使命、存在意義、
などがあります
そしてコーポレートバリューは
組織の中で内発的に形成され、
様々な手段で組織に実装され、
”企業の意思決定や行動を決定づける”
といいます。
例えば、
共通の価値観(バリュー)を
組織の構成員が共有することで
・組織の一体感を保持し、
・環境変化に柔軟に対応し
・多様性を担保する
ことに役立つという効果があります。
*
言葉にすると
無機質に思えそうですが
これ本当にそうだな、と思います。
新卒で入った会社も
「ありがとうを集める」
と掲げていましたが、
ピュアにそのことを思って
結構がんばれたものでした。
■そんな風に、
「みんなでこの考えや行動、価値観を
大事にしようぜ!」
と本当に思えているなら、
エンゲージメントの向上など
プラスの成果も期待できます。
、、、が現実は
ところがどっこい、
そんなに上手くいかないようです。
まさに先述のように
「ミッションやバリューはあるけど
誰も理解していないし
語られることもない」
というほうが、おそらく多いのでしょう。
■論文によると、
なぜそんな風に
存在しているコーポレートバリューを
うまく活用できないのか?
について、以下2点理由を挙げました。
第一に、
「コーポレートバリューに関する理解が
漠然としてまま定義が進められており、
根源的価値観を適切に見出せていない」
とします。
つまり、一応作るけれど
・そもそもなんで必要か
作っている本人もよくわかっていない、とか
・作って見るものの
”本当に我々が大事にしている価値観”を
特定するまで議論を進められていない、とか
・なんとなく決めたものの、
”表現がイケてなくてしっくりこない”
などです。
そして第二に、
「コーポレートバリューを表現できても、
中長期的な目標や経営戦略、組織文化と
連携をしていないため」
といいます。
この一番の理由は
・経営陣のコミット不足
(コーポレートバリューを実現する
ビジョンや戦略、目標を立てていない)
とされています。
■では、どうすれば
コーポレートバリューを中核に据えた経営を実現するために
自社の根源的価値観を定義し、
組織に実装できるのか?
このことについて、
本論文ではフレームワークを提示しました。
その内容は以下の通りです。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<コーポレートバリュー・アライメント・フレームワーク>
(コーポレートバリューを組織に実装する方法)
【概念化】
{主な取り組み}
(1)過去と未来からコーポレートバリューの素材を収集する。
(組織のために貴重な時間を費やしてきた仲間と対話する。
経営幹部、現場の主戦力、若手の有望株との対話を通じて集める)
(2)認知的多様性を発揮しながら、収集した素材に解釈を加える
(現在と未来のリーダーが解釈を加える。
その際に機能横断的に構成され、多様なバックグラウンドを持つ
複数のチームを立ち上げ議論をすることがポイントである)
(3)現在と未来のリーダーが、コーポレートバリューを定義し、ナラティブを作成する
(コーポレートバリューは究極的に主観的なもの。客観的な正しさは存在しない。
物語形式やスライド形式、アニメーションフィルムや漫画で
構成員に最も伝わりやすい方法を選択する)
{期待される成果}
・現在のリーダーと未来のリーダーが共同して
コーポレートバリューを定義し、
組織の構成員に最も伝わりやすい方法を用いて理解を促すことができる。
**
【公式化】
{主な取り組み}
(1)顧客体験、従業員体験、各部門の運営方針のあるべき姿を描く
(コーポレートバリューを体現するために、
どのような顧客体験や、授業院体験を提供すべきなのか。
それらについてあるべき姿を、
中長期的な目標や経営戦略として描き、連携させる。
そうすることで構成員はコーポレートバリューに腹落ちし、
共感する人材が惹きつけられていく)
(2)あるべき姿の実現に向けた行動計画を策定する
(上記を、年次や四半期の経営計画に落とし込む)
{期待される成果}
・コーポレートバリューを顧客体験と従業員体験に落とし込み、
それらの体験を提供するための経営システムと連携させることで
組織に網羅的に実装する。
**
【共創化】
{主な取り組み}
(1)組織内外の利害関係者との双方向的なコミュニケーションを通して、
各事業や各部門の解釈をすり合わせる
(組織内での解釈の度合いが異なるという前提の下、
各事業や各部門の根源的価値観を大切にし、
コーポレートバリューを組織文化を組織に刷り込んでいくプロセス。
一方通行で周知するのではなく、
双方向的なコミュニケーションを通じて、それぞれの解釈をすり合わせる。
例えば、メディア発信、社内報、研修、講話、
インタビュー、タウンホールミーティング、
社内SNS、個別セッションなど、あらゆる機会が含まれる)
{期待される成果}
・コーポレートバリューを自分事化させ、組織文化に刷り込んでいく。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■なるほど、、、。
言われてみれば当然ですが、
こうしてみると
「時間をかけた
丁寧なプロセスが必要」
であることがわかります。
これらの理念を伝えることが
とても大切なことだと経営陣も考え、
そして上から順に、
そして幾重にも重ねて
メッセージを発信しては対話を重ねること。
かつ、語るだけではなく、
それが経営戦略や目標にも組み込まれること。
それは、
とりあえず都合がつく人だけで
ちゃちゃっと話して、
きまったことをササッと落として、
というものではありません。
そして、もしそんな伝え方だとしたら
それは組織の構成員にも伝わるでしょうし、
結果、自分ごとになるはずもないのでしょう。
■ということで本日は
「コーポレートバリュー・アライメント:企業に根源的価値観を実装する方法」
Masahiro Kotosaka, Jonathan Trevor(2023)
の論文より
ご紹介させていただきました。
改めて現実的で
役に立ちそうな論文だと感じた次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
ゆうゆうと焦らずに歩む者にとって長すぎる道はない。
辛抱強く準備する者にとって遠すぎる利益はない。
ラ・ブリュイエール
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【編集後記】
今月の走行距離47キロ。
プロテインヨーグルト(OIKOSとか)
を大量買いして、おやつがてらに食べています。
ランニングにより、運動、食事と
連動して改善されてきている気がします。
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