配信日時 2023/02/16 10:04

言葉を丁寧に使い分ける ~「承継」と「継承」の違いとは~【カレッジサプリ】

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令和5年2月16日(第3281号)


言葉を丁寧に使い分ける ~「承継」と「継承」の違いとは~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 1724字/読了時間2分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は大学院の繋がりで

「事業承継」

をテーマとした勉強会でした。

参加者は
大学の先生から、人事、
二代目経営者の方を含めた方で

一人では気づけないことに
たくさん気づけた1日でした。

外に出るとたくさん学びがあるものですね。




さて、本日のお話です。

どうでもいいような話ですが
先日の論文勉強会の中で、
気になったことがあります。

どういう話かというと、

「言葉の定義」

です。


昨日の勉強会で

「事業承継」という人と
「事業継承」という人がいたのですが

似ていて、
別にどっちを使っても
いいような気がするんだけど、
ちょっとだけニュアンスが違う、

そんな言葉って結構あるよな、、、

とぼんやり思っておりました。


今日はそんなボヤキ的なお話を
皆様にお届けしてみたいと思います。

それではまいりましょう。

タイトルは、



【言葉を丁寧に使い分ける ~「承継」と「継承」の違いとは~】



それでは、どうぞ。



■先日の勉強会で、
気になっていたこと。

それが発表の中で


「この”継承”では、、、」という人と

「この”承継”のプロセスでは、、、」という人が


いたということ。



■勉強会のタイトルは

事業承継
(Business Succesion)

なので、
「承継」が正しいのでしょう。

感覚的にも、
継承よりも承継のほうが
じんわり深みがある感じもします。


ただし、似ているので
概ねの意味も同じようなものだし、
意味が伝わらないことはありません。


一方、
微妙に異なるニュアンスが
そこにあるような気もする、

というのも事実。



■、、、ということで
調べてみました。

すると、以下のような説明が見つかりました。

***

○「承継」

・意味:先代から「地位や精神、身分、仕事、事業」を受け継ぐ

・特徴:先代が守ってきた形のない抽象的なもの
    精神的な意味をもつものを受け継ぐ意味合いが強い

○「継承」

・意味:先代から「義務や財産、権利」を受け継ぐ

・特徴:先代や先任者が所有していた形あるもの
    具体的なものを受け継ぐ意味合いが強い

***
 
※引用」日本M&Aセンターマガジン(2022)
 『事業承継と事業継承の違いとは?正しい意味や使い分けを解説』


とのこと。



■ふーむ、なるほど。

繰り返しですが、

・「承継」は、精神など
 抽象的なものを受け継ぐ。

・「継承」は、財産など
 具体的なものを受け継ぐ、

わけですね。


英語での違いもみてみると
継承・承継に当たる言葉は

「succession」と「inheritance」

があるようです。

・successionは、「事業承継」に近く
(意味:連続すること、連続するもの、連続物、継承、相続、継承権、王位継承権など)

・inheritanceは、「事業継承」に近い
(意味:相続、相続財産、遺産、受け継いだもの、遺伝質など)

イメージのようです。


こうみてみると、
やはり承継と継承は

微妙なニュアンスの違いが
示されていることがわかります。



■こうした
微妙なニュアンスの違いを
知った上で表現すると、

「先代の”価値観や思い”を含めて、
 家業を引き継ぐ」
 
という意味を込めて使うであれば

『事業承継』

といえるでしょう。

一方、

「家業だし、長男だから
 引き継ぐべきもの」
 
というような”義務”の意味、
物理的なものを示すなら

『事業継承』

といえるのかもしれません。



■こうした細かい話、
別にどっちでもいいだろう、
と言ってしまえばそれまでです。

しかし、


『言葉を丁寧に扱うことで

 自分自身の考えを、
 より客観的に捉えられる』


とも思えるのです。


自分が
二代目、三代目だったとして、

自分にとってこれは

「事業承継」なのか、
「事業継承」なのか、

を使う際に問うてみることは

その意味を知ることで
表面ではなく奥底にある思いを
理解することにも繋がる(かも)しれません。



■他の言葉にも、
このような類いの言葉はあります。、


・「実践」と「実行」と「実施」の違い とか

※実践:”主義や理論など”を、行動に移すこと
 実行:”意思”を、行動に移すこと
 実施:”計画や法律など”を、行動に移すこと


あるいは、

・「往復」と「往還」の違い など

※往復:行って帰ってくること
 往還:何度も行き来すること

もあるようです。



■小さなようですが、

私たちは言葉で世界を理解し
言葉で思考します。

ゆえに、

”言葉を丁寧に扱う”

ことによって、

”自分の思考や行動も
 より意図を持って、
 丁寧に向き合うことができる”

そんなこともあるかもしれないな、

など思った次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

変化はつらい。
だが、ビジネスの世界では避けがたいことだ。
あなたに残されているのは、名残惜しいだろうが、
過去に別れをつげることだけだ。

ジャック・ウェルチ
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【編集後記】
キャリアコンサルタント試験まであと17日。

今週は懇親会続きですが、
自分がモヤモヤしていることを言葉にすると
それに対して他者が意見をくれて、
そして新しい道が開けるような感覚を覚えます。
外に出ること、言葉にすること、大事だなと感じます。

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