配信日時 2023/01/20 09:45

「人生の転機」をどう乗り越えるか(前編)ートランジション・アプローチから紐解くー【カレッジサプリ】

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令和5年1月20日(第3255号)


「人生の転機」をどう乗り越えるか(前編) 
 ートランジション・アプローチから紐解くー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2554字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
またお昼は同世代のご活躍中の
商社マンとのランチ会食でした。
(Fさん、ありがとうございました!)



さて、本日のお話です。

本日も「キャリア」についての学びを
皆様におすそ分けさせていただければと思います。

今日のテーマは

「人生の転機」

でございます。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、



【「人生の転機」をどう乗り越えるか(前編) 
 ートランジション・アプローチから紐解くー】



それでは、どうぞ。



■少し前に、

『ドライブ・マイ・カー』

という映画を見ました。

村上春樹の小説を元にした映画で、
カンヌ国際映画祭でも3部門の受賞
アカデミー賞では国際長編映画賞を受賞、
ということで有名になりました。

(ご覧になられた方もいらっしゃるかと)


ネタバレしないようにお伝えすると、

ストーリーは、
舞台俳優で演出家である中年期の主人公が、
「突然、妻を亡くす」という場面から始まります。

その突然の喪失の中で、

ドライバーとして採用された女性との対話の中で
主人公が、自分が目を向けていなかった内面に目を向け、
そして新たな一歩を踏み出す、、、

そんな喪失と再生の物語です。



■このお話は


「予期していなかった出来事が起きたこと」

 
がきっかけになり、

主人公に痛みと再生という
一連の変化が起こっていく、
そんな物語とも言えます。



■そして、

この話がリアルなのは
現実世界でも同じだからです。


誰しも生きていれば
「人生の転機」が訪れます。

そんな転機(トランジション)に注目した研究者が
今回取り上げるナンシィ・シュロルスバーグ氏です。


生涯発達の中で、
高齢期や成人期に関心を持っており
実証的な研究を行ってきた方。



■人は歳を重ねるなかで、

・結婚
・転職
・引っ越し
・子供の成人
・役職定年
・離婚
・失業
・本人や家族の病気
・親の介護問題
・死別

など、様々な転機に出会う機会が
増えていきます。


起こりうる「人生の転機」とはなにか
どのように対処をするのか、

この対処法を知ることは
他人事ではないことでもある

と感じさせられます。




■さて、シュロルスバーグは
「人生の転機は3つある」と述べました。

それは、以下の3つです。


「1,期待していた出来事が起きたとき」

「2,予想していなかった出来事が起きたとき」

「3、期待していた出来事が起こらなかったとき」


とのこと。


もちろん人によって違いますが
例えば、


「1、期待していた出来事が起きたとき」とは、

昇進、転職、出産、などがかもしれません。

「2,予測していなかった出来事が起きたとき」

とは、いわゆる”まさか”というもので
突然の死別、大病、事故、会社の倒産などかもしれません。


「3,期待していた出来事が起こらなかったとき」とは、

期待していた昇進・異動・転職が起こらなかった、
などかもしれません。



■考えてみれば

予測していようがいまいが、
期待が起こるが起こるまいが

「人生の転機」は
私達の人生にゆらぎをもたらし
相応のインパクトをもたらします。


特に

2,予測していなかった出来事が起きたとき
3,期待していたことが起こらなかったとき

などは時に

ストレスを感じる可能性があるため
対処を考える必要がありそう。

いずれにしても、
対処の準備は必要そうです。



■シュロルスバーグいわく、

”人は生涯を通じて
 様々や転機や変化を経験する”

といいますが、

より引いてみてみると、
この転機とは

『成人の発達』

という大きな枠組みの中の
1つの出来事と考えることができます。


そんな『成人の発達』の捉え方に
以下4つの視点があるとも述べています。


それが、以下の4つです。

ちょっとかための表現ですが、
サラリとご覧くださいませ。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【成人の発達の4つの視点】


<1)Contextual,Cultural(文脈的、文化的)>

・環境、前提が個人の人生にインパクトを与える

(例えば、
 ベーカリーで週6日、朝3時からパンを焼く仕事をして、
 昼過ぎまで働く人の労働は、その人の余暇、家族、健康、
 社会的活動を規定する)
 
 
<2)Developmental(発達的)>

・成人の発達には、順序付けられた、
 しかも一般に共通した性質がある。
 
(例えば、Levinsonは
 1,親離れの段階(16-20歳)
 2,大人の仲間入り段階(21-29歳)
 3,一家を構える段階(30-34歳)
 4,自分を確立し始める段階(35-39歳)
 5,中年期の過渡期(40-42歳)
 6,再安定期(43-50歳)と表現した)


<3)Life Span(ライフ・スパン)>

・様々な転機を個々の生涯にわたる連続した課題として捉え、
 その課題を超えて人は多様に広がっていく。
 
(例えば、
 個人の10歳のグループと
 個人の60歳のグループを比較すると、
 60歳のグループの方がはるかに多様性を持っている。
 このように個人は奥義のように多様化していく)
 

<4)Transitional(転機)>

・変化を引き起こす人生上の出来事自体と
 その対処に焦点を当てる
 
(例えば、
 シュロルスバーグは
 途方にくれるような心的外傷を受ける経験となる一方、
 成長のための変化をもたらす素晴らしい機会にもなる、とした)


※渡辺三枝子(編著)(2018)『新版 キャリアの心理学[第2版] キャリア支援への発達的アプローチ』.ナカニシヤ出版 p190-191より引用
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。



■なるほど。すなわち、

「成人の発達」という観点でも
様々であるようです。


・今自分がいる「環境」も
 自分の課題に影響を与える
 
・年齡などを含めた「発達段階」によって
 今の自分の課題が特定される
 
・人生の歩みが長くなれば(ライフ・スパン)
 人の課題は千差万別になる

・「人生の転機」となる出来事によって
 人は成長していく
 

、、、

どれも言われてみれば
うーん、たしかにそうだな、

と思えます。



■と、やや情報過多に
なってしまいましたが、

こうした視点を持っておくことは
時に役立つとも思います。


例えば、

「現在転機の真っ只にいて、
 苦しさを感じている」

としたとき。


それを、

・「成人の発達」という視点で捉えること

・「3つの転機」という視点で捉えること

によって、

”その出来事に埋没する本人”

という当事者視点だけではなく、

少し距離をおいて、

”発達していく一個人として自分”

を研究者視点(俯瞰的視点)でみることに、
役立つのかもしれない、

とも感じます。



■そして、
シュロルスバーグは具体的に


”人生の転機に対処する『4Sシステム』”


を提唱しておりますが、
こちらについては長くなったので
明日に続けたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の明言>

人間とは、自分の運命を支配する
自由な者のことである。

カール・マルクス

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【編集後記】
キャリアコンサルタント試験まであと44日。

論文が終わって、久しぶりにゆとりある時間を過ごしております。
今のうちに次の仕込みをしていきたいと思います。

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