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令和4年12月22日(第3227号)
「目標焦点型コーチング」ってなんだ
ー論文『目標に焦点を当てたコーチングスキル質問表』より
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3169字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
また夜は17キロのランニング。
5月の100キロマラソンに向けて、
足を作っていきたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
コーチング技術には
実に様々なものがあります。
たとえば、
「スキル&パフォーマンスコーチング」「発達コーチング」
「変容的コーチング」「ライフコーチング」
「健康・ウェルネスコーチング」「異文化コーチング」
「キャリアコーチング」「チームコーチング」
「エグゼクティブコーチング」「管理職コーチング」
「ピア・コーチング」
などなど。
※『コーチング心理学』(西垣,2022)より
ちなみにこれでも
まだまだ一部だそうです。
もう、多すぎて何がなんだか、、、
という感じもしなくもありません(汗)
*
その中で、比較的
仕事上役に立ちそうなコーチングとして
『目標焦点型コーチング』
と呼ばれる技法があります。
そしてその手法の全体像、
その手法ができているか測定するための
質問紙表が論文で紹介されていました。
本日はその内容について、
皆様にご共有させていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは
【「目標焦点型コーチング」ってなんだ ー論文『目標に焦点を当てたコーチングスキル質問表』より】
それでは、どうぞ。
■コーチングも1on1などで
組織の現場で使われることも増えてきました。
ただ、シャバでは
傾聴していればいい、とか
質問していればいい、などでもありません。
「何話したらいいかわかりません」とか
「特に話したいことありません」など
色々な人がいるもので、
実際に管理職の方は難しいものです。
■物騒な例えかもしれませんが
キックボクシングジムで
ワン・ツー(ジャブ・ストレート)を
学んでいたけれど
いざ現場(ストリートファイト?)では
石を投げられたり、服を掴まれたり
仲間が登場してきたり、etc
などなどで
「型通りにはいかない」なんてことも
ままあります。
現場は、もっと
総合格闘技的な要素が強いものです。
(そういう経験がないので、
たぶんそうなんだろうという予測)
■では、
「型」が不要かというと、
あながちそういうわけでもなく、
知っておくと
便利なこともあります。
「ツール」が増えるという意味で、
使える武器が増えれば、それはそれで
役に立つものではあります。
コーチングにおける
「傾聴」「質問」も型みたいなもの。
今回ご紹介する
『目標焦点型コーチング』の指標も
一つの型のようなものです。
■ということで、
前置きが長くなってしまいましたが
そんな一つの型としての
「目標焦点型コーチング」について
以下、論文の内容をまとめつつ、
ご紹介させていただければと思います。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【論文まとめ『目標に焦点を当てたコーチングスキル質問表』】
<論文の背景>
・組織では、マネジャーのコーチングスキル開発への投資が増えている。
マネジメントによるコーチングは、従業員のエンゲージメント、
職務満足度、パフォーマンスを高める重要な要素となっている。
・職場のコーチングは、従業員が目標を設定し、行動計画を立て、
成功への軌道を維持することを支援する、目標に焦点を当てたものになる傾向がある。
(Graham, Wedman, & Keller, 2003)。
・しかし、それらのコーチングスキルが測定されることはほとんどない状況である
<論文の目的>
・目標に焦点を当てたコーチングスキルの測定は、
コーチスキルトレーニングプログラムのインパクトを評価する上で重要である。
・ゆえに、本論文の目的は、
「目標焦点型コーチングについて
短時間で簡単に使用できる自己報告式の質問票を開発すること」である
<論文の内容>
◯「目標焦点型コーチング」とは何か?
・目標焦点型コーチング(Goal-focused coaching)は
パフォーマンス、自己主導の学習および福利を高めることを向ける
協力的な、解決焦点式のそして組織的プロセスである(Grant,2003)。
・目的に焦点を合わせたコーチングとは
1、個人(クライアント)が目的を置き、行動の計画を開発し、行動を始め、
2、クライアントのパフォーマンスを (観察/反映によって)”チェック”し、
3、クライアントのパフォーマンスを”評価”し 、
4,評価に基づいて、クライアントの”行動”をパフォーマンスを更に高めるために変え、
目的を達成する一連のプロセスである (Graham and al., 1994)
◯目標焦点型コーチングにおいて必要な「感情知能(EI)」
・コーチに必要なものとして
以下4つの「感情知能」(Emotional Intelligence)があるとされる。
a) 自分と他人の感情を正確に認識する能力
b) 思考を促進するために感情を利用する能力、
c) 異なる感情がどのように生じ、時間とともに変化するかを理解する能力
d) a-cの技能から、感情を調整し、建設的行動に転換する能力
◯目標焦点型コーチングに関連する「5つのコア・コンピタンス」
1)目標設定のスキル
2)協力関係を築くスキル
3)コーチングの会話に解決策を見出すスキル
4)プロセスと説明責任を管理するスキル
5)クライアントが評価され、意味のある成果を達成するスキル
<論文の結果>
・上記の内容を踏まえて、
「目標標焦点型コーチングスキル質問表」を開発し、
218名のコーチやマネジメント経験者を対象とし、優位性を確認した。
質問紙の内容は以下の通りである。
***
【目標標焦点型コーチングスキル質問表】
補足)
※コーチ本人に自己評価として聞くように開発されている質問表である
※(R)は逆転項目である
(コーチングの結果)
1,コーチングは、クライアントが目標に到達するために常に効果的である
2,私のクライアントは、コーチングの会話に費やす時間を大切にしていないようだ(R)
(協力関係)
3,コーチが自分の考えを自由に発表できるような環境を作ることができる
4,クライントの気持ちを理解するような言葉を意図的に使っている
(解決策に焦点)
5,コーチングセッションの終わりには、クライアントはいつも自分の直面している問題をより明確にする
(目標設定)
6,コーチングの際に設定する目標は、常にストレッチでありながら達成可能なものである
7,コーチングの際に設定した目標は、クライアントにとって非常に重要なものである
8,コーチングで設定する目標は、どこか曖昧なことが多い(R)
(説明責任とプロセスを管理する)
9,私(コーチ)は、クライアントが明確でシンプルかつ達成可能な行動計画を策定するのを支援するのが得意である
10、コーチングをするとき、解決策を考えるより、問題を分析することに時間をかけてしまう(R)
11、私(コーチ)は常に、クライアントら目標への進捗状況を報告してもらうようにしている
12、コーチングの際、パフォーマンス不足を直接かつ迅速に解決することが難しいと感じている(R)
※Grant, Anthony M., and Michael J. Cavanagh. 2007.
”THE GOAL-FOCUSED COACHING SKILLS QUESTIONNAIRE: PRELIMINARY FINDINGS.”
Social Behavior and Personality: An International Journal 35 (6): 751–60.
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのことでした。
■当たり前のようですが、
”「明確な基準」は役に立つ”
ものです。
特に、コーチングのような「対話」は
言葉を繋いでいれば、時間は過ぎていきます。
ゆえに、その対話において
相手にとってインパクトがある「問い」を投げかけられているか?
それを基準として見せることは
意義があることだと思えます。
*
例えば、なんとなく
「目標を聞く」ではなく、
・相手の考えを自由に話せる環境を作ることができているか?
・相手の気持ちを理解できているか?
という「協力関係」づくりについて
自分で質問紙評価からチェックをしてみる。
あるいは
・目標はクライアントにとって重要なものか?
・十分にストレッチなものであるか?
などの「目標設定」などを
自分で振り返ってみる。
「基準」があることで
そこで交わされるべき問いに
意図を含めることができると思います。
■ということで、本日は
『目標焦点型コーチング』
のお話でした。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
人は、その視野の範囲でしか成長できない。
ジョン・パウエル
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【編集後記】
論文も、もうひと頑張り。
今日で一通り終わりが見えそうです。
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