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令和4年12月19日(第3224号)
チームワークに必要な「14の知識・スキル・能力」とは
ー論文『チームワークに必要なKSA:人的資源管理への示唆』より
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2,699/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日日曜日は、
朝から大学院の仲間とのランニングでした。
その他、昼寝など。
*
さて、本日のお話です。
先日より大学院で学んでいる
「チームワーク論」という授業が
すこぶる面白いです。
チームワークの大切さは、どの世界でも
言われていることではありますね。
皆にとって気になる領域であるゆえ、
「チームワークに必要な要素」も
これまで多くの研究がなされてきました。
今日はそんな
「チームワークに関する論文」の中から、
ある論文をご紹介させていただきつつ
皆様に学びと気づきのご共有ができればと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【チームワークに必要な「14の知識・スキル・能力」とは
ー論文『チームワークに必要なKSA:人的資源管理への示唆』より】
それでは、どうぞ。
■「チームワークに必要なものとはなにか?」
、、、こう聞かれたら、
皆さまはどのように答えますでしょうか?
・自ら動くという主体性?
・共通の目標やビジョン?
・相手のことを尊重する姿勢?
きっとそこには、
「姿勢」もあれば
「考え方」もあれば、
「具体的な行動」もあって、
そこには様々な回答が出ることが
想像できます。
■では、実際どうなのでしょうか。
これまで”チーム”に関する
先人たちの研究において、
チームをワークさせる要素とは、
一体何であるとされているのでしょう?
このことを探究した論文が
本日のご紹介させていただく、
論文『チームワークに必要な知識・スキル・能力要件:人的資源管理への示唆』
(Stevens, Michael J., and Michael A. Campion. 1994.)
でございます。
■では、早速ですがこの論文、
実際にどのようなことが書かれているのでしょうか。
1994年と、少し前の論文ですが、
なるほど!と感じさせられる項目となっております。
ということで以下、
簡単にポイントをまとめてみたいと思います。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【論文まとめ『チームワークに必要な知識・スキル・能力要件:人的資源管理への示唆』】
<論文の背景>
・「チームワーク」とは、今日
あらゆる種類の組織で注目されている。
・しかし、このワークチームに関しての
採用・教育・報酬・マネジメントを始めとした
ヒューマンリソースマネジメント(HRM)について
サポートシステムが適切に設けられていない課題がある。
<論文の目的>
・以下の2つが論文の目的である。
1)グループに関する文献をレビューし、
チームワークに必要な潜在的な知識・スキル・能力(KSA)要件を明らかにすること
2)チームワークの知識・スキル・能力(KSA)が
人事管理実務に与える影響を導き出すこと
である。
※ちなみに研究では、
チームの「構成員の性格」には注目せず、
職務上必要になる「技術的なKSA」にも注目しないとしている。
チーム内の個々のマネジメントにおけるKSA(知識・スキル・能力)に注目する。
<論文の内容>
上記内容について、過去の文献レビューを通じて、
以下の「チームワークに必要なKSA」を特定した。
その内容は、
2つの領域と、5つのカテゴリ、14のKSAと
わけることができる。
以下詳細である。
**
【対人関係のKSA】
{(A) 紛争解決のKSA}
1. チームの対立を認識し、望ましいものは奨励するが、
望ましくないものは抑止するためのKSA
2. チームが直面する紛争の種類と原因を認識し、
適切な紛争解決策を実行するKSA
3. 従来の分配的(Win-Lose)戦略ではなく、
統合的(Win-Win)な交渉戦略を採用するKSA
{(B) 共同問題解決のKSA}
4. 参加型グループでの問題解決を必要とする状況を把握し、
適切な参加の程度と種類を活用するKSA
5. グループでの協調的な問題解決を阻むものを認識するKSAと
適切な是正措置を実施するKSA
{(C) コミュニケーションのKSA}
6. 通信ネットワークを理解し、可能な限り分散型ネットワークを活用し、
コミュニケーションを強化するKSA
7. オープンかつサポート的なコミュニケーション、
つまり、以下のようなメッセージを発信するKSA
(1) 行動またはイベント指向 (2) 合意、(3) 検証、(4) 連結、(5) 所有
8. 非評価的に話を聞き、
アクティブリスニングのテクニックを適切に使うことができるKSA
9. 非言語メッセージと言語メッセージの協和を最大化し、
他者の非言語メッセージを認識・解釈するためのKSA
10. 挨拶や世間話をする習慣があり、
その重要性を認識しているKSA
***
【セルフマネージメントのKSA】
{(D) 目標設定と業績管理のKSA}
11. 具体的でやりがいがあり、
受け入れられるチーム目標を設定するためのKSA
12. チーム全体のパフォーマンスと
チームメンバー個人のパフォーマンスの両方を監視・評価・フィードバックするKSA
{(E)プランニングとタスクコーディネーションのKSA}
13. チームメンバー間の活動、情報、タスクの相互依存関係を調整し、
同期させるためのKSA
14. チームメンバー個々のタスクと役割の期待値を設定し、
チーム内のワークロードの適切なバランスを確保するためのKSA
※参考:
『チームワークに必要な知識・スキル・能力要件:人的資源管理への示唆』
Stevens, Michael J., and Michael A. Campion. 1994.
"The Knowledge, Skill, and Ability Requirements for Teamwork:
Implications for Human Resource Management.”
Journal of Management 20 (2): 503–30.
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■さて、いかがでしょうか。
少し読みづらい言葉と感じられた方も
いらっしゃるかもしれませんが、
よくよく見てみると、
「なるほど!」と思う内容です。
■個人的に特に
「なるほどなあ」と思ったものが、例えば
”3,Win-LoseではなくWin-Win”
(私かあなたか=分配的ではなく、私もあなたも=統合的な考え)
などはKSAというか、
基本スタンスのような考えですが、
非常に大事なものであると感じます。
確かに、「あなたか私か」みたいなスタンスで
チームに所属していたら、
これは良い結果になりそうもありません。
■あるいは、
【コミュニケーションのKSA】なんかもそう。
”8,アクティブリスニングをする”
”9,非言語メッセージを解釈する”
”10, 世間話をする”
ということが触れられていることも、
実に興味深いです。
実際の論文では、上記それぞれについて
根拠となる論文が示されているわけですが、
・相手の話に耳を傾けることや
・言葉以外のことに意識を向けたり
・何気ない雑談をする
ということの効能が研究結果として示されているわけです。
「最近、元気してる?」
「昨日、飲みすぎちゃってさー」
(10,世間話をする)
と何気ない関係性の潤滑油としての世間話も
チームがワークする上でたしかに大切な要素だと感じます。
■そんな風に
「14つのKSA」を具体的に示し、
かつ
【対人関係のKSA】
{(A) 紛争解決のKSA}
{(B) 共同問題解決のKSA}
{(C) コミュニケーションのKSA}
【セルフマネージメントのKSA】
{(D) 目標設定と業績管理のKSA}
{(E)プランニングとタスクコーディネーションのKSA}
と領域やカテゴリを分けて考えることによって、
自分たちのチームが
どのようなことを理解しているのか、
あるいは理解していないのか
そして何が強みであり、
伸びしろであるのか、についても、
理解をするためのツールになりえると感じます。
■なんとなく「チームワーク」というと、
コミュニケーション増やそうぜ、以上!、
となりがちかもしれませんが、
そんな大雑把なチームワークの考え方の
解像度を高めるためのツールとしても
役に立ちそうです。
皆さんのチームは、
どの領域、カテゴリが強みで、
どんなKSAに伸びしろがありそうでしょうか?
考えてみると、気付きがあるかもしれませんね。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
経済学は己自身の世帯を
やりやすくする科学なり。
セネカ
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【編集後記】
ランニングの後に、大学院の仲間と
銀座駅の地下にある、「サッポロ黒ラベル」が2杯まで
ハイクオリティなサーバーで飲める立ち飲みバーに行きました。
昼11:30からやっていますが、とても贅沢な気持ちになる時間でした。
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