配信日時 2022/12/17 11:29

おもちゃのバスからの学びの拡張 ー1歳の息子から学ぶアクティブ・ラーニングー【カレッジサプリ】

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令和4年12月17日(第3222号)


おもちゃのバスからの学びの拡張 
ー1歳の息子から学ぶアクティブ・ラーニングー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2533字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日金曜日は、1件のアポイント。
夕方からは大学院の授業でした。

また私事ですが、
本日、40歳の誕生日を迎えました。
(パチパチパチ←自分に)

もう40歳かという気持ちと
まだ40歳かという気持ちの両方ですが

人生はまだまだ続きますが
自分なりに毎日楽しみながら
積み重ねていく旅路を楽しみたいと思います。

メルマガお読み頂いている皆様、
いつもありがとうございます!



さて、本日のお話です。

今日は土曜日なのでゆるめのテーマで
お届けしたいと思います。

現在、我が家には
1歳11ヶ月の息子がおります。

例にもれず、車が好きなようです。
その中でも、バスが特にお気に入り。

そういえば、自分も
幼少期の将来なりたい職業に「バスの運転手さん」と
書いていたくらい、車輪には惹きつける何かがあるようです。

今日は、そんな

「息子とバスと学びの話」

をテーマに
成人学習やアクティブ・ラーニングに絡めて
気付きと学びをご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう!


タイトルは、



【おもちゃのバスからの学びの拡張 ー1歳の息子から学ぶアクティブ・ラーニングー】



それでは、どうぞ。



■「何かに没頭する」という姿は、
美しいものです。

年令問わず、
その姿からはエネルギーを感じ、
命を燃やしている雰囲気が伝わってきます。
(おおげさ?)


私もこの3日くらい論文に没頭しており、
気づけば体重が2キロ減っていました。

大変ですし、疲れますが、
充実していた時間でした。



■そんなのを横目に、

1歳11ヶ月の息子も、
あるものに没頭していました。

それが

「サウンドシリーズ サウンド&ライト 都営バス」

というおもちゃのバスです。

長さ30×高さ9.5×幅8cmいう
割りと大きめのバスでして、
かなりリアルに作られています。



■最近、いつも

「ばちゅ、ばちゅ、ばちゅ」
(※バスと発音できない)

連呼をしているので
よほどバスが好きなのだろうと思い、

「早めのクリスマスプレゼントとして
 バスのおもちゃ、あげようか」

と妻と話していました。

せっかくなので
学術的な観点からもセットにして

・『バスがいっぱい!』
・『めくりしかけえほん のりもの どうなってるの? [知育・しかけ絵本]』

などの絵本も併せて購入しよう、
そうやって、”バス関連”に絞って
学びを拡張してみてはどうだろうか、

と考えました。



■そして、いざ購入。

翌々日、

「サウンドシリーズ サウンド&ライト 都営バス」

が届き、目の前に置いた瞬間
彼の目の奥に煌めきが見えました。

それ依頼、
片時も離さず、
バス、バス、バス
とつぶやき続けながら、

・縦・横・ナナメ、
・裏側・上方
・ドアの中身、運転席、

まさにありとあらゆるところから
穴が空くほど、観察をしています。

音がなるボタンを押して
「ドアが締まります。ご注意下さい」
を連呼させています。



■保育園から家に帰ったら、
まずバスのもとへ。

朝、4時位にムクッと起き上がり
てくてく歩いて、バスのもとへ。

寝食を忘れてバスにはまる姿は、

「まさに、没頭するとは
 こういうことか、、、」
 
と感動すら覚えます。

大人こそこういったスタンスから
学ぶことも多いのだろう、

もしこんな風に、
論文に没頭し続けられたら
いいものできそうだな、、、

などと考えてしまいました。



■少し真面目な話をしますと
学問上の定義では、

・大人の学習のことを『アンドラゴジー』
・子供の学習のことを『ペタゴジー』

と区別されます



まず、大人の学習『アンドラゴジー』ですが

その語源はギリシャ語の
「大人(aner)+指導(agogus)」を
組み合わせた言葉です。

アンドラゴジーの特徴は、

アメリカの教育学者ノールズによると
以下の4つにあると言われます。

1,自ら学習計画を立て、自ら評価する
2,自身のこれまで経験が、学習の基盤となる
3,学習の動機が、日常生活や普段の仕事にある
4,問題解決が目的(学ぶことが目的ではない)

とのこと。

大人は、
「自分で関係あることを、自ら学びたい」
といいます。



一方、子供の学習『ペタゴジー』ですが、

その語源はギリシャ語の
「子ども(paid)と指導(agogus)」を
2つから成り立ちます。

ペタゴジーの特徴は
学校教育に見られるように

1、教え導かれる
2,教師が定めたカリキュラムがある
3,教科書に沿って進む

です。

子供は、「先生から学ぶ」のが基本です。



■と、いうように

援助を通じて学びを促す「大人の学習」と
物事を教えこんでいく「子供の学習」

はそれぞれ特徴が違う、
アンドラゴジー、ペタゴジーは区別されている、
というのが基本的な考えでした。


■しかし思います。

基本そうであるとしても、

バスにはまる息子の様子、
そこから急激に学習を促進する様子を思い返します。

色んな絵本があっても
「バス関連だけ食いつきが違う」
わけです。

そして

・サウンド&バスの、ボタンの音声から
 ”タイヤ、ドア、まる”
 ”はっしゃします”
 ”あーとうごじゃいす(ありがとうございます)”
 等の豊富な語彙を獲得しつつあること、

あるいは

・バスの絵本で
 ”あかいバス”
 ”みずたまバス”
 ”くねくねバス”
 ”とえいバス”
 など副詞+名詞の二単語の意味を理解しつつあること
 
、、、

そんなことから見えるように

『バスからの主体的な学びの拡張』

は間違いなく存在しており、
そこにはアンドラゴジーの特徴として見られる

”自ら学習を促進させていく様子”

が感じられていました。



■そう、
子供も大人の学習者に見られる

「自ら学ぶ」

ことを1歳であろうが、
やっぱり行っているわけです。



そしてこのことについて
同じく教育学者ノールズは1970年代に
このように述べました。

”アンドラゴジーは成人だけではなく
 教授法の1つとして子供の教育に取り入れられる”

、、、と。

そしてそれが

「主体的な学び」
「アクティブ・ラーニング」

として発展していったとされます。


■このような学習の歴史を

サウンド&バスからの学びの拡張を
息子を媒介して目の当たりにすることで、
私自身が学ばされたような気がしました。


もちろん幼児の場合、やはり外の世界に
アクセスする手段をもたないため、
 
やはりしばしば言われるように

「学びの拡張」のためには
周りの大人達のサポートが必要、

というのはあるのでしょう。



■しかし、基本路線としてバスに没頭し
その周辺領域を探索する、

・バスの種類(都営バス、水上バス、幼稚園バス)
・バスの構造(運転席、ドア、タイヤ、エンジン)
・その他の乗り物

ことで、

『一つに没頭しながら、
 そこから拡張していく』
『一つに没頭をしながら
 専門性を広げつつ、世界を知る』
 
ということは地続きになっている、
と思いましたし、ぜひ大切にしていきたい、

そんなことを思った次第でございます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

どんな分野の知識でも、それに熟達するには、
隣接するものについて学ばねばならない。
したがって何かを知るには、すべてを知らなければならないのだ。

オリバー・ウェンデル・ホームズ
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【編集後記】
論文没頭期間を経て、昨日はゆっくり眠りました。

本当に論文をコツコツ書ける人、尊敬します。
(自分は仕事が入っていると、そちらに意識がとられて
 考えを深めることがなかなかできません)

このタイミングで仕事が落ち着いて、
こうした没頭ができるのがありがたい限りだな、と思いました。
そして研究者の人の凄さを痛感するこの頃です。

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