配信日時 2022/10/01 12:41

「ポジティブ心理学」と「コーチング」のつながりを紐解く【カレッジサプリ】

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令和4年10月1日(第3145号)


「ポジティブ心理学」と「コーチング」のつながりを紐解く


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3008字/読了時間4分)


■こんにちは。紀藤です。

キンモクセイの香りが、
近くを歩いていると公園から
強く感じられる季節になりました。

日も短くなって、秋、そして気づいたら
冬になっていくのだろうな、とじんわり感じる今日この頃。
1日1日大切に過ごしたいものです。



さて、本日のお話です。

大学院の研究、そしてお仕事でも
1on1、コーチングなどを探求しており、

加えてストレングス・ファインダーなど
「強み」に基づいたアプローチを使って
企業研修などもさせていただいています。


そんな”強み”そして
”コーチング”が立脚している学問領域が

「ポジティブ心理学」と「コーチング心理学」

とされています。

その2つの領域の世界の権威の方々が、
この概念や考え方を概観するための専門書が
日本語に翻訳されているのを発見しました。


それが非常に面白い(学びになる)と
感じております。

こんな書籍です。

『ポジティブ心理学コーチングの実践』
(スージー・グリーン&スタファン・パーマー/編、西垣悦代/監訳)
 https://www.amazon.co.jp/dp/4772417249/ref=cm_sw_r_tw_dp_TEJB3N60A7ZEQRSEMDFF
 



専門書ではありますが、
この領域(コーチングや強みなど)に
興味を持たれている方々にとって

有用な内容になるのだろう、
と感じておりますので、

今日はその本の中から
学びをご共有させていただければと思います。


それではまいりましょう!


タイトルは



【「ポジティブ心理学」と「コーチング」のつながりを紐解く】



それでは、どうぞ。



■ポジティブ心理学という
学問分野があります。

約20年前から
進展してきているこの学問。

そのテーマは

・人生の満足度/幸福、
・動機づけ/達成
・楽観性
・組織における市民性/公平性

とされています。

キーワードは

”持続的な幸福”
(Flourish=繁栄)

とも言います。



■確かに、誰もが
「幸福になりたい」ものだと思います。

幸せか不幸せで言えば、
幸せのほうがいいと
大多数の方は答えると思われますし、

声を大にせずとも、
心のどこかでそれを願っているのでしょう。



■特に昨今は、

経済的な成功などの
”物質的な豊かさ”から、

人とのつながり、達成感、満足感など
”精神的な豊かさ”が大切にされている文脈もあり、

このようなポジティブ心理学の領域が、
ますます注目されているのかと。



■ちなみに、この領域、

”「ポジティブ心理学」という領域は
 「コーチング心理学と」相補的であると定義”
 (Green,2014)

されております。


どちらも少しずつ注目されていますが
このつながりを整理することで、

強みを通じたアプローチの目的や
コーチングのアプローチの目的が、
私自身改めて整理されたように思いました。


ということで、
上記ご紹介した著書より、
その内容についてまとめてみたいと思います。

以下、まとめでございます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【ポジティブ心理学コーチングの実践 まとめ
 ー第1章 ポジティブ心理学コーチング より】
 

<(1)「ポジティブ心理学」と「応用ポジティブ心理学」の違い>

◯「ポジティブ心理学」の定義
”人を最適な機能に導く状況と過程に関する科学”
(Gable&Haidt,2005)

◯「応用ポジティブ心理学」の定義
”ポジティブ心理学の研究を実践へと適用する学問”
 
 

{ちょっと補足&解説}

・ポジティブ心理学は、”科学的な探求”の学問ですが、対して、
 応用ポジティブ心理学は、”それをどのように活かすのか?”を
 研究する学問として、区別されてきています。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

<(2)「ポジティブ心理学」と「コーチング心理学」の違い>

◯ポジティブ心理学の定義
・同上

◯コーチング心理学の定義
”コーチング文脈における行動科学のシステマティックな応用で、
 個人、集団、及び組織における
 人生経験、仕事のパフォーマンス、およびウェルビーイングの増進”
(Grant,2007a)


{ちょっと補足&解説}

・「コーチング心理学」の目的は3つあります。
 1、人生経験の増進、
 2、パフォーマンスの向上
 3,ウェルビーイング(幸福)の増進 とあり
 最後がポジティブ心理学と特に親和性が高いものです。

・そして、「コーチング心理学」は「応用ポジティブ心理学」であると定義付けられています。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

<(3)「応用ポジティブ心理介入」と「エビデンスベースドコーチング」の違い>

◯応用ポジティブ心理介入(PPIs)

・応用ポジティブ心理学の研究を活用した介入施策を
 「応用ポジティブ心理介入(PPIs)と呼びます。
 その定義は以下のように示されています
 
*「応用ポジティブ心理介入(PPIs)」の目的=『PERMA』の養成
 Pleasure:喜び
 Engagment:エンゲージメント
 Relationship:関係性
 Meaning:意味
 Achivement:達成


◯エビデンスベースドコーチング(EBC)

・科学的な理論と研究に基づくものであることを明示されたコーチングのこと。
 根拠に基づかない「普通のコーチング(coaching as usual)」とは一線を画す
 
・”コーチングをいかに伝えるかについて、
 現時点における再考の知見が実践の専門家の判断に統合され
 知的で良心的に用いられたもの”と定義される。(Grant&Stober,2006)

*「エビデンスベースドコーチング(EBC)」の目的=『目標達成』
 個人にとって意味のある目標を設定し、繁栄することを奨励する
 

{ちょっと補足&解説}

・応用ポジティブ心理介入(PPIs)が、
 「PERMA」と呼ばれる喜びやエンゲージメント、関係性等を
 最終的な目的としており、その一部が「達成」と定義されている一方、
 
 エビデンスベースドコーチング(EBC)は
 目標達成を最終的な目的としているところに特徴があります。
 
 EBCの観点からすれば、
 コーチングを通じて目標達成をする道のりにウェルビーイングがあり、
 PPIの観点から見れば
 目標達成をすることによりウェルビーイングのプロセスの一部分が満たされる、
 とも言えるかと思います。
 

※参考:『ポジティブ心理学コーチングの実践』P23-48
(スージー・グリーン&スタファン・パーマー/編、西垣悦代/監訳)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 

■さて、まとめてみましたが、いかがでしょうか。

この領域の厳密な分け方も、
まさに専門書、という感じで

場合によっては「だからなに?」と
ツッコミたくなるかもしません。


しかし、
このように分けて考えることは
理解を深めてくれると感じます。

例えば、

・普通のコーチング(coaching as usual)
・エビデンスベースドコーチング(Evidenced based coaching)

などもそう。


同じコーチング、といっても

「定義の仕方の厳密性は、
 行動や考え方の裏にあるものの深さと広さ」
 
に現れます。

「普通のコーチング」なのか、
(傾聴と承認と質問がコーチングです)

「科学的知見と実践に基づいたエビデンスベースドコーチングです」
(例:コーチングをいかに伝えるかについて、
 現時点における再考の知見が実践の専門家の判断に統合され
 知的で良心的に用いられたもの”と定義される。(Grant&Stober,2006))
 
なのかは、

どちらも意味はあるものであるとはいえ、
その背景にあるものの深さと量は、

検討に携わった人の数も労力も
違う”質”になるのではないか、
と個人的に感じます。



■上記にまつわる定義や目的も

先人の世界中の研究者たちが、
頭を捻りながら検討を重ねたものについて、

敬意を持って探求すること、
その意味を考えることは、

関わる人にとっても
自分の持論と重ねることは、
意義があることなのだろう、

そんなことを感じつつ、
この書籍を読んでおりました。



ということで、本日は

” 「ポジティブ心理学」と
  「コーチング」のつながりを紐解く

ということで

その共通性、また違いを
ご紹介させていただきました。

また別の項目についても、
改めてご紹介させていただければ幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

一方は「これで十分だ」と考えるが、
もう一方は「まだ足りないかもしれない」と考える。
そうしたいわば紙一枚の差が、大きな成果の違いを生む

松下幸之助
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【編集後記】
昨日、妻と共にe-sports等を体験できる
「RED TOKYO TOWER」というところに
ARやVRなどを使った様々なアクティビティや
シミュレーターが体験できるのですが、こうしたことは今後、
教育にも大いに活用されるのだろうなと感じた次第です。
よい学びになりました。

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