配信日時 2022/09/13 10:23

「寄生虫が人を起業家にする」という論文【カレッジサプリ】

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令和4年9月13日(第3127号)


「寄生虫が人を起業家にする」という論文


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 1668字/読了時間2分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日はストレングス・ファインダーの研修実施。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。



さて、早速ですが本日のお話です。

今月2022年10月号のハーバード
ビジネスレビューに興味深い記事がありました。

その内容が、

『ありふれた寄生虫が人を起業家にする』

という記事。

あまり考えない観点で新鮮だな、
と感じましたので今日はこの話に関して、
皆様の学びと気づきをご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、



【「寄生虫が人を起業家にする」という論文】



それでは、どうぞ。



■「トキソプラズマ」という寄生虫がいます。

猫を飼っている方には
馴染みがある名前かもしれません。

鳥獣を中間宿主とし、
猫を終宿主とする寄生虫です。

ゆえに、猫を飼っている人にも
感染する可能性が高くなるようです。

人口の10-50%が感染するそうです。


■さて、この寄生虫の感染により、

「行動変容が起こる」

ことが研究により証明されています。

曰く、ネズミを対象にした研究によると

・ネズミに寄生した
 トキソプラズマは脳に入り込み、
 リスクに対する感度が鈍る
 
・よって、ネズミはより活発になり、
 新しい場所を探検する傾向が強くなり、
 反射神経が鈍くなって、猫や猫の尿の匂いに対する恐怖心が薄れる

とのこと。



■そして、上述の

『ありふれた寄生虫が人を起業家にする』
ダニエル・ラーナー :IEビジネススクール 助教授
(ハーバード・ビジネス・レビュー、2022年10月号)

の研究では上記の特性、

・目新しいものを求める行動
・抑制が聞かないこと
・リスク回避の傾向が減少すること

はまさに「起業家としての資質に重なる」のでは、、、?
ということで関連性を評価したのでした。



■さて、結果わかったことは何か?

それは、

デンマーク人女性7万4291人の
病歴と職歴を調べたところ、

寄生虫のトキソプラズマに感染したことがある人は
感染したことがない人に比べて、

・スタートアップを創業する確率が平均で29%高い、
・複数のベンチャーを設立する確率が27%高い
・単独での企業は2倍以上
・平均的な業績は非感染者に比べ平均8%高い

という結果であった(!)、とのこと。

起業家とトキソプラズマの関連性が、
示唆されています。



■また更に言うと、

人間に関するトキソプラズマの影響には
他の先行研究もあります。

例えば、大学生1500人の唾液を接種し、
トキソプラズマが陽性だった学生は、

・ビジネスを専攻する傾向が平均で1.4倍高い
・経営とアントレプレナーシップを重視したり、学ぶことが1.7倍高い

という結果であったり、

専門職200名を対象にした場合、
起業家である確率が1.8倍高かった、など。



■うーん、なるほど、、、

トキソプラズマによる
ネズミの行動変容は証明されている。

かつ、トキソプラズマによる
人に関する影響もなにかあるようです。



この結果から、論文では、

「ベンチャーキャピタルが
 投資先を選別する際に役立つのでは」

などの有用性が語られていましたが、
それ以外にも個人的に考えさせられました。



■私が個人的に思ったことは、

「人に影響を与えるものの種類の多さ」

でした。

人が何かの行動を取るのには、
いくつもの理由があります。

・本人がもつ比較的変わりづらい特性(パーソナリティ)
・本人が経験から築いてきた価値観/信念
という「個人的な要因」もあれば、

・所属する文化(日本・北米・西欧)などの社会的な望ましさ
・組織における望ましい行動のあり方
という所属する「環境的な要因」もあれば、

・組織における評価基準
・上司からのマネジメントの影響
などの「マネジメント要因」もあり、

人は何かしらの行動を決めています。



■ある人が、

やる気になったり、なくしたり
大胆になったり、慎重になったり、

特定の行動をとる理由は様々な要因が
絡み合っていると思われます。

私がそういった情報を見すぎているからかもしれませんが、
積極的に外にでる、チャレンジをするような

「大胆」とか
「行動的」とか
「チャレンジ精神にあふれている」

というのは、

時に憧れの対照と感じてしまうことも
なきにしもあらずですが、

こういった要素すら
トキソプラズマ(寄生虫)の
生物学的な影響があるという観点は
そうした”特定の行動への執着”に距離をおいて、
自分を見つめさせてくれるようにも思います。



■行動特性にいい悪いを決めているのは
あくまでも我々の価値観であり

”ただそういった特性があるだけ”

と少し距離をおいて考えることで、
変に落ち込んだり、盛り上がったりせずにすむのかも、、、
などとも感じたのでした。


■組織行動や人の行動で

個人やマネジメントや環境の影響は理解していましたが
「寄生虫」という考えはこれまでなく興味深いなあ、思いまして、
共有させていただいた次第でございます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。


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<本日の名言>

われわれの肉体が衣服に包まれているように、
われわれの精神は虚偽に包まれている。

ショウペンハウエル 「幸福のための警句」

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【編集後記】
人の自由意志は大事だけれども、
それ以前に人って動物であり、生き物なんだなあ、
と思う論文でございました。

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