配信日時 2022/08/03 08:57

人を変えようとしつつ、変えようとしない【カレッジサプリ】

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令和4年8月3日(第3086号)


人を変えようとしつつ、変えようとしない


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2026字/読了時間3分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は7件の個別コーチング。
その他、1件のアポイントでした。



さて、本日のお話です。

ここ近日、研修のフォローとして
個別コーチングを連日行っております。

それぞれの方には、
それぞれ人生エピソードがあり、
またそれぞれの悩みがあることを肌で感じております。


その中で、

他者に変化変容をもたらそうと試みる立場として
で改めて大事にしたい、と感じることがありました。

今日はそのお話について
気づきのご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは、



【人を変えようとしつつ、変えようとしない】



それではどうぞ。



■皆さまの職場でも、
「研修」があると思います。

そして、研修で目指すものは

「行動変容」

と言って、概ねよいです。

(もちろんどういった研修か、
 それに投資する主催者の目的によります)


ただし、

たとえば企業において
研修を行う場合は、

「経営」という大きな前提があり、
かつそこに相応の予算、時間を投資するため

「この投資に見合ったリターンは
 得られたのだろうか?」
 
という疑問を持つことは自然なことです。



■では、評価をどう図るのかですが
これもまた設定が難しいものです。


どこを目指すのか、
すなわち”登る山の高さ”の設定は特に難しく、

例えばコーチング研修を実施する、
となったとしても、


・コーチング研修の内容を
 現場で実施してみようと思った

という”研修転移”について
評価されればよしとするのか

あるいは

・コーチングについての
 「自分はできそう」と思える
 自己効力感を高めることができた
 
という意識の変容があれば
よしとするのか、

はたまた、

・コーチングについて
 受け手であるメンバーが関わり方の変化を感じた
 
という行動変容レベルでの
評価が見られたらよしとするのか、


、、、これも、

投資した予算、時間、
また期待する経営へのインパクトを含めて考えると、
またまた難しくなります。


※ちなみに研修評価については、以下の書籍がお勧めです。
 ↓↓
中原淳(2022)『研修開発入門 「研修評価」の教科書――「数字」と「物語」で経営・現場を変える 』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/10766/




■そしてテーマがスキルに関連することであれば
まだ変化は図りやすいのですが、


例えば、

”ミドルシニアのキャリア意識の変化”

等のテーマになると、
これはまた、更に難易度があがります。。


理論的に言えば

・今まで学んできたことを
 「アンラーニング(学習棄却)」することが必要
 
とか

・痛みを伴う「変容的学習」が必要

などになるでしょう。



■、、、ただ、理論ではそうだとしても、

それぞれの人は、
その人の刻んできた歴史の上で
今があることにも気づきます。


もちろん出来たこと、
出来てこなかったことはある中でも

「これまでの文脈」の中で、
それぞれ一生懸命やってきた方のほうが多い、

と(少なくとも私は)感じます。



■そして、人間の心理を考えた時に、

確かに会社としては変容してほしくても、
当人にとっては、合理的な答えとして

・ここか頑張っても、
 今の状況が変えられるかわからない。
 頑張るのはそもそも辛い。
 
 ↓↓
 
・であるならば、”今を受け入れる”という
 マインドに自分をしたほうがよほど合理的
 
となるのは、言われてみれば至極当然です。
 


それぞれの人が歩んできた文脈と
それぞれの人が揺れる心の中で
自分なりに導いた答えについて、

その点の理解をないまま、

「今までのことを
 アンラーニングしましょう」

「これからは変化の時代なので
 自分も変わる必要があります」
 
と言ったとしても、

当然、それらを受け取れるかというと、
そういうものでもない。

そのことを重々理解する必要があるのだろう、

、、、と当たり前のことながら

ここ最近コーチングというかたちで
お一人お一人と対話をさせて頂く中で、
感じさせられています。




■私が未熟なところも
多分にあるのですが、

ことその人の大きな意味でのキャリア、
つまり人生の一部に繋がる場面に関わる場合、


こちら側が

「あなたは変わらなければならない」

というスタンスを出すと、
一気に心のシャッターガラガラになると感じます。

そうではなく、

「今のあなたを全面的に認める。
 その上で、本人がどこかで望んでいるのであれば
 さらなる一歩を踏み出すお手伝いをしたい」
 
というスタンスでいることが伝わらなければ、

そもそも目の前の相手は、
心を開いてくれることもないし
伴走するために、横にも並ばせてもらえない、

と感じています。



■「研修」という組織の文脈に立つと

人の行動変容を目指し、
変化を見せる必要があるものの、


人の心という文脈で言えば
行動変容が必要だからといって、

すぐに変わるものでもない。


こうした理想と現実、
理論と実践の間を行き来しながら、

自分の中で答えを見つようと
頭を悩ませるプロセスが

人や組織を支援しようとする人に
必要なスタンスなのかもしれない、

そんなことを思った次第です。


そして、それらに向き合うためにも、
しかと理論で先人の知恵を借りて
計画をしていきたい、、、と思った次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。


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<本日の名言>

傷つきやすい人間ほど、複雑な鎧帷子(よろいかたびら)を身につけるものだ。
そして往々、この鎖帷子が自分の肌を傷つけてしまう。

三島由紀夫

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【編集後記】
人のお話は実に興味深いです。
同時に自分の人生に関心を持っているかどうか、
が人により結構違うものだ、とも感じるこの頃です。

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