配信日時 2022/07/08 08:45

中間管理職にコーチング研修を行うと、何がどう変わるのか? の研究【カレッジサプリ】

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令和4年7月8日(第3060号)


中間管理職にコーチング研修を行うと、何がどう変わるのか? の研究


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2322字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は終日、リーダーシップチームへの
組織開発ワークショップの実施でした。

”レゴブロックを活用したバリュー浸透”
といテーマで行いましたが、

皆さまの中でバリューへの腹落ち感や
チームの連帯感が生まれたというご感想をいただき、
とても嬉しく思った1日でございました。

(ご参加いただきました皆さま、
 ありがとうございました!)
 


さて、本日のお話です。

今日はある論文からの学びを、
皆さまにご共有させていただければと思います。

とりあげさせていただく論文は

塩澤史枝(2017)『コーチング型職場コミュニケーション研修の効果評価』

でございます。

コーチングを研修で実施される方は
具体的なので、かなりお役に立つのではないかと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、



【中間管理職にコーチング研修を行うと、何がどう変わるのか? の研究】



それでは、どうぞ。



■これまでも何度も
取り上げているコーチング。

こちらは

”中間管理職の部下育成の手法”

として注目されています。


ちなみにその背景として、

日本生産性本部が行った
コミュニケーション意識調査(2014)によると、

・「部下または後輩を褒めている」と答えた上司は”78.4%”、に対して
・「上司は褒めるほうだ」と感じている一般社員は”48.6%”にとどまる
(=上司は”褒めているつもり”になっている?!)

と上司部下のコミュニケーションの間に、
ギャップが生じているようです。


また、厚生労働省の調査(2012)では、
近年の管理職の不足している能力・資質として

・「部下や後継者の指導・育成力(傾聴/対話力)」が61.7%
・ストレスを抱える要因として「職場の人間関係の問題」が
 最多の悩みとされていること

とのことで、

”コミュニケーションの課題”

は章場でも非常に大きいものであり、
それを解決する手法として「コーチング」が注目されています。



■「じゃあ、実際に中間管理職に
2日間のコーチング研修をやってみて、
その効果を測ろうではないか!」

ということで生まれたのが
今回の論文の背景となります。



■そして論文において

・何をを行い
・何を測定し、
・何ががわかったのでしょうか?

以下、簡単に概要をまとめてみます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
論文まとめ「コーチング型職場コミュニケーション研修の効果評価」


<研究の目的>

・中間管理職17名が対象
(東京・神奈川の中小企業13社から選抜/製造業・建設業、小売業)

・職場コミュニケーションの活性化を促すコーチング基本スキルを
 体験学習するプログラムを開発・実施する。そして、その効果を検証する。


<実施内容>

・2回のコーチング研修を実施。
 1回目から、1ヶ月達2回目の研修を実施した。

◯研修1回目にやったこと:
 ・コーチングの哲学を始めとした主要概念の学習
 ・コーチングを実践する上での基本スキルの習得
 (傾聴、質問、3人でのロールプレイング)
 
◯ホームワークでやったこと:
 ・職場での傾聴・質問のスキル実践をする
 ・その時に内容をワークシートに記録する。
 (傾聴・質問の内容、その時の相手の様子、本人のその日の気分について)

◯研修2回目にやったこと:
 ・傾聴・質問スキルの復習
 ・承認の概念の重要性の解説
 ・承認のスキルワーク(Wallの4つのステップ)


<効果測定指標>

1)自己効力感:
  ・ある結果を生み出すために必要な行動を上手く遂行できるという個人の信念(Bandura,1977)。
  →「コーチングをできる!と思えること」
  ※評価尺度「コーチングスキル効力感(25項目)」を使用 
   
2)情動知能:
  ・自己および他者の感情を正確に知覚、理解、統合し、適応的に管理する能力(Goleman,2005)
  ・個人のリーダーシップ行動を予測する重要な要因の一つとされる(David,2005)
  →「自分と他者の感情を理解し、管理できること=コーチング行動に重要」
  ※評価尺度「社会的情動スキル(16項目/石川,2015)」を活用
  
3)組織内自尊感情
  ・組織の成因として自己を有能で価値ある重要な存在と取られる度合い
  ・リーダーシップ開発コーチングを受けることで
   リーダー自身の自尊感情が向上すると報告されている(Hunt&Weintraub,2016)
  ※評価尺度「OBSE-J(組織内自尊感情)(8項目)」を測定
  
  
4)自由記述

・研修受講前に、部下に対する働きかけ、研修受講後に改善していきたい点、
 コーチングを実践して学んだこと、難しかったこと、研修全体に対する感想を記述
 
 
<結果> 
研修前後で比較して、

・「コーチングスキル効力感」が有意に上昇した

・「情動知能」では、社会的情動スキルの中で、
 ”自己の強みの活用”の値が有意に上昇した
 
・「組織内自尊感情」が有意に上昇した


<考察>
今後の課題としては
 
・今回の結果が、対象者が選抜されたことから、
 自然発生的に生まれた可能性もある

・2日間の時間的拘束は厳しい可能性もあるため
 より短い時間での実施が必要
 
・研修終了後からの一定期間を置いての効果の継続を
 検証すること

等を考える必要がある。


※松田チャップマン与理子・石川利江・塩澤史枝(2017)
『コーチング型職場コミュニケーション研修の効果評価』
The effects of coaching-based training on workplace communication skills

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのことでした。



■さて、コーチングについて
組織内で実施をされている方にとっては
たいへん参考になる話では、、、と思います。

(そうではない方も、
 へー、そうなんだ、くらいに
 参考にはなられたのでは(だといいな))
 
 
 
■私の個人的な感想としては、

・何を評価指標として
 コーチングの成果を測っているのか?
(自己効力感/情動知性/自尊感情)
 
・どのような具体的な施策を行ったのか?
 
この2点をかなり具体的に
記載いただけているところが

「そういう観点があるのか!」と
とても参考になりました。



■実際にコーチング研修とは
様々な組織で行われていますが、

このような形で、
行われた内容について、
ある程度開示がされていること、

そして、その結果や振り返りまで
記述されているものを読むことは

”他者の経験を自分のものにできる行為である”

と改めて感じます。


やはり、

『Stand on the shoulders of giant』
(巨人の方に乗れ)

であり、

巨人だけでなく、
あらゆる先人の知見にも乗っていきたいと
思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

いつまでも無知で痛ければ、極めて効果のある方法がある。
自分の取るに足らぬ意見と知識に満足してればいい。

エルバート・ハバード(アメリカの作家/1856-1915)

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【編集後記】
ミニトマトの成長が凄まじいです。
つい枝豆を侵食し、枯らしてしまいました。
生命の爆発を感じます。

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