配信日時 2022/06/26 11:56

今週の一冊『レッド 1969~1972』【カレッジサプリ】

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令和4年6月26日(第3048号)


今週の一冊『レッド 1969~1972』


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2411文字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は午前中大学院の授業。

午後から子供を連れて散歩。
その後10キロのランニングでした。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

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『レッド 1969~1972』

山本直樹(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B00A2MD0GM/ref=cm_sw_r_tw_dp_B7YV82WMCK14X5BRMZ3V?_encoding=UTF8&psc=1

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です。



■1972年に起こった
あさま山荘事件を舞台にした作品です。


内容について書籍から
引用をさせていただくと、
このように紹介されています。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~

革命を目指す若者達の青春群像劇。
この物語の登場人物達は決して特別ではない--。

物語の舞台は1969年から1972年にかけての日本。
ごく普通の若者達が、矛盾に満ちた国家体制を打破するため、
革命運動に身を投じていく。それは、正しいことのはずだった……。激

動の学生運動の行き着く先とはどこなのか!?
全ての世代に捧げる、若き革命家達の青春群像劇。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。



■青春群像劇、とありますが、

当時20歳そこそこだった学生が、
革命という名のもとに運動をしていきます。


その過程の、
組織内での内部の暴行などの様子が、
生々しく、考えさせられるものでした。


しばしば起こる
組織内の不正でも
あるいは暴力事件等でも、

・逆らえない、強圧的なリーダーと
・おかしいと思いつつも、Noと言えない空気

が揃うと

集団内の恐怖や不安の圧力が高まり、
それがエスカレートしていき、
そのまま突き進んで戻れなくなる、、、

という事象が発生すると感じます。



■冷静に考えると、
明らかにおかしい
集団内部での暴行行為。

ちょっとメルマガでは
記載をするのが憚られるような内容ですら

”同士への支援である”

という空気になっていくのは

まさに集団の持つ恐ろしさだな、
と感じさせられます。



■この作品から、
個人的に考えさせられたものは


『グループ・ダイナミクスの”負の側面”』


でした。



■少し話がそれますが、

組織行動論の研究において、
グループ・ダイナミクス(集団が集まることで生まれる力)には
プラス面もマイナス面もあることがわかっています。

そして負の側面には
有名な3つの問題がある、とされ、
それが以下項目とのこと。


<1,集団圧力>
:個人に対して、集団の規範や意見に
 同調するような圧力がかかってしまうような現象のこと
 
<2、集団浅慮>
:1人1人は優秀であっても、その人たちが集まって
 集団で決定することによって、愚かな決断を下してしまうこと。
 
<3,社会的手抜き>
:個人が本来できるはずの努力をしていない、
 あるいは能力を発揮していないために
 集団のパフォーマンスが本来あるべき水準を下回ることがある。
 

とのこと。

今回の『レッド』の舞台となった
あさま山荘事件においては、特に

1,集団圧力
2,集団浅慮

によって、
内部での犠牲者が12名という
事件になってしまいました。

(独裁体制を築いたリーダーの
 コンプレックスなどもあったようですが、、、)



■その他にも、当時の学生が

世の中に対する怒りにも似たエネルギーを
どうして持つことになったのか、
などは興味があるところですし、

その背景にある思想についても、
どうしてそのような力を持つに至ったのか、、、
についても気になるところ。


その点については、
あまり詳しく触れることは
私は出来ませんが、

いずれにせよ、
あさま山荘事件にいたった、

・社会的な背景
・学生たちの当時の感情
・そこから派生した集団の暴走

などを、

事実を元に描いた入門書として
考えさせられた一冊でした。

なお、

・レッド(1~8巻)
・レッド 最後の60日感 そしてあさま山荘へ(1~4巻)
・レッド 最終章 あさま山荘の10日感(1巻)

とシリーズが続きますが、

特に中間部のシリーズが集団の恐ろしさを
感じさせられるパートになっています。

なかなか精神的に重い作品ですが、
大切なメッセージだな、と思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『レッド 1969~1972』

山本直樹(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B00A2MD0GM/ref=cm_sw_r_tw_dp_B7YV82WMCK14X5BRMZ3V?_encoding=UTF8&psc=1

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【編集後記】
読んでいて、これ「組織行動論」だな、と思ってしまいますが、
こういった知識があることで、自分たちが置かれている状況に対して
メタ認知できるようにもなる、と感じます。

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