配信日時 2022/05/31 09:26

「心理的安全性」にまつわる論文まとめ ~目的と高め方/コーチングとの関係~【カレッジサプリ】

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令和4年5月31日(第3022号)


「心理的安全性」にまつわる論文まとめ ~目的と高め方/コーチングとの関係~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2998文字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件のマネジャー向けのコーチング。
その他2件のアポイント。

夜は10キロのランニングでした。

まだ100キロのダメージが抜けきっていないようで
足の付根が痛くなりました。

スイッチが入っているので
走る習慣を維持したいのですが
完全に戻すには、もうしばらく時間が必要そうです。



さて、本日のお話です。

現在、仕事でコーチングのスキルを
お伝えする機会が増えております。


大学院でも同じように
「マネジリアルコーチング論」の授業を受ける機会があり、

実務とアカデミックな内容が相乗効果となって、
実に深い学びができている、と感じております。

そんな中、先日の授業にて
「心理的安全性」について探究する機会があり、
その学びの内容が、
心理的安全性という言葉に対しての理解を深めるとともに、
実務においても役に立つものだと感じました。

、、、と、いうことで
本日はその内容について皆様に
学びをおすそ分けさせていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!


タイトルは



【 「心理的安全性」にまつわる論文まとめ ~目的と高め方/コーチングとの関係~】



それでは、どうぞ。



■「心理的安全性」という言葉。

その言葉の柔らかさからでしょうか。
なんとなく独り歩きしやすいように思えます。

うちの職場は

心理的安全性がない、ある、
必要だ、必要でないなど
色々と話題に上がりやすいものですが、
この言葉について、どれほど理解しているのでしょうか?


、、なんて問うてみると、

”ざっくりこんなイメージ?”

というそれぞれの理解に留まっていること、
ままあるのではなかろうか、と思います。
(自戒を込めて汗)



■ちなみに、

「心理的安全性」とは

こういう意味だそうです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

”支援を求めたりミスを認めたりして、対人関係のリスクをとっても、
 公式、非公式を問わず制裁を受けるような結果にならないと信じられること”
 
(エイミー・C・エドモンドソン(2021)『恐れのない組織』.英知出版.P40)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

とのこと。

(また心理的安全性を測定する法要として
 以下、7つの意識調査の質問が紹介されています。

 <心理的安全性の意識調査>
 1,このチームでミスをしたら、きまって咎められる(R:逆転項目)
 2,このチームでは、メンバーが困難や難題を提起することができる。
 3,このチームの人々は、他と違っていることを認めない。(R)
 4,このチームでは、安心してリスクを取ることができる。
 5,このチームのメンバーには支援を求めにくい。(R)
 6,このチームには、私の努力を踏みにじるような行動を故意にする人は誰もいない。
 7,このチームのメンバーと仕事をするときには、私ならではのスキルと能力が高く評価され、活用されている

 (エイミー・C・エドモンドソン(2021)『恐れのない組織』.英知出版.P47))



■そんな話題の(?)「心理的安全性」。

そんな中「心理的安全性」に関連する文献研究を授業で行い、
心理的安全性に関わるお勧め論文、書籍を皆で紐解きました。

その中で改めて全体像が(まだ入り口ですが)
わかったように感じ、


・「何のための心理的安全性なのか?(目的)」 

・「何があれば心理的安全性が高まるのか?(高め方)」

・「コーチングと心理的安全性のつながりは?(コーチング行動とのつながり)」


について、視野が広がったように感じました。

そしてその知識は現場でもそのまま役に立つ、
と感じております。



■、、、ということで、

それらの論文のポイントを、
ご紹介したいと思いますが、

論文を全部紹介すると、
たいへん長くなってしまうので、

いくつかの私(紀藤)が印象に残った点を
ピックアップしてご共有できればと思います。


3つの論文&書籍から以下ご紹介させていただきます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1)エイミー・エドモンドソン(1999)の論文より

~『Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams』
 (ワークチームにおける心理的安全性と学習行動)より~


<論文のポイント> 
 
●心理的安全性→学習行動→パフォーマンス

・チームの心理的安全性が高まると、チームの学習行動が高まる。
 学習行動が高まれば、チームパフォーマンスが高まる。
 すなわち、心理的安全性とは「パフォーマンス(成果)」に影響している。
 (ここが大事!チームの成果を高めることが目的)
 
●心理的安全性を高める3つの要素

・「チーム構造」
・「コンテクストサポート(=情報や資源の利用可能性と報酬)」
・「上司のコーチング行動」

 これがチームの効力感と心理的安全性を高める。


***


2)オーガニズ(2009)の論文より

~High-quality relationships, psychological safety, and learning from failures in work organizations』
 (職場組織における質の高い人間関係、心理的安全性、失敗からの学習)より


<論文のポイント> 

●心理的安全性→失敗からの学習

・マネジャーは過去の失敗から学ぶことで、危機に対処する能力を高める必要がある。
 心理的安全性は、失敗からの学習と相関している。
 
 
●「質の高い人間関係」は「心理的安全性」に影響する

・質の高い人間関係は、”目標の共有、知識の共有、相互尊重”の3つの次元から成り立つ。
 それらは心理的安全性に影響している
 

***

 
3)書籍『承認とフィードバック』(太田肇)より

<書籍のポイント> 

●「承認」は自己効力感/内発的モチベーションを高める

・存在承認(名前を呼ぶ等)
 行動承認(行動、プロセスを褒める等)
 結果承認(結果を褒める、功績を伝える等)

 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)



■さて、つらつらとまとめてみましたが、
ここから何を強調してお伝えしたいかというと、
大きく2点でございます。


まず1つ目が、


『心理的安全性は、チームの学習を促し、
 ”チームのパフォーマンス(成果)を高める”』


ということ。


つまり「何のためか」という
ゴール地点をぶらさないことが大事です。

職場における心理的安全性が、
何のためにあるか?

それはあくまでも
「チームの成果を高めるため」にある。

決してただ仲良く(乱暴にいえば生ぬるく)
やることではない、とも言えます。


この部分を、複数の論文における

「心理的安全性」→「学習行動or失敗からの学び」→「成果」

という繋がりをみることで、
重要な点が改めて明らかになる、と感じました。



■そして、2つ目。

それは、


『心理的安全性を高める要素は、1つだけではない。
 ただし「コーチング行動」は重要である』
 
 
ということ。

心理的安全性にまつわる論文などを見て、
そこにあるものをまとめてみると、
いくつかの要因が影響を与えていることがわかります。

例えば、

・上司のコーチング行動
・相互尊重の文化
・情報・知識の共有
・目標共有
・報酬制度 他

などなど、複数の要素があげられています。



■ただ、上記のことからまとめて、
心理的安全性を高め、チームの学習行動、そして成果を繋げるためには

マネジャーの「コーチング行動」は
とても重要な鍵の一つである、と言えそうです。

なぜならば部下へのコーチング行動によって


◯”内省支援”を通じた「経験学習」を促進し、能力向上に繋がる

◯”承認”による「自己効力感/内発的モチベーション」が向上する

◯”フィードバック”により「学習行動」が促進される

◯”相互尊重”により「心理的安全性」が向上する


などの様々な影響がある、と語られているから。

コーチング行動には、
「内省支援」「承認」「フィードバック」「相互尊重」などの
要素が含まれているため、

マネジャーが持つ役割の中でも
チームの成果に影響を与える重要な要素のひとつなのであろう、

と言えるかと思います。


、、、ということで、
色々と話が広がってしまいましたが、
皆様の参考になれば幸いです。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

好かれようとしているだけなら、
いつでも何でも妥協する用意があり、
何も達成しないだろう。

マーガレット・サッチャー(イギリスの政治家/1925-2013)

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【編集後記】
肩こりがあまりに激しいため、
低周波治療機を買ってみました。
ちょっとだけ仕事のデスクワークが楽になったような気がします。


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