配信日時 2022/05/27 08:45

ピアコーチング研究から学び(前編) ~同僚同士のコーチングって効果ある?の巻~【カレッジサプリ】

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令和4年5月27日(第3018号)


ピアコーチング研究から学び(前編)
~同僚同士のコーチングって効果ある?の巻~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2758文字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は4件のアポイント。

その他、大学院の論文探し、
夕方は4キロのランニングでした。
(100キロマラソンのリハビリがてら)



さて、本日のお話です。

大学院のプロジェクトに関連して、
論文を読み進めております。
(まだまだ全然足りておりませんが、、、汗)

その中で読んだ論文の中で、

『ピア・コーチング』
(=同僚によるコーチング)

に関するものがありました。


面白い内容でかつ、
職場にも実践出来る話かと思いましたので、

私の意見も入れつつとなりますが
簡単にご紹介させていただければと思います。

それではまいりましょう!


タイトルは



【ピアコーチング研究から学び(前編) ~同僚同士のコーチングって効果ある?の巻~】



それでは、どうぞ。



■「1on1」と呼ばれるように、

職場でも上司が部下に対して

対話を通じて、
傾聴・質問・フィードバック等のスキルを駆使しつつ、
振り返り(内省)を促し、

その能力向上を支援するという手法も、
組織に取り入れられ始めてきているように感じます。



■一方、同時によく聞く話が、

「部下15人いるのですが
 1on1やってるだけで1日終わっちゃいます」
 
とか

「他にも他部署との交渉、業務外の調整、
 諸々あって、やることが多すぎてもう無理です」
 
というプレマネバランスの中で迷い、
悩まれる管理職のお話もしばしば耳にします。


、、、とは言いつつ
じゃあ、どうすればよいの?

というジレンマだらけの状況が
職場において起こっているのも事実。



■では、どうずればよいのでしょうか。

コレ!、という
ウルトラCの必殺技はないと思いますが

その中で一つ考えたいのが、
今回テーマに挙げさせていただく、


『ピア・コーチング』


があります。

Peer=同僚、仲間、対等な人

という意味ですので、
同僚同士コーチングをする、

ということになるわけですね。



■今回、参考にさせて頂く論文

Kathy Kram, Polly Parker(2008)
”Peer Coaching: A Relational Process for Accelerating Career Learning”
(ピア・コーチング:キャリア学習を促進する関係性のプロセス)

において、


・ピア・コーチングがどのような成果につながったのか?

・ピア・コーチングが成功するための要因は何か?

・ピア・コーチングが活用され続けるための3つのプロセスとは?


等について語っており、
この内容が興味深いものでした。



■、、、ということで、
以下簡単にまとめてみたいと思います。

※ざっくり、かつ私の言葉で
 意訳しているところもございますので、
 ご参考程度にしていただければと思います。


(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

”Peer Coaching: A Relational Process for Accelerating Career Learning”
(ピア・コーチング:キャリア学習を促進する関係性のプロセス)のまとめ(前半)


<研究の背景 ーはじめにー>:

・個人個人がキャリア開発に責任を持つようになり、
 キャリア成長の基礎となる学習に重点が置かれている。

・そのためには職場においても学習を支援されるような
 プロセスが組み込まれていなければならない。
  
・一方、多くの労働者は、キャリア適応力や能力を維持するための
 学習ニーズに対して、満足いくサポートを得られていない。
 
・そこで「ピア・コーチング」を紹介したい。
 これはインパクトが大きく、即時性があり、低コストで、
 かつ簡単に習得できるものだ。
  
  

<なぜピア・コーチングなのか?>

◯キャリア形成に”関係性”が影響するから:

・人は他者と相互作用で学習をしていく。
 他者とのつながりで、目的、ビジョン、自己理解などを得る。
 アイデンティティなども他者との相互作用を通じて再形成される。
 

◯メンタリングの欠点を補えるから:

・メンタリング(上司の個人への支援)は
 個人の学習を促進して、上司との関係性を良好にし、
 心理的満足感を高め(自尊心を高める、仕事の受容を高める)
 組織市民行動を高め(仕事の役割以外に役立つ行動を増やす)
 という。

・しかし、一部の従業員を選抜することにもなる。
 (時間がない、という現実的な問題ですね)

・よって正式なピア・コーチングの関係を導入することで
 その点を補うことができるようになる。
 
  

<ピア・コーチングにおいて重要なこと>


1)仲間の地位が同等であること

2)両者の個人的・職業的な成長に焦点を当てること

3)振り返りと実践をすること

4)プロセスに注目すること

5)キャリア学習を加速させること




<ピア・コーチングの研究内容>

◯対象:
・リーダーシップの大学院生クラス(MBA) 209名


◯方法:
・クラスでの活動(体験型授業や、テストや演習)において、
 1)学びや反応の共有、2)お互いの自己評価のプロセスを助け合う
 ようなピアコーチングを実施した。
 
・上記について「ピア・コーチングから得られる成果」
 「ピア・コーチング体験を促進する要因」を理解するために
 アンケートを実施した。
 
◯アンケ―ト内容
「ピアコーチを選ぶ際にどの程度意見を述べたか?」 
「ピア・コーチングの経験にどの程度満足しましたか?」
「ピアラーニングプロセスは、あなたが経験した他の学習形態と比較してどうでしたか?」
「ピア・コーチングのプロセスからどのような影響を受けましたか?」



<ピア・コーチングの結果・影響>

アンケートを行った結果、
以下のような定性的データがあつまった。
 
 
◯ピア・コーチングの影響

・変化への対応に成功した

・個人的な目標や仕事上の目標をサポートした

・信頼感が向上した

・セルフイメージの精度が向上した

・スキルが開発された

・エンパワーメント(本来の能力発揮)が育成された


※Kathy Kram, Polly Parker(2008)Peer Coaching: A Relational Process for Accelerating Career Learning
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)


とのこと。



■さて、いかがでしょうか。

実感として

”仲間と対話をすることは、
 自分の学びに役立つ”
 
という感覚をお持ちの方は、
私だけではないと思いますし、

それを研究を通じて、
改めて言語化してくれているような気もします。



■まさに私も今大学院で授業を受けていますが


・「あの授業、どう思った?」(反応)

・「あの授業から、どんな事学んだ?」(学習)


という対話をしたり、
あるいは何かしらのアウトプットを出す時に


「これ、自分では割とできていると思うけど、
 客観的に見て、どう評価されると思う?」(自己評価のプロセスの助け合い)

 
などがあると、

まさに

・変化に対応したり
・信頼感が向上したり、
・セルフメージが向上したり、
・エンパワーメントが育成される

という変化を感じます。


そしてそれは、もちろん
仕事上にも通ずることがある、

と思います。



■、、、といいつつ、

じゃあ、とりあえず
ピア・コーチングをやっておけばよいか?
というと、そういうわけでもありません。

やはり、

・ピア・コーチングを成功させるための要因

・ピア・コーチングを継続させるためのプロセス

などもあるわけです。

論文の後半ではこのことについて
書かれておりますので、その内容については
明日に続けたいと思います。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

成功を自分一人の努力によるものだと主張することは、
浅はかで傲慢なことだ。どんな優れた業績も、多くの人と手と心と、
頭に助けてもらって、初めて可能になるのだから。

ウォルト・ディズニー(1901-1966)

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【編集後記】
6月はかなり仕事が忙しい感じですが(言い訳)、
大学院のプロジェクトもいよいよ介入に差し掛かってきたので
今後を見据えて、論文の読解も積み重ねていきたいと思います。
これもマラソンみたいなもの。


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