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令和4年5月24日(第3015号)
野辺山ウルトラマラソンを振り返る(後編)~学んだ3つの教訓~
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2653文字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日に引き続き、
野辺山ウルトラマラソンについて
「後編」をお届けしたいと思います。
前編はこちら
↓↓
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4194224/
タイトルは
【野辺山ウルトラマラソンを振り返る(後編)~学んだ3つの教訓~】
それでは、どうぞ。
■60キロを過ぎた頃になると、
自分のペースが予想以上に遅いことに
ようやく気づき始めました。
そしてそこからは
「馬越峠」
と呼ばれるこのレースの山場に続く、
激坂の始まりになります。
そこまで走ってきてヘトヘトな状況で
約1000メートルの登り。
途中からは峠道となり
勾配も更に険しくなります。
■その山道に入る手前で、
仲間と出会います。
今回ウルトラマラソンに初出場の
Tさんと出会いました。
彼はフルマラソンのサブ3(3時間切り)という
記録をかつてされたランナー。
一度50キロの練習を
共にしたことがありました。
アツくも、優しいナイスガイです。
*
そんな彼に出会い、
60キロ地点くらいから、
自分が抜かれてから
近くにいたようです。
■それまで
「過去の自分のタイムを
超えられない」
とわかってから、
目の前の目標を
どのように組み立てればよいのか
迷っていた自分にとって、
Tさんとの出会いは
拠り所に鳴るように思えました。
自分の視線の先に
彼の姿があるときは、
「彼に置いていかれないように、
少しでも差を縮められるように」
と思い、
彼が歩き始めたときは
「自分は亀だ。
走り続けて、追いつくのだ」
と自然と言い聞かせて、
遅くなる足取りに発破をかけました。
■それまで見失っていた目標や
「完走する」
という目標が
Tさんの存在を介して
”今ここの、目の前の目標”
として想起させ、
「一歩でも前へ」
「一秒でもタイムを短く」
と自分に言い聞かせる着火剤になった、
そんな感覚です。
■先の先は見えなくても、
今この瞬間のゴールは追いかけることはできる。
自分の作ったペース表通りに
走ることはできなくとも、
目の前のTさんの背中は、
今の自分が頑張って追いつける。
そう思ってからが
今回のウルトラマラソンが
「始まった」と思いました。
■75キロで抜かれ
その後の下りで
圧倒的に差をつけられて、
彼の背中が見えなくなっても、
彼の姿をイメージして
歩みを進めました。
■91キロ地点で、
Tさんの後ろ姿を捉えて、
最後の上り坂でTさんと並び、
そして彼より前に出ました。
そして、その後も
彼の背後からの歩みを想像し、
自分自身に、
「一歩でも前へ」
「一秒でもタイムを短く」
と言い聞かせて走りました。
■そうしてゴールまでの距離を、
何度走っても厳しく
歩きたくなる気持ちを抑え、
足を出し続けました。
頭の中には、
『ZARD「負けないで」』
が延々とリピートされています。
気持ち悪い、辞めたい
一歩でも前へ、必ず終わりはくる、
色んな思いとZARDが混ざり合い、
加えて、その思考の合間に
子供に最近聞かせている
『はたらくくるま』なる陽気な子供ソングが
頭の中で流れて、頭はカオスでした。
■そうして、
日が落ちる頃、ゴール。
タイムは、13時間33分。
制限時間の約30分前であり、
これまでで、最も遅い記録でした。
しかし、精神的に厳しく
自分自身に問い続けたレースでもありました。
■さて、この
ウルトラマラソンを振り返り、
考えたこと、そして教訓として
学んだことがあります。
*
大きく3つです。
1つ目が、
『コミットできる目標を持つ』
ことです。
今回、精神的に厳しかったのは、
当初のレース計画が
最初の10キロで達成不可能と
わかったことです。
ここから60キロ地点まで、
何を軸にしたら良いかわからず
”心がさまよう時間”がありました。
レースに参加しているのに
レースに心から参加していない、
という消化試合のような、
中ぶらりんの状態、
その中でただ抜かされていくときが
精神的にいちばん辛かったのです。
そういった意味では
”レースが始まる前から、
自分の力量を正しく見極め、
適切な目標を設定する必要がある”
と思いましたし、
同時に、
”自分がコミットできる目標に
すぐに切り替えられる力”
も重要と感じました。
■そして、2つ目です。
それは、
『”今この瞬間の目標”を持つ』
ことです。
今回のレースは、
Tさんの存在が非常に大きかった。
どんなレースでも
自己ベストでも、完走どちらを目指すにも
”「今この瞬間の自分」を
奮い立たせる目標や言葉”
が必要だと、今回改めて感じました。
大きな目標も
目の前の行動の積み重ねでしか、
達成されることはありません。
そんな時に、
今回でいうような
・Tさんの背中
・一歩でも前へという言葉
があるからこそ、
この瞬間の活力へとつなげ、
前に進むことができるのだと思います。
■そして最後、3つ目。
それが、
『準備が8割である』
ということです。
マラソンとか、
ウルトラマラソンというと、
「諦めない心」にスポットが当てられる印象があります。
ただ、その諦めない心などは、
結果に対しては、全体の2割程度です。
それよりも、
「レースに出場すると決めること」を含めて、
・当日まで、どれだけ準備をしてきたのか
・走るために、どのように、
日常の生活をマネジメントしてきたのか
・そして、それらの日常の行為を
弛まずに繰り返し続けてきたのか
が問われる、ということです。
■そういう意味で言えば、
月並みですが、
マラソンとは始まる前からが
レースであり、
そのための日々の時間全てが
そこに現れる、
と言えるのでしょう。
記録だけがウルトラマラソンから
得るものではないですが、
そのような黄金率を、
改めて思い知らされたように感じました。
■、、、とはいいつつ、
最後にまとめとして、話を覆すようですが、
「最後2割にこそ、
心の強さが現れる」
とも思います。
残り3キロで歩く人。
ボロボロでも走り続ける人。
様々なのですが、
ゴールできるかできないか、
という瀬戸際にいる場合、
どちらの結果になるかは、
人によるとつくづく思います。
(そしてそれが完走できるかどうかを分かつのです)
私も、
途中まで見失っていた目標や
超えられない過去と邪魔をするプライドの中で、
「今ここの目標に切り替える」
「残り3分の1は、たとえ周りが歩いていても
自分は歩かない」
と決めて走ることができなければ、
レースの結果もどう転ぶかはわからなかった、
といえるかも知れません。
■ゆえに、色々思うところはありましたが、
なんとか完走をできたことは
自分自身を認めてあげたい、
と思いました。
■来年は大学院も卒業(のはず)
気合を入れて、
自己ベスト達成できるよう、
これから次のレースに向けて
走り始めたい、
と思います。
そしてそれより前に、
大学院のプロジェクトという目の前の峠を登るべく
こちらも目の前のゴールを見定め、
走っていきたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
最高の収穫と最大の喜びを手に入れる秘訣とは、
冒険的な生き方をすることなのだ
フリードリヒ・ニーチェ(ドイツの哲学者/1844-1900)
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【編集後記】
無事ゴールが出来てホッとしています。
10回完走した暁の「デカフォレスト」まであと6回。
ウルトラマラソン後は、ものすごい常に眠い&お腹が空きます。
ああ、人間って生き物なんだな、と思います。
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