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令和4年5月23日(第3014号)
野辺山ウルトラマラソンを振り返る(前編)~衰えていた自分との対峙の巻~
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2705文字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
日曜日は朝5:00から
野辺山ウルトラマラソン(100キロ)でした。
そもそもフルマラソンでも
「よくやるなあ」と思われる中、
更にマニアックなウルトラマラソンという競技(?)について
「ウルトラマラソンに
参加し、走るとはこんな感じなんだ」
と覗き見感覚で
見ていただければ嬉しく存じます。
それでは参りましょう!
(今回は色々ありまして、特に長いです。
先に謝っておきます、、、苦笑)
タイトルは
【野辺山ウルトラマラソンを振り返る(前編)~衰えていた自分との対峙の巻~】
それでは、どうぞ。
■野辺山ウルトラマラソン。
100キロのウルトラマラソンはいくつかありますが、
その中でも当マラソンは
・最高点の標高が1,908mに及ぶ
本大会の八ヶ岳近辺の周回コースは高地トレーニングエリアとして開発されている。
・さらに最大高低差が1,000m以上あるなどアップダウン(勾配)が厳しいことから
国内の100kmレースでは屈指の難コースとも言われる。
・「野辺山を制する者はウルトラを制する」と評されている。
・100kmの部の完走率は、毎年60%~70%である。
(Wikipediaより)
と評されているコースです。
平たく言えば、
「めちゃキツい」
ということかでしょうか(笑)
■ちなみに私は、
ちょっとした自慢なのですが
2017,2018,2019年と
過去3回参加しました。
*
4回目なので、
一緒に参加する初参加のメンバーに
「あー、60キロくらいからが本番だからね。
足を残しておかないとですね!」
なんて、先輩面したランナー気取りでおりました。
(それが後々、後悔するとも知らずに、、、)
*
ちなみに、今回は友人の会社の
ランニング部の仲間と合計8名のメンバーと参加しました。
これまで1~2度、練習を共にしてきましたが
1人を除いて、あとは皆、
ウルトラマラソンは初めての参加です。
■皆が意気揚々としてる中、
冷静に自分の現状を理解考えると、
実は、今回は複雑な気持ちがするレースでした。
、、、というのも、過去のタイムを見ると、
2017年 タイム:12時間26分
↓
2018年 タイム;12時間7分
↓
2019年 タイム:11時間31分
と自己ベストを更新し続けていたから。
■できれば、
自分のこだわりとして
自分ベストを出したい。
しかし、同時に、今の状態では
不可能であることもわかっていました。
子供が生まれた、とか
大学院に通い始めた、とか、全部言い訳ですが
結局走ってなかった、ということです(汗)
■ただそれでも、完走するだけでよいのか?
と自分に問います。
今の状態で出し切れる限界で
達成できる目標を設定しよう。
そう思って「12時間30分」を
目標タイムとしてレース計画を組み立てました。
■そして、日曜日のレース当日。
朝5:00。
霧がかった山と、
日本で一番高い標高の駅。
首にぶら下げた100キロにおける、
1キロごとのラップ表を見返します。
第1ウェーブ 5:00スタートと、
第2ウェーブ 5:15スタートでわかれており、
私は過去の記録から
第1ウェーブとなりました。
そして、レースがスタートしました。
■例年と比べて、
コロナ禍の対策もあり、
応援は控えられています。
合計3000名近くの出場者がいますが、
いつもより落ち着いて見えました。
*
ドキドキはありません。
ただ100キロ続くこれからの道のりに対して、
足がつる、怪我をするなどトラブルがないように、
ただし、その中でも
自分のベストを尽くせるようにと、
慌てず焦らず、
粛々と歩みを重ねよう、という気持ちです。
■始まって数キロは、
霧がかかった高原で、
朝日がぼんやりとにじむ薄暗い中を走ります。
5キロ地点くらいまでは
皆がアップがてら走ります。
集団がいくつも出来ますが、
無理に先頭集団に合わせると、
後半に響くため、自分のペースを守ろう、と
レース表を見て、
計画通りに走ろうとします。
5キロまでは順調。
うん、いい感じだ。
■そして6キロ地点から、
登りの山道が始まりました。
ここは1キロ7:00ペース。
自分の気持ちよく走れるペースで走って、
それくらいでいけるはずだ。
過去の大会の記録と、
自分の今の走力を鑑みて、
計算をしたペース表でした。
、、、が、ピロリーンと、
9キロ地点の経過を知らせる
ランニングウォッチが鳴らす時計を見て、
はっとさせられます。
1キロ7:00の予定が
1キロ9:00かかっていました。
■また1キロ走ると、
ペース表にある計画では
1キロ8:00ペースとなっているところが
1キロ10:00かかっていました。
、、、ここに来て、理解します。
自分の走力が
予想以上に衰えていた、と。
■その時点で、
計画したペース表は
役に立たなくなりました。
目標をプランBへと変更して、
まず完走をすることを目指そう、
と思い直しました。
■、、、しかし、
一度決めた目標が失われた後の
1キロの旅路は、とても長いのです。
完走するなら、
どれくらいのペースで走れば”間に合う”のだろう。
まあこれくらいで足を残したほうがいいか、、、
そう思っていると、ずるずると
ペースが遅くなっていく気がして、
第1ウェーブ(早い人)の集団にいたはずの自分は、
瞬く間に遅れを取っていき
どんどん後続に抜かされていきました。
■42キロを過ぎ、50キロを過ぎ、
やっぱり例年元気だった場所でも
明らかに疲れている、
足が重たい、
体が動きづらい自分を感じていました。
加えて、何か心もとない、
過去の自分は超えられないし、
抜かれていく自分もいる。
かといって早く走ることもできない。
■前日、合宿で一緒に御飯を食べ、
同じ部屋ですごした仲間たちにも
(第2ウェーブの後からスタート)
次々抜かされていきました。
昨日「60キロ地点から勝負だよね」などと
言っていた自分を恥ずかしく思います。
*
頭の中で雑念がよぎります。
正直、これまでは
一緒に走る仲間の中では、
比較的早い方だったはず。
これまでは全体でも
上位20%には入るタイムでもあった。
最もダサい。過去の栄光にすがるという自分に
その時、正になっていました。
■走っている今この瞬間の自分は
あのとき全く違う。
走りながら、この現実が
自分のプライドを言い訳に変え、
走る目標を霞ませ、
自分自身との勝負のはずなのに、
誰かとの比較をする自分に己自身の小ささを感じさせ、
情けなさをどこかで感じていました。
ただただ大きな流れに沿って
足を動かしている、
そんな感覚にもなりました。
■そうして60キロもすぎる、
ふと見渡すと周りには
第1ウェーブ(ゼッケンが灰色)の人が
殆ど見られなくなっていました。
見る人見る人、
第2ウェーブ(ゼッケンが黄色)の人ばかりに
なっていました。
灰色の人のほうがスタートも早い、
ゆえに、制限時間も早いのです。
ゆえに、周りのゼッケンが黄色ばかりというのは
完走に対しての”黄色信号”とも言えるわけです。
■そのことを、
遅まきながら理解して
初めて「走っている自分」に
意識が戻ってきたように思いました。
どこか完走は当たり前と、
思ってきたのではないだろうか。
一歩でも前へ、という気持ちを
失っていたのではないだろうか。
抜かれても仕方ないと、
どこか諦めていたのではないか。
今できる限りのことを
本当にやろうとしていたのだろうか。
、、、
そんなことが頭をよぎった時、
初めてプランBの「完走する」が
リアルな目標としてセットされた気がしました。
いつの間にか、
余裕だと思っていた制限時間までも
決して余裕ではなく、
何か1アクシデントあれば
間に合わない状況になっていました。
後半へ続きます。
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<本日の名言>
自惚れは進歩の障害である。
ディオゲネス(古代ギリシャの哲学者/BC412ー323)
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【編集後記】
何度走っても、ウルトラマラソンは大変です。
どんなレースでも、そのたびに気付きがあります。
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