配信日時 2022/05/01 17:42

今週の一冊『越境学習入門  組織を強くする「冒険人材」の育て方』【カレッジサプリ】

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令和4年5月1日(第2992号)


今週の一冊『越境学習入門  組織を強くする「冒険人材」の育て方』


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2331文字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

GW3日目ですね。
昨日東京は良い天気でしたので
家族で近所の公園で散歩など。
平和な1日でごあいました

そろそろ勉強しないと、
大学院の課題の方が危なそうなので、
これから頑張ります(汗)



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

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『越境学習入門  組織を強くする「冒険人材」の育て方』

石山 恒貴  (著), 伊達洋駆  (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4820729950/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_17RH1E22ER83HZDCH421?_encoding=UTF8&psc=1

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でございます。



■皆さまは、「越境学習」という言葉、
聞かれたことはありますでしょうか?


「越境」するとはすなわち、

すなわち、

”自分の居心地のよい
いつもの環境(=ホーム)”

を離れて

”慣れなくて、居心地が悪く、
自分のこれまでのルールが通じない環境(=アウェイ)
 
へと、まさに言葉通り
「境界を越えること」を意味します。


■名言風に言えば

「障子を開けてみよ、外は広いぞ by豊田佐吉」

という感じでしょうか。



■いつもと違う場所に
自分の身を置くことは、心地よくはありません。

私事で恐縮ですが、
今大学院に行っていますが、
当初はめちゃくちゃアウェイ感を覚えていたのが
まさに当てはまります。

みんな賢そうにみえるし(てか実際そう)、
まとめるのも上手。



、、、しかし、

その違和感を覚えて、
葛藤と痛みがあるからこそ、

学習が促進されていくし、
新たなやり方を個人と組織に持ち帰るからこそ、
レベルを上げることができる、

ということも1年たち理解しました。


■そんな、

「ホームとアウェイを往還することで
 生まれる葛藤が学習効果をもたらす」
 
という作用を、『越境学習』と呼びます。



■さて、この「越境学習」。

ここまでお伝えして
「その通りだよね」と実感を伴って
感じられた方も、少なくないのでは、と思います。

というのも、皆さまもこれまで
学校が変わる、異動する、転職するなど、

環境の変化、つまり、

”自分が普段と違う場所に行き、
 違った価値観に触れることで、
 自分がレベルアップする感じ”
 
を覚えたことがあるはずだから。



■そしてそれは、
仕事でも、仕事以外でもどこそこに転がっています。

書籍では「越境学習の種類」を考える参考として、
以下の4つのテーマを紹介しています。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
越境学習の種類 <人生の活動の4つのワーク>

1)有給ワーク
・雇用
・自営
・兼業・副業など

2)学習・趣味ワーク
・学び直し
・趣味・サークル
・リカレント教育
・社会人大学院
・勉強会など

3)家庭ワーク
・家事
・育児
・介護など

4)ギフト・地域ワーク
・ボランティア
・地域活動
・NPO
・社会活動など

※『越境学習入門  組織を強くする「冒険人材」の育て方』P33
 Handy,C,B(1995)The Age of Paradoxより

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


上記の4つのワークは、

特に人生が長期化する中で
人が持つ様々な役割を「ワーク」として
整理をしたものであるそうです。

そして、上記の4つのワークには

『越境学習』

のきっかけが大いにあるとも言えます。



■例えば、

・社会人大学院
・育児や介護
・地域活動(PTAなど)

などを通じて、

・自分の当たり前が壊される感覚、
(=ものの見方の変化)

・違った自分自身の発見
(=自己認識の変容)

・それに伴った葛藤や痛み
(=新しい場所で価値を提供しようとするプロセス)

などが起こります。

それは直接の仕事ではないけれども、
「仕事そのものの取り組み方」にもインパクトを与えてしまうような、
強い作用がある学びです。



■ただし、それは

「狙ってできるもの」とか
「効率的な学び」とは対極にあります。

何が起こるかわからない、、、
偶発的で、非効率的だけども、
大きな学習が起こりうる。

そんなものが「越境学習」なのです。



■そして「越境学習」がもたらす効果とは


「個人の成長」
(主体性、リーダーシップ発揮、
 多様な人とのコミュニケーション、挑戦する姿勢、
 キャリア発達)

にも役立つのはもちろんのこと、


「組織の成長」
(イノベーション)

にも繋がることがわかっています。



■例えばですが、

長年一社に勤め上げきた
社員で集まった集団がいたとすると、

「組織の価値観≒自分たちの価値観」

となっていることも
少なくはないかと思います。

皆が同質性を追求していくと
効率性は高まり、意思決定もしやすくなる。


それは、既に価値提供をできている
既存のビジネスを「深化」させることは
得意だとしても、


新しい領域を「探索」し
イノベーションを起こすということは、
苦手であることもしばしば。



■そこには、居心地の悪さや
異質性が求められるのです。


有名な話を引用させていただくと、
「探索」「イノベーション」とは、

明治維新期に岩倉使節団が
アメリカ、ヨーロッパへと派遣され、

その文明の違いに大きな衝撃を受けつつも、
(=越境学習の「往」)

同行した留学生が、帰国後に
政治・経済・科学・教育・文化などで活躍し
日本の文明開化に貢献したこと
(=越境学習の「還」)

ようなもの。


そこには、

1)旅人が冒険にいく
 (組織内から外へ出る)

2)得たことを持ち帰り組織の中で科学反応を起こす
 (外から組織内に戻り、イノベーションを起こす)

という「往還」のプロセスで行われます。

そして、「往」にも「還」にも、
”どちらにも痛みを伴う”のです。



■行った先(往)では、自分の価値観が
ガラガラと打ち崩され、そこから再構築をはかり、

戻った先(還)では、自分の見てきた違った価値観を
同質性が高い集団に伝えようとするのに
抵抗を受け、説得に時間がかかり、
骨を折ることになる可能性もある。


ただし、今のように
『両利きの経営』で言われる
「深化」と「探索」の

”探索(=イノベーション)が
求められている今”

だからこそ、このような
「越境学習の考え方が必要とされている」

とも著書では述べています。



■今回ご紹介の書籍「越境学習入門」では、
そんなインパクトをもたらしうる、

・越境学習とはそもそも何か?

・なぜ今、越境学習が求められるのか?

・越境学習で(個人や組織に)何が起きるのか?

などを、学習理論なども踏まえつつ
わかりやすく解説してくれています。



■本を読むことによって、

一学習者としての越境学習の必要性も
組織内における越境学習の必要性も、
感じることができる一冊かと存じます。

越境学習、その痛みを当たり前のものとして
自分を成長させ続けたい、

そんな風に私も思った次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『越境学習入門  組織を強くする「冒険人材」の育て方』

石山 恒貴  (著), 伊達洋駆  (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4820729950/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_17RH1E22ER83HZDCH421?_encoding=UTF8&psc=1

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【編集後記】
先日久しぶりに、異業種交流会に参加しましたが、とても刺激的でした。
自分だけの世界だとどうしても閉じこもってしまうことを改めて実感。
本を読むだけではなく、いろんな人と会って、話したい熱が高まっているこの頃です。


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