配信日時 2022/03/09 09:28

研究だからと言って、信じてはいけない?! ~エビデンスのレベルの測り方~【カレッジサプリ】

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令和4年3月9日(第2939号)


研究だからと言って、信じてはいけない?! ~エビデンスのレベルの測り方~

サブタイトル:書籍『組織におけるストレングスベースのリーダーシップ・コーチング』を読み解く(8)
第5章 ポジティブなアプローチのリーダーシップ開発への有効性の証拠 (前半)
 

株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2145字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。

その他はまだまとまっていない
大学院の研究計画の資料についてまとめなど。

考えるほどに迷宮に迷い込む
この感じに焦りを覚えつつ、

ちょっとずつ視点が広がっている感じもして、
なかなかに楽しいものです。

せっかくなので、楽しみつつ
進めたいと思います。

(と言い聞かせる、の巻)



さて、本日のお話です。


先日よりお届けしております、

「組織におけるストレングスベースの
 リーダーシップ・コーチング」

『Strength-Based Leadership Coaching in Organizations
An Evidence-Based Guide to Positive Leadership Development』
https://www.amazon.co.jp/dp/B01CEFQWMI/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_WFSJHK5H0CHCFSB5WMK9

について、本日もお届けしたいと思います。


本日は「第5章 ポジティブなアプローチのリーダーシップ開発への有効性の証拠」
の前半です。

”強みアプローチ”というものの、

それは本当に有効なのか?
それを証明する証拠はなんなのか?

についてご紹介させていただきます。

それでは早速まいりましょう!


タイトルは、



【研究だからと言って、信じてはいけない?! ~エビデンスのレベルの測り方~】



それでは、どうぞ。



■ほにゃらら”理論”によると、とか
XXXの”先行研究”によると、

などと示されると、
妙に説得力を感じてしまいます。


特に、私もこれまで
海外の横文字の名前で

(Briner and Rousseau,2011)

などと出典を書かれると、
盲目的に信頼をしてしまっていた側面があるように、
振り返り感じておりました。



■、、、しかしながら、

先行研究といったとしても、
その「信頼のレベル」はまちまちなわけです。

リーダーシップ開発に対する
コーチング研究やポジティブアプローチの研究も
たくさん存在しています。

しかし、それらを見ていく上で
その「信頼のレベル」を理解することは、

効果的な介入施策を考える上でも、
大変重要なのです。



■今回ご紹介の書籍の第5章、

「ポジティブなアプローチの
 リーダーシップ開発への有効性の証拠」

において、そんな

『有効性の証拠(エビデンス)』

を探求していく内容となっており、
中々に興味深いです。


以下、早速内容を見てまいりましょう。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<「エビデンスのレベル」をなぜ知る必要があるのか?>


◯はじめに

・コーチングは効果的なリーダーシップ開発手法であり、
 職場で有効だとする証拠はたくさんでてきている。

・しかしながら、その結果をどれくらい信頼できるかを測るためには
 「エビデンスのレベル」を知る必要がある。

・なぜならば、コーチング以外の介入の影響、
 プラセボ効果、その他のバイアスなどもあるため、
 純粋なコーチングの効果を知るためにも、各研究含め、その点も厳密に見ていきたい。



<「エビデンスのレベル」の測り方とは?>


・あらゆる研究においてすべてのエビデンスが同等というわけではない。
・ではどうすればエビデンスのレベルを測ることができるのか?

・医学で知られているエビデンスのアプローチを
 組織心理学に導入・発展させたモデルがある。
 (Briner and Rousseau,2011)

・以下、エビデンスのアプローチ(測り方)としてまとめる。


1)メタ分析
・複数の研究を組み合わせることで、被験者の数を大幅に増やす。
・結果、少人数の研究では見えなかった小さな効果も観察ができる。

2)無作為化比較実験(RCT)(被験者間デザイン)
・実験群と対照群への参加を“無作為”とするもの。
・参加者が「自分で選択して参加するバイアス」を排除できる。

3)非無作為化比較実験(被験者間デザイン)
・上記と対象的に、組織の事情などで配置される。
・実験群と対照群にばらつきが生じる可能性があるので、調整が必要。

4)被験者内デザイン
・コーチングを受けた人々の「パフォーマンス指標」を“事前事後”で比較する。
(ただし、他の影響もあるもの。純粋にコーチングの効果だけを抽出するのは難しい)

5)ケーススタディ
・コーチングを受けた人々の「個人」を“事前事後”で比較する。
(その人がどう変わったのかと大きくみるため、新しい仮説が得られることも多い)

6)アンケートデータ
・コーチや参加者に、コーチングの効果に関する意見を聞くだけのもの。
・観察は洞察力があるが、自己報告の場合、バイアスがかかることもある。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


とのこと。



■こう見てみると、

人材開発などに関わられる方であれば
「研修後アンケート」など行いますが、

それだけが「エビデンス」の方法ではないことに
気が付きます。

エビデンスのアプローチは
まだまだあるわけです。



■とすると、より説得力があるエビデンスを
用意するために、

例えば、


・アンケートだけではなく、
 ケーススタディを組み合わせる。

・被験者内デザイン(対象者の事前事後)にて
 データを集める。

・できるなら、被験者間デザイン(対象者グループとそうではないグループ)にて
 データを集める。


等を行うことで、

「エビデンスのレベル」をより高め、
多くの利害関係者に説得力をもたせることもできる、

といえるかと思います。



■ということで本日はここまでで、
明日は後半として、

「ポジティブアプローチ」
(コーチングやストレングスベースの介入)

について、どれくらいのエビデンスがあるのかを
見ていきたいと思います。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

他の人の書いたものを読んで、自己を向上させよ。
他の人が苦労して得たものをそれで容易に得ることができる。

ソクラテス(古代ギリシャの哲学者/BC469-399)

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【編集後記】
今日は午後から、調べもののため、立教大学の図書館に行こうと思います。
大学生気分が味わえそうで、何だか楽しみです。
(大学院にはいったけれども、数回しかキャンパスにいけていない)

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